か行

小島ゼミ

か行
ゼミテーマ
  • 持続可能な地域社会の創造
担当教員
  • 小島 聡

ゼミ概要

「持続可能な地域社会の創造」をテーマとして、創造的な課題解決を図るソーシャルイノベーションやソーシャルデザイン、さらに2015年、国連総会で合意され世界中で取り組みが進むSDGs(持続可能な発展のための目標)を手がかかりとして、環境・経済・社会の3つの領域にかかわる多様なテーマについて、地域と連携しながら、調査研究と実践活動を組み合わせるPBL(課題解決型学習)に取り組み、〈社会貢献するゼミ〉をめざしています。

ゼミ詳細

1.コジLABOのミッション
    基礎学習・プレゼンテーション・討論・ワークショップ・調査研究・地域実践活動などを通して、学生たちが総合的な能力を構築しながら、地域社会に貢献することが、私たちのゼミのミッションです。
    教室での知的トレーニングやチームビルディングをベースとしてフィールドに向かい、さらに教室に戻って地域課題に取り組むアクションリサーチによって、「お互いに成長していこう!」、それが、私たちのゼミが始まった2001年からの共通認識です。
〈個人の成長→チーム力の向上→社会へのコミットする力の涵養→個人の成長・チーム力の向上・社会にコミットする力の涵養〉という循環が私たちの理想です。
ゼミでありながら、シンクタンクやチェンジメーカーの役割を果たすラボであることを自覚するために、2017年に〈Community Innovation. J Laboratory(通称:コジLABO)〉というセカンドネームも全員で考え、フィールドで会うみなさんには、コジLABOの名刺を渡してきました(Jは、若さ、つなぐ、楽しさ、正義など、Jがつく英単語のうち地域実践から連想されるキーワードの集合を表現しています)。

2.SDGsローカル・プロジェクト
 「持続可能な地域社会の創造」というゼミのテーマであり活動理念を体現するために、これまでも、「書をもってまちに出よう」を合言葉に、様々な地域実践を行ってきました。多摩川の河川敷(川崎市登戸)に交流空間としての可能性を見いだし、2006年から2012年までの7年間、川崎市・NPO・観光協会など地域のみなさんと連携して「多摩川夕涼みコンサート」を8月に開催し、毎回、数百名の市民のみなさんに音楽を届けながら、都市河川の地域環境としての大切さを、展示や子ども達への環境教育プログラムによって訴えました。
 また、大学がない地域で人々が交流しながら学び、地域づくりにつなげていくための場として、2006年から長野県飯山市でゼミが始めたイベントである「いいやま学びの里サマーカレッジ」も、2022年で17年になりました。2016年からは、地域にできた「いいやま学びの里コミュニティ・カレッジ」による主催へとバトンタッチすることができたため、私たちは、主役から名脇役(名バイプレーヤー)へと立場を変えて、引き続きサマーカレッジの企画運営に参加しています。
  2020年から、COVID-19により地域に行くことが困難になりましたが、あえて、新たに、神奈川県横須賀市、千葉県香取市佐原地区、多摩川流域(山梨県小菅村・東京都奥多摩町・神奈川県川崎市)など、首都圏の各地域と連携した複数のプロジェクトを開始しました。どのプロジェクトにも共通するのはSDGs✕ローカルという問題意識です。
 COVID-19により、地域の持続可能性に様々な負の影響を出ているのは明らかで、SDGs、特にローカルSDGsの推進にとって危機的な状況に陥ったのは間違いないのですが、だからこそ、複数の地域にコミットしながら、フィールドから学ばなければならないと考えたのです。
 私たちのゼミでは、1年間の活動を報告書(現在の名称は、コジLABO Journal)にまとめ、地域社会に還元する取り組みを17年間続けてきましたので、これからも、いろいろな地域のみなさんと共に歩んでいきたいと思います。

3.ウイズコロナ・アフターコロナと私たち
 2020年は、COVID-19の影響でフィールドに出かけることができなくなりました。しかし、ゼミのセカンドネームがコジLABOである以上は、全てを諦めるのではなく、何かできることをやろうと考えました。法政大学は、「自由を生き抜く実践知」という言葉を掲げていますが、私たちコジLABOは、2020年、「不自由な時代を自由に生き抜くために」というスローガンを共有し、「できないことを嘆くよりも、できることに取り組もう」と、全員でチームとしての意思を確認しました。
 そこで、授業を通して身につけたスキルを活かした〈オンライン関係人口〉に挑戦するため、Zoomによるサマーカレッジを開催し、また、これまで飯山で出会ったみなさんと対話しながら、これからの飯山をはじめ奥信濃における持続可能な地域づくりと担い手について考えるオンライン・フィールドスタディを実施しました。また、こうした挑戦は、必ずアフターコロナの時代に役立ち、全国の若い世代にも共感を得られるはずだと、みんなで未来への扉を開ける可能性について意思を確認しました。
 2020年の〈オンライン関係人口〉への挑戦から、地域に出かけてコミットすることと、オンラインでコミットすることを組み合わせた〈ハイブリット関係人口〉の可能性も発見しました。また、アフターコロナの時代におけるオンライン・ツールも活用した地域貢献について調査研究するプロジェクト、若い世代の視点で東京一極集中の変革と新たな地域社会像について提言するプロジェクトにも取り組みました。
 2021年9月も、COVID-19の第5波の影響で、Zoomによるサマーカレッジ開催になりましたが、環境省出身で長野県元副知事の基調講演や地域でがんばっているイノベーターのみなさんのリレートークなどを実現することができました。基調講演では、持続可能な地域社会のキーワードとして、「1人多役」という言葉を学び、現在、その意味と可能性を具体的に検討しています。
 2021年は、1年ぶりに対面ゼミが復活し、少人数で日帰りという制約はありますが、地域に出かけていくことも少しずつ再開しています。おそらく、かつてのように自由に地域に出かけていくのは2022年度以降になると思いますが、「不自由な時代を自由に生き抜く」ための2年間の知恵と経験は、アフターコロナの時代に必ず活かされていくと確信しています。
 2022年は、各プロジェクトのフィールドに訪れることが可能になり、いよいよ〈ハイブリッド関係人口〉の実践が始まりました。特に、全員がPCR検査を受けて3年ぶりに長野県飯山市での夏合宿を実施し、「いいやま学びの里サマーカレッジ2022」では、「過疎地域におけるジェンダー平等」という、ローカルSDGsのテーマを取り上げた地域づくりフォーラムの運営に参画しました。また、宿泊先の斑尾高原では、森林トレッキングや森ヨガで、自然の恵みがもたらす自由な時間をあらためて体感しました。
 2023年は、4つのプロジェクトはようやく全面展開となり、ゼミ生たちはプロジェクトを横断して協力しながら、様々なフィールドに出かけることが可能になりました。9月の夏合宿・サマーカレッジ2023でも4年ぶりに複数の農山村の集落を訪れました。
 私たちは、学生たちの多様性を尊重しながら、同時にONEチームとしても力を発揮するという、ゼミが始まった2001年から模索し受け継いできたスピリットをこれからも大切にしながら、常に時代の変化を見つめ、新たな課題に挑戦していきます。私たちコジLABOに共感し、「自分自身が成長」しながら、仲間と一緒に、あるべき未来を想像しながら、「今できることに取り組もう」という意欲があるみなさんを歓迎します。