2014年度

被災者一人一人の方と接して感じたこと

2014年度

「被災者の数だけ、被災経験がある」ことを感じました。被災者と一口にいっても、その被災者の経験は同じものではないのです。被災者の数だけ、被災経験があるのです。このことは今回石巻のみなさんと触れ合うことで感じたことでした。一人一人の顔を見て、名前を呼び、お話をしました。誰一人として同じ人はいませんでした。石巻に行く前はメディアからの情報のみです。メディアからの情報だと得られる情報が限られてしまいます。そのためか、私は被害者の方々を「東日本大震災の被災者」という一括りでとらえていました。しかし、そうではなかったのです。実際に現地の方と触れ合うことで、「一人一人が被災者」であることを実感しました。
石巻の被災者といっても、家がある人と仮設住宅に暮らしている人、漁業の人と街に働きに行っている人、お金がある人ない人、家族がいる人いない人、などなど挙げきれないほど環境に違いがあります。東京に暮らしている私たちが一人暮らしの人と実家暮らしの人、働いている人そうでない人、高齢の人若い人といったような違いがあるのと同じなのです。私たちと変わりないのです。そう思ったとき、一人一人に耳を傾けなければという思いになりました。そして、大人子どもに関係なく真剣に話を聞くことを学びました。被災者であること関係なくごく普通に純粋に楽しくお話をさせていただきました。
また、私の中で印象に残っていることは東京に帰る直前に男の子が津波・避難生活のエピソードを話してくれたことです。震災当時は小学校2年生くらいだと思います。その時の話を話してくれました。「話した」というよりも「伝えてくれた」といった方が良いと思います。普段から明るく接してくれたその男の子は東京の子と変わりはないと思っていました。しかし、話をしてくれた時には「こんな思いを持って生活してきたのだ」と改めて思いました。やはり、その子も「一人の被災者」なのです。こどもたちはまるで震災が無かったかのように明るかったので、その時に再認識させられました。
以上のように、私は石巻フィールドスタディを通してどれだけ自分が知らなかったのかを理解することができました。直接現地に赴き、一人一人と直接話すことによって「メディア」との差を感じました。メディアが悪いとは言いませんが、メディアがすべてではないのです。被災者の方々は私が思っていたよりも強く明るく、私が思っていたよりも大きなものを背負って生活していると感じました。直接会っても彼らのすべてを理解することはできません、ましてやメディアだけの情報だけではごく一部分しか知ることは出来ないと思います。
最後に、暖かく迎えてくださり直接会うことの大切さを感じさせてくれた石巻のみなさん、今回このような機会を設けていただいたパルシックの方々に感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとうございました。