人間環境学部について

学部の将来構想

人間環境学部について

2018年03月31日
法政大学人間環境学部

「人間環境学部2030~For Our Sustainable Future~」の公開について

法政大学人間環境学部は、2017年3月22日に、学部の長期構想として「人間環境学部2030~For Our Sustainable Future~」を策定しました。これは、法政大学全体の長期構想であるHOSEI2030が2016年4月に策定されたことをふまえ、15学部の1つとして、その推進を担う立場にある人間環境学部も長期構想を策定する必要があると認識したからです。
特に、HOSEI2030が掲げる法政大学のミッションの3番目では、「本学の使命は、激動する21世紀の多様な課題を解決し、『持続可能な地球社会の構築』に貢献することである。」と述べ、またミッションを具体化したビジョンでは、「持続可能な地球社会の構築をめざす」教育の拠点さらに研究の世界的な拠点になると明言しています。そこで人間環境学部は、HOSEI2030の推進の一翼を担う自らの役割の大きさを自覚し、2030年に向けて進むべき道筋を描くことにしたのです。
「人間環境学部2030~For Our Sustainable Future~」は、【1.前文~長期構想の趣旨と背景】【2.人間環境学部のアイデンティティとミッション】【3.人間環境学部の戦略的フィールドと事業展開の指針】【4.2030年における《持続可能な人間環境学部》へのビジョン】【5.アクションプラン(リーディング・プロジェクト)】【6.時間軸と時期区分】からなります。
以下、本長期構想の概要を紹介します。

1.前文~長期構想の趣旨と背景

まず、国際社会が大きな変動期に入った世紀末の1999年に本学部が誕生した経緯を紹介しています。また黎明期の人間環境学部が、法政大学が掲げたグリーンユニバーシティの実現に向けて、「持続可能な社会」を理念とする文系の現代教養学部と総合政策学部という2つの顔をもって、学部づくりに取り組んだ歴史を振り返っています。そして2018年度に学部創設20周年を迎える本学部が、《第2の建学》に挑戦する時期に至ったことを確認しています。 

2.人間環境学部のアイデンティティとミッション

「一体私たちの学部はどのような学部なのか」という自らの存在性を問い続けることは、本学部の宿命であり、むしろ《持続可能な人間環境学部》への創造的な営みを生み出していく「意思の源泉」にもなりえると述べています。
その上で、本学部の核心的ミッション(コア・ミッション)と3つの事業(教育・研究・社会貢献)それぞれのミッションについて再定義しています。核心的ミッションは以下のとおりです。 

「人間環境学部は、〈モラルサイエンスへの自覚〉とともに、〈人間と環境の共存〉を基底的な価値としながら、〈人間と人間の共生〉にかかわる諸価値を含む統合的な持続可能性を、学際的かつ総合的な見地から、教育・研究・社会貢献の各事業を通して探究することにより、学部の社会的責任(Faculty Social Responsibility)を果たす。」 

核心的ミッションについて少し説明しましょう。〈モラルサイエンスへの自覚〉とは、学際性を特徴とする人間環境学部における様々な学問は、社会科学や人文科学、自然科学といった分野の違いはあっても、「持続可能な社会の構築」に貢献する使命では共通しているということです。
それでは、〈人間と環境の共存〉と〈人間と人間の共生〉を結びつけることにはどのような意味があるのでしょうか。現在、予測されている地球温暖化の影響からもあきらかなように、環境問題への取り組みには人類の生存にとってもっとも重要な価値があります。ただし、環境問題を解決するためにも人々の合意が必要です。つまり環境問題に立ち向かうためにも、人々の共生という価値は大切なのです。
また、先進国と途上国の格差、子どもの貧困や少数者の人権など、社会正義にかかわる多様な社会問題についても、人々の共生という価値を前提として解決しなければなりません。
こうしたことからも、人間環境学部は「持続可能性」を幅広くとらえ、教育や研究、社会貢献にかかわる事業を通して探究することを、事業者の社会的責任(CSR)という考え方からの類推によって、学部の社会的責任(FSR)と呼んでいます。 

3.人間環境学部の戦略的フィールドと事業展開の指針

人間環境学部のミッションを再定義した上で、5つの戦略的フィールド(学部の特性をふまえて特に取り組んでいく問題領域)を提示しています。それらは、〈人間と文明・文化に関する問題領域〉〈科学・科学技術と社会に関する問題領域〉〈市場経済に関する問題領域〉、〈グローバルなレベルにおける諸問題を包括的にとらえた領域〉〈ローカルなレベルにおける諸問題を包括的にとらえた領域〉です。なお、これら5つの戦略的フィールドは、本学部のコース制教育において、5つのコース(人間文化コース、環境サイエンスコース、サステイナブル経済経営コース、グローバル・サステイナビリティコース、ローカル・サステイナビリティコース)として、2016年度から先行的に取り入れています。
次に、このような戦略的フィールドで展開される学部の事業指針を提示し、その1つとして、持続可能性に関する21世紀の多様な課題に取り組む姿勢をあきらかにしています。特に、災害大国の首都に立地する本学部は、社会の持続可能性に大きな影響を及ぼす巨大災害の問題に積極的に向き合います。さらに、2015年に国連総会で合意されたSDGs(Sustainable Development Goals)の目標年次が、HOSEI2030および本長期構想と同じ2030年であることをふまえ、人間環境学部のFSRとして、その17目標の達成に貢献する意思を表明しています。

4.2030年における《持続可能な人間環境学部》へのビジョン

新たに定義した学部のミッションを具体化し、2030年に《持続可能な人間環境学部》であるためのビジョンとして、法政大学のフロントランナーをめざす挑戦、社会的な共感と支持を得ることによる志願者数の長期的な安定、《開かれた学部》に向けた社会との連携、グローバル教育や社会人教育への取り組み、研究活動の活性化などを提示しています。 

続く【5.アクションプラン(リーディング・プロジェクト)】では、【2.人間環境学部のアイデンティティとミッション】に基づく【3.人間環境学部の戦略的フィールドと事業展開の指針】、【4.2030年における《持続可能な人間環境学部》へのビジョン】を実行に移すために、2017年度からの5年程度を集中的な取り組み期間として、本長期構想を牽引するリーディング・プロジェクトを列挙しています。アクションプランは、今後、リーディング・プロジェクトを組み替えながら更新していく予定です。
さらに本長期構想の最後は、【6.時間軸と時期区分】として、策定段階から目標年次である2030年までを、第1期(策定・始動期:2015~2020年)、第2期(2021~2026年:調整・展開期)、第3期(2027~2030年:総括・展望期)の3つに分けて、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルによる適切な進行管理を行っていくことを表明しています。
なお、本長期構想は、SDGsに言及するために、2018年3月28日に改定しました。 

人間環境学部は、ここまで概要を紹介してきました「人間環境学部2030~For Our Sustainable Future~」に基づいて、「持続可能な地球社会の構築をめざす」法政大学のフロントランナーとしての役割を果たし、2030年において《持続可能な人間環境学部》であることをめざします。
20年間の学部の歴史を記憶にとどめ次の世代へと継承しながら、今日から明日、そして未来への志と政策を格調高く表現するためにあえて硬い文章になっていますが、多くの方々に人間環境学部を理解していただくためにも、主に本学部の教職員向けの記述である【5.アクションプラン(リーディング・プロジェクト)】と【6.時間軸と時期区分】を除く全文を公開しますので、どうぞご覧ください。