2013年度

前を向くこと

2013年10月21日

2013年度

私は 8 月 5 日から 9 日までの 5 日間、宮城県石巻市へフィールドスタディーの一環でボランティアに参加しました。生業支援、学習支援、子どもとのふれあいなどを通して様々な視点からの被災者の方の思いを感じることができました。
初日の市内視察では、一面に広がる更地や地面に残るガラスの破片や生活用品、被災した小学校などの生々しい光景を目にし、被害の大きさを改めて実感しました。それでも前を向いて復興へと動いている地元の人々の強さがとても印象的でした。
午前中はわかめ漁の漁師さんの土嚢袋作りの作業を支援させていただき、合間にお話を伺うことができました。「心の奥ではまだ震災を受け入れられていない」という言葉が胸に響いたのを覚えています。それでも危険な漁師を続ける背景には家族がありました。再就職も難しい世の中な上、漁師一本で生きてきた人にはその道しか残されていませんが短期間の同行で、自分の仕事に誇りを持っていることがとても伝わりました。こだわりで勝負するわかめ漁は震災後、漁師の方の思いを強くさせたのではないかと感じました。
プレーパークという遊び場で子どもたちと遊んだ際や、学習支援で小学生と一緒に勉強や会話をする際も、元気な姿の隙間から時よりこぼれる「津波」や「地震」などの単語を聞いて、子供たちの心にも当時のことが鮮明に残っているものだと気付かされました。しかし、それが暗い話ではなく明るい話だったのが印象的で子どもの強さを感じる瞬間でした。
仮設住宅を訪れる機会もありました。仮設であるため、表札がなく番号で区切られていたのを覚えています。高齢の方は仮設で最期を迎えたくないと言う意見がありますし、住民の方も家を建てて落ち着きたいというのが一番の願いだと聞きました。 仮設では定期的に野菜の販売が行われ、NPO のパルシックの方をはじめ地元の人々が協力して作った野菜を低価格で販売しています。販売のお手伝いをさせていただいた際は多くの方が集まり、盛況でした。こういったイベントを行うことも地域に活気をつけるためにとても良いことだと思いましたし、地元の方の結束力を感じました。5 日間私たちに同行してくださったパルシックの方が震災以降に根気よく地元の方に声かけをしたそうです。 農作物を作るという作業も、何もしないで時間を過ごすということがなくなり、高齢の方は次第に増えていったと言います。
地元の人々の前向きな姿の背景には、家族などの身内、NPO などの外部の方と第三者の支えがあったことがわかりました。今回私たちはボランティアとして第三者となりましたが、その際に地元の方々はとてもあたたかく迎えてくれましたし、ボランティアが来てくれることはすごく嬉しいとおっしゃっていました。被災者と被災していない人の間で復興への思いにズレが生じることは当然ですが、そのズレを修正し現地の方に追いつく努力をすることは大切だと思います。そのためには、実際に現地に訪れて目で、耳で、肌で現状を理解し復興への希望を見出すことが重要であると学びました。
短期間ではありましたが、とても貴重な経験となり、あたたかさ溢れる東北の方にお会いし、また東北を訪れたいと思いました。

  • わかめ漁の土嚢袋作りを体験

  • プレーパークにて