2012年度

復興ボランティアの継続性

2012年11月08日

2012年度

「継続性」この言葉が身に染みた一週間であった。私たち石巻FS第二次隊は、8月19日から25日までの一週間、石巻市北上町でNPO法人PARCICのもとでボランティアとして活動させていただいた。そこで印象に残った事が、冒頭で述べた「継続性」である。
私たちはこの一週間で地域の人々と触れ合う機会を得た。とりわけ子供達とは仮設住宅で行われた“にっこりサンパーク祭り”や藍染め体験活動によって親しくなる事ができた。そんな時、ある子供のおばあさんがふと「このお兄さんたちが居なくなったらまた寂しくなるね」と呟いた。この言葉を聞いて僕は胸が締め付けられる思いがした。その事は鮮明に覚えている。同時に自分の無力感に苛まれた。“また”という言葉から推測するに、親しくなったボランティアが去る度に寂しさを感じているのだろう。このような事を減らせるように、ボランティア活動は長期スパンでおこない、何度も一つの地域に足を運ぶ事が重要なのだと感じた。
では、ただ何度でもボランティア活動をさせてもらいに現地に行けば良いのであろうか。その答えはNOであると私は思う。震災当初はがれきの回収や炊き出し、支援物資の集配など、被災者の方々が日々を生き抜くためのボランティアが現地では求められていたのだと思う。もちろん今現在もがれきの選別等の仕事は人手が足りていないし、炊き出しも非常に重要である。しかし、震災から約一年半が経ち、ほんの少しだけではあるが復興へと歩きだした町やその町の住民の方々と共に、ボランティア側も一歩前に進まなければはならないのではないか。と思う。その一歩前に進んだボランティアとは、被災者の方々の将来的な“自立”を目的としたものであると考えた。しかし、僕自身は具体的に何をしたら将来的な“自立”に役立つのかわからなかった。
一例を挙げれば、たとえば今回のFSの中でPARCICがおこなっていた藍染め体験の活動は、新たな可能性を創出することに役立つだろう。この藍染め体験は一見“自立”とは無縁のようにみえて、実は関係があるのだという。この活動を通じて藍染めがこの地域に広がれば、もしかしたら北上町の特産物となる日が来るかもしれない。また、藍染めを商品として売ることができれば、生産者である住民の方々に収益が入るので経済的な面での自立という可能性を秘めているわけだ。この構想には非常に感心した。このように、刻一刻と変化する地域住民のニーズを踏まえて、継続的にボランティア活動をしていくことが大事だと痛感した。
最後に、このFSの一週間は私にとって非常に貴重な体験であった。実際に現地に行くことで自分の中の物の見方が変化し、物事を大きな視点で考えられるようになれた。この意味で、FSで出会ったすべての方々に感謝したい。ありがとうございました。