2022年度実施フィールドスタディコース

歴史資源の保全・活用とまちづくりを考える

2022年度実施フィールドスタディコース

実施時期:2022年9月5日~8日
実施場所:神奈川県箱根町・東京都中央区
協力機関:箱根町教育委員会・箱根町立郷土資料館・箱根関所・東京都公園協会・浜離宮恩賜庭園

学習目的:
 ・歴史的環境の保全・活用を生かしたまちづくりを学ぶ
 ・コロナ禍における観光資源の活用を現地の方々から学ぶ

  • 箱根町教育委員会にて文化財保護についての講義を受ける

  • 箱根関所にて関所の復元や修復についての説明を受ける

  • 芦ノ湖で海賊船に乗り、観光コースを見学する

  • 浜離宮恩賜庭園・芳梅亭にて文化財庭園の保全について講義を受ける

  • 旧東海道の石畳を歩き、文化財保護の現状を確認する

  • 国の特別史跡・浜離宮恩賜庭園の現状を見学する

参加者の感想:

私には4日間を通して強く感じたことがある。それは、ただ観光として風景を楽しむだけでは大変もったいない魅力が、各歴史的資源には秘められているということである。自分一人では通り過ぎてしまいそうな小さな地蔵群一つでも、立ち止まってその由来を少し知ると不思議と親しみがわいた。その地域にまつわる話や解説を聞きながら現地を巡ったからこそ、その良さが伝わり存続させていくことへの関心が高まったと思う。もともと興味のない人に興味を抱かせるのは困難であるが、まずそこに長く滞在する人(住民)と訪れた人が最大限にその魅力を知り感じられる環境や仕組みの整備が不可欠だと心から感じた。そしてそこに生まれた感動や活気がまた人を呼び、継続的な文化財の保全・活用につながるのではないかと思う。
(2年女子)

 日本人の自文化に対する興味がなくなっていることはもちろん、高齢化にともない、このままでは歴史的建造物の保全を継続して行っていくのは難しくなっていくだろうと私は考える。そのため、私は日本の風土、文化の良さを長いスパンで教えていく必要があるのではないかと思う。その文化の発信や教育の仕方、その土地や建造物を広める方法は今や無限にあるといっても過言ではない。その近代的な手法でニーズを埋めていくために、日本独自の風習や文化をもっと広められる工夫や方法を模索していくことが歴史的建造物の保全・活用につながっていくのではないかと考えている。    
(1年男子)

実際に現地に赴くことで、ネット上にある情報だけでは感じ取ることができない、担当の方の熱意が印象に残った。ただ、保存・活用するのではなく、作者の意図を配慮し、また、カラーコーンにまで意識を向ける徹底ぶりに、伝統資源に対する熱い思いが感じられた。そのような配慮があったからこそ、江戸時代から残されている景観を通じて私たちは江戸時代を実際に感じ取ることができる。しかしながら、維持管理の費用は莫大なものであり、金銭確保の課題は山積していることも実感した。箱根や浜離宮では、伝統的手法を重視した歴史資源の保全と活用を学んだが、歴史資源を後世につなげるための保全と活用術について、今後も関心を持ち続けていきたいと考えている。   
(2年女子)