2022年度実施フィールドスタディコース

習志野市大久保地域のアメニティマップ×空間の履歴×哲学ウォーク

2022年度実施フィールドスタディコース

実施時期:2022年9月5日~13日(Ⅰ期)
     2023年2月20日~28日(Ⅱ期)

実施場所:千葉県習志野市、京成大久保駅から大久保商店街の周辺

学習目的:

・古くからの商店街を対象に、アメニティ評価と空間の履歴の調査を行う(吉永担当)。

・哲学ウォークの手法を使って、街をいつもとは違う観点から見つめると同時に、その省察について質問し合い、考察を深める(金光担当)。

  • 昭和3年の地図にも載っている八百屋の店内

  • 昭和3年の地図にも載っている酒店の店内

  • 薬師堂で見せていただいた昭和20年の地図

  • くじ引きで引いた哲学者の言葉とその言葉に関連する場所を探して撮った写真

  • くじ引きで引いた哲学者の言葉とその言葉に関連する場所を探して撮った写真

○参加者のレポートから(アメニティマップ・空間の履歴)

今回アメニティという視点を持ちながら街を歩くという体験をしたことにより、アメニティとしての評価を含めた様々な物への見え方の変化を実感した。そのものについての印象が単体としてとらえた場合と周囲との関係性を知った場合では異なる印象を受けるのだ。これは場所や物だけでなく自分の考えていることや悩みにも通用することであると言える。人間の考えは変動的で他人からのアドバイスや様々な経験を通して、また一度客観視するなどから自分の考えや悩みも異なって見えてくることがある。そのため他の見え方を意識することで様々なことに変化が生まれ、時には面白みを感じることができるだろう。これからの人生で多くの見え方の違いを体験することが楽しみだ。
(1年)

大久保地区をアメニティ/ディスアメニティの視点で1日歩き、さらに空間の履歴の視点をもって1日歩いたことで、町の移り変わりや歴史的な繋がりを感じることができた。習志野スポーツの店長兼大久保地区の理事長さんのお話を聞き、歴史的な変化としては、習志野の地が軍隊の町として栄えたことから始まり、引揚者の受け入れ地、そして学生の町、というように変化していったことを知った。このことから、大久保地区はそれぞれの時代に合わせて、姿が変わっていったことを知ることができ、同時に今後も変わり続けていくだろうと感じた。
(2年)

 

○参加者のレポートから(哲学ウォーク)

哲学ウォークの時、私に配られたカードはヴォルテールの「立派にやり遂げたことに対する報酬は、それをやり遂げたことそのものにある」という言葉だった。なにかをやり遂げた時、その結果が必ずしも自分にとっていいものであるとは限らない。この場合の「結果」は、評価や知識などやり遂げた後に得ているものすべてを指す。やり遂げたことで自分にとってはかえって損害があるかもしれないし、やり遂げる過程で何も身にならないかもしれない。しかし「最後まで立派にやり遂げた」ということは揺るがない事実である。他のいかなる結果も副次的で不確実なものだが、どんなことであってもやり遂げた瞬間、「立派にやり遂げた」という事実には不変の価値が生まれる。私はヴォルテールの言葉をこのように解釈した。
(2年)

私がくじを引いた言葉は、ニーチェの「過去が現在に影響を与えるように、未来も現在に影響を与える。」だった。実は引いた瞬間に、予測できない未来が現在に影響を与えることなどあるのかと、自分自身で疑ってしまった。だから、未来は本当に現在に影響を与えているのか。実際に他の人から質問されたように、私も心の奥底で疑問になっていた。だから、もう一度、まちあるき・空間の履歴を通して考え直してみた。すると答えが見えてきた。それは、未来という見えない存在が、現在に影響を与えているというものになった。実際に、過去は大和書店だったものがnomabooksと形を変えて存在していた。つまり、現在だと思っていたものは過去になり、未来だと思っていたものは現在になる。その点では、建造物だけでなく、その地域に関わっている人は、未来の存在と未来の私達を知らぬうちに意識しているのではないか。
(2年)