東日本大震災と人間環境学部

2015年度

東日本大震災と人間環境学部

とにかく考えてみよう

教職員と学生の共同企画である人間環境学特別セミナー「とにかく考えてみよう」(略称トニカン)は、ドキュメンタリー映画を見て、ともに議論する催しです。これまで『ミツバチの羽音と地球の回転』、『内部被ばくを生き抜く』(ともに鎌仲ひとみ監督)、『100,000年後の安全』、『Nuclear Nation』『第4の革命』といった作品を上映したほか、監督や関係者を招いてパネルディスカッションを開催しています。
 2015年度の活動を以下に掲載します。

第11回「とにかく考えてみよう」

第11回目の今回は、カンボジアで活動した学生サークルを扱った映画「マジでガチなボランティア」(黒田剛監督、2010年)をとりあげ、学生のボランティア活動について考えました。日本では1995年の阪神淡路大震災をきっかけにボランティア活動が注目されるようになり、東日本大震災の救援や復興でも活躍しています。ボランティアが広まり、身近なものになる一方で、その評価や位置づけをめぐってさまざまな議論がおきるようになっています。

大学生がボランティアをすることには、どのような意味があるのでしょうか。ボランティア経験がある人も、これから参加する人も、この映画を通じて、さまざまなボランティアのかたちや関わり方があることを学ぶとともに、「ボランティアを偽善」であると冷笑するのではなく、ボランティアを通して自分たちは何ができるのかといった、熱い討論を行いました。

(2015年7月10日実施)

コーディネーターの辻英史准教授

  • 多くの学生が熱心に視聴しました。

  • コーディネーターの武貞稔彦教授

第12回「とにかく考えてみよう」

2015年の夏、安全保障関連法に反対するデモが大きく高揚したことを受けて、第12回トニカンは直接民主主義の問題を取り上げました。上映した映画「首相官邸の前で」(小熊英二監督、2015年)は、2012年、福島第一原子力発電所の事故後はじめて原子力発電所が再稼働することになったとき、原発再稼働反対デモを組織し参加した人びとを描いた映画です。この映画の撮影されたときから3年。現在でも原子力発電に対する態度は最終的に決められないままです。

上映会後のディスカッション

一方でこの時から始まった、デモに参加したり、SNSを使って積極的に自分の意見を表明するといった民主主義の新しいハビトゥスは、安全保障関連法反対デモのうねりに引き継がれようとしています(もちろん、安全保障関連法の賛成派の市民の存在も、「民主主義」を体現する動きです)。反対運動、デモといったものが「非日常」であるという日本人の認識は、「市民が声を上げ、社会を変える」ことが「日常」である世界の国々からは奇異なものとして映っています。この映画を通じて、社会運動が日常の生活に根付く、「社会運動社会」(Social Movement Society)が広がりつつあるのか、それとも社会運動への忌避感が続くのか、その狭間を考える時間となりました。
(2016年1月13日実施)

参加者との真剣な質疑がかわされました。

宮城県石巻市北上町への支援活動

法政大学人間環境学部では、NPO法人PARCICと提携して宮城県石巻市における震災ボランティア活動を続けています。 2015年度も、石巻市の北上町において「被災地のレジリエンス形成に向けての支援活動」というフィールドスタディを実施しました。 8月18日から22日まで、13名の学生が現地入りしました。
 今回は、活動を始めるにあたり、北上地区復興応援隊および公益社団法人みらいサポート石巻の協力を得て、まず石巻市内を一周し、震災から次第に復興する中で大きな変貌を遂げつつある市街の様子を視察しました。その後学生たちは北上町のにっこり仮設団地の中で宿泊しつつ、地元の方の漁業の手伝いや、イベントを開催して住民の方々と交流したり、子どもたちと遊んだりといった活動を行いました。夜は住民の方々に語り部になっていただき、震災の体験をお話しいただきました。
 参加した学生たちのレポートは、以下のリンクから読むことができます。

参加学生による活動報告書

人間環境学部FSRフォーラム

FSRとは、CSR(企業の社会的責任)という考え方をふまえ、人間環境学部が学部のポリシーとして果たすべき社会的責任を表明するための造語です。
人間環境学部ではFSRに基づき、企業、自治体、NPO/NGO等から様々な方をお招きし、セミナーを開催いたします。

2015年度の活動を以下に掲載いたします。

(10/26)人間環境学部FSRフォーラムを開催いたしました。

第3回人間環境学部FSRフォーラム(協賛:法政大学イノベーションマネジメント研究センター)を開催いたしました。今回のFSRフォーラムは「未来に選ばれる会社とは」をテーマに3回に渡り開催いたします。
初日の10月26日(月)は、株式会社オルタナ社長兼編集長の森摂氏をお招きし、「CSRを起点にしたソーシャルブランディング」と題し講演いただきました。企業の社会的価値とCSRとの関連、ソフトローと呼ばれる法的な強制力のないが社会に強く要請される規範とコンプライアンスの関係、そしてCSR活動によるブランディングについてお話しいただきました。200名を超える学生、大学院生、外部からの参加者の方が参加し、熱心に質疑応答するなど好評のうちに講演は終了しました。

(株)オルタナ社長兼編集長の森摂氏

本講義は、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)やBusiness Ethics(経営倫理)に関する基本的理論と世界的な潮流を学ぶCSR論Ⅱ(長谷川人間環境学部教授)の授業内で開催いたします。
次回は11月30日(月)に鎌倉投信株式会社社長の鎌田恭幸氏をお招きいたします。

  • FSRとは、CSR(企業の社会的責任)という考え方をふまえ、人間環境学部が学部のポリシーとして果たすべき社会的責任を表明するための造語です。

200名を超える参加者が熱心に拝聴しました。

震災から5年、広域避難者の生活と支援を考える

2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発事故によって、数多くの方が故郷を追われ、今なお、避難生活を続けています。震災から5年を経ようとしている現在も、特に原発事故による避難者が抱える問題はそれほど大きく変わっているわけではありません。津波被災地や福島第一原発事故周辺の自治体からの避難者にとどまらず、放射線による子どもへの健康を留意して自主的に避難をされてきた方など、さまざまな避難者の方がいます。そして、避難先での生活が長期化する中で、避難者の立場も多様化し、さらに国や行政の支援が目減りする中、さまざまな境遇の方に、さまざまな支援を行っていく必要があると考えます。
このシンポジウムでは、これまでの県外避難者支援の活動を振り返り、今後の県外避難者やその支援のあり方について、さまざまな立場の方と一緒に考える機会にしたいと考えています。

日時:2016年2月27日(土) 13:30~16:30
場所:市民会館うらわ(さいたま市浦和区仲町2-10-22)コンサート室

 (*法政大学人間環境学部は、このシンポジウムを後援しています)