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見知らぬ土地で、学び暮らしてみたら新しい自分に出会えた ~国内留学参加者による座談会~【前編】

  • 2022年02月04日
  • 留学生
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法政大学では、コロナ禍により教育活動において様々な影響があるなか、学生の多様な学び体験の機会を創出するために、異なる地域や他の大学で学修できる環境を整備し、修得した単位を認定する国内留学制度を設け、他大学との交流を促進しています。これまでに沖縄大学、名桜大学(沖縄県)と北海学園大学(北海道。ただし、法学部のみの交流)とで学生派遣や受け入れを実施してきましたが、2021年度からは、新たに関西大学との間で国内留学プログラムが始動。その第1期生となる参加学生3人を囲んで、法政大学教職員との座談会を開催しました。

座談会参加者

他の土地で暮らしてみたい!好奇心が学びを広げる

鷹觜課長 国内留学制度に応募しようと思ったきっかけを教えてください。

兒玉さん 地理学を専攻する中で、知らない土地で一定期間過ごしてみたいという思いが強くありました。現地に行って体験してみて分かることも多いはずだから、大学生でいる間に旅行や学外活動など、たくさんの経験をしようと意気込んでいましたが、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響で多くの活動が制限されました。そんな中、関西大学への交流学生募集の案内を見つけ、4年次ですが、すぐに申し込みをしました。

阿波加さん 私は、高校時代から海外に興味を持ち、バックパッカーになって自由に旅をしたり、留学したりしてみたいと考えていました。コロナ禍で海外にいくことはできなくなりましたが、国内のゆかりのない地域で学ぶことも、新たな発見につながるのではと思い、応募しました。

吉村さん 私の動機は、純然たる東京への興味です。関西大学に入学してくる他県の学生は、大阪より西の地方出身者がほとんどで、関東圏や東京のことを知るには、実際に行ってみるしかない。大学からのお知らせで、法政大学との国内留学制度が始まったことを知ったのは募集締切日の数日前だったので、慌てて応募しました。

鷹觜課長 国内留学をすることで、どのような学びを得たいと思っていましたか。自分の大学で学んでいることとの違いを何か感じましたか。

吉村さん 初めての制度で単位互換の仕組みが分からなかったこともあり、自分が所属している商学部に近い学びができそうな経営学部を志望しました。関西大学には経営学部はないので、新鮮な気持ちで学んでいます。

阿波加さん 私は人間環境学部所属ですが、1年次の課外活動でデザイン工学部の先生とお話しさせていただく機会に恵まれたことから、建築にも興味を持つようになりました。履修の自由科目を使って、デザイン工学部の授業を受けたりもしていたのですが、もっと学びたいという思いがあり、環境問題やインフラなどについて学べそうな環境都市工学部都市システム工学科への派遣を志願しました。

小秋元副学長 文理の垣根を越えて、関西大学では理系の学部で学ぶことにしたのですね。勇気が必要だったと思いますが、授業などで戸惑うことはありませんでしたか。

阿波加さん 応募したときにはどうにかなるだろうと楽観視していたのですが、実際に授業を受けてみると、化学などは着いていくのに苦労しました。でも、関西大学の方々は皆さんとても親切で、教授や大学院の学生などが丁寧にサポートしてくださったので助かりました。

兒玉さん 私も関西大学の先生には助けられました。4年次ですから、国内留学中も卒業論文のことも考えないといけません。法政で所属しているゼミの中俣均教授に相談したところ私の打ち込みたい分野を理解してくださり、島の文化に詳しい野間晴雄教授を紹介していただきました。卒業論文に関する研究も安心して進めることができました。

限られた時間の中で貪欲に「やりたいこと」に食らいつく

鷹觜課長 留学先で、印象に残るような授業はありましたか。

兒玉さん ゼミにあたる「卒業演習」の授業が印象深かったですね。コロナ禍で対面とオンラインを併用した授業になりましたが、その密度が濃かったのです。卒業論文の構想を先生に相談すると、参考になりそうな文献や資料を熱心にアドバイスしてくださり、新たな着眼点のヒントもいただけました。自分の学びたい思いを受け止め共有してもらえたことがうれしくて、大学での学びの面白さを感じられた気がしました。

廣瀬総長 卒業論文では、どのようなテーマに取り組んでいるのですか。

兒玉さん 長崎にある離島の一つである「池島」での生活の変化をテーマにしています。九州で最後まで炭鉱が残った島です。最盛期は7000人以上いた住民も今では100人程度で、その変化ももちろんですが、炭鉱ができる以前にも島では生活がありました。その歴史を丁寧に掘り下げ、人が生きた記録として残しておきたいと思っています。

阿波加さん 私が最も印象に残ったのは「起業入門」というキャリア教育の授業です。将来は起業したいという夢があったので、よい学びになると思って受講しました。環境都市工学部は千里山キャンパスにありますが、この授業がきっかけで、梅田キャンパスにも通うようになりました。

菊池部長 その授業では、実際に起業するまでの流れを教えてくれるのでしょうか。

阿波加さん 関西大学出身の起業家の方々がいらして、起業にまつわる自分の体験談を語ってくれる中で、起業する場合に必要な知識や心構えなどを学びました。梅田キャンパスではセミナーや起業イベントなども開催されていたので、事業計画を練って、起業体験を行うイノベーションキャンプにも参加しました。

小秋元副学長 阿波加さんは、どのような事業を手掛けようと考えられたのですか。半年間の留学期間内に手掛けるとなると、準備が大変だったのではないですか。

阿波加さん 関西大学で知り合った友人2人と一緒に、期間限定の飲食店を出店しました。環境問題に関心のある人たちが気軽に集まり、行動に移すための拠点にできるような場所をつくりたいと思ったからです。アートという要素を取り入れて、70年代80年代の音楽が好きなので、その時代の音楽をBGMで流したりしていました。

廣瀬総長 そうした体験ができるのは素晴らしいですね。資金の用意なども必要になると思いますが、どこまでサポートしてくれたのでしょう。

阿波加さん 実験的に期間限定で出店した店なので、最初の資金は自分たちで出せる範囲でまかないました。基本的には自分たちで考えてやるのですが、起業家の方がサポートとして付いてくれて分からないことはなんでも相談し、やりたいことにつながるような人を紹介してもらえる環境にあったので、安心してトライできました。

小秋元副学長 吉村さんは、今法政で学んでいる最中ですが、何か印象に残っていることはありますか。

吉村さん 留学前は、商学部と経営学部だから学ぶ内容は関連しているだろうと安易に考えていましたが、同じテーマでも先生によって研究の切り口が違うと感じました。少し戸惑ったのは、語学の授業です。2年次の必修科目なので履修したのですが、「オーラル・コミュニケーション」などは、すでにクラスの中で人間関係ができていて、途中参加になる自分はどうやって輪の中に入ればいいだろうと、最初はかなり緊張しました。

鷹觜課長 皆さんの留学期間は、兒玉さんと阿波加さんは春学期からの半期、吉村さんは秋学期から半期となっていますが、留学期間についての感想は何かありますか。

兒玉さん 実は自分が履修したいと思っていた授業のいくつかは、秋学期を対象としていたので受けることができず、少し残念な思いはありました。状況が許せば、1年間留学してみたかったですね。

阿波加さん 半年という期間はあっと言う間でしたが、私にとっては少し足りないと思うくらいが、ちょうど良かったのかもしれません。期間が決まっていることで計画も立てやすいし、1日1日を悔いの無いように大切に過ごそうという気持ちになれました。

吉村さん 確かに、時間が限られていると思うと、いつもならしない冒険もしてみようという原動力になりますね。今は家賃を抑える意味もあって、シェアハウスみたいな形の共同生活をしているのですが、これも半年の期限付きだと思うからできたことだと思います。

阿波加さん 春か秋かで言えば、春学期は新入生にまじって新歓の勧誘を受けられたので、サークルなどにも入りやすいという利点はありました。

吉村さん 秋学期スタートの僕は、逆でしたね。勧誘などはなかったので、自分から行動するしかないと腹をくくって突破しました(笑)。野球サークルを探して入ろうと思い、部室を訪ねていくところまでは勇気が要りましたが、同じスポーツが好きという共通点があるので、すぐに仲良くなれました。