2014年度

被災地からおもてなしを受けて

2014年度

北上町にボランティアとして訪れ一番感じたことがある。それは、自分達が何かの役に立ったのかという事だ。私は今回のFSに参加するにあたり、被災地の方に対し元気づけるなど、何かの役に立つつもりでいた。しかし実際は、元気づけるどころか元気を分けてもらい、その上おもてなしを受けた気がする。
例えば漁業の手伝いをした鵜の助では、私達が作業をしやすいようにとテントを立ててくださっていた。他にも、私たちは網の手入れを行ったのだが、その際に「後でしっかりと出来ているか確認するから、置いておいていいよ。」とおっしゃっていた。
このことから、私達がボランティアに行くことで鵜の助の方に一手間とらせてしまっていると言える。また、見方を変えると、私達がボランティアをするためのおもてなしをしてくださっているように感じた。
それにも関わらず、鵜の助の方は漁船に乗せて下さるなどの更なるおもてなし、最後には「また来てね。」と何度もおっしゃっていた。
他にも、お祭りのお手伝いをしたが、そこでも大した仕事は出来なかった。ましてや私達でも出来る仕事をつくって下さっていたようなものであるのに、お弁当を頂くというおもてなしを受けた。そして、最後にはやはり「また来てね。」という言葉をかけて頂いた。
このとき私は、多くの疑問を感じた。私たちは大した役に立っておらず、ましてや仕事を増やしているはずであるのに、なぜ北上町の方は「また来てね。」というのか。
この疑問について北上町で震災当時からボランティアを行っている方に聞いてみると、「ボランティアを行うことは、多少何らかの役に立っている。被災地の方は忘れられる、ボランティアが来なくなることが寂しい。外部の人と交流することで何かしらメリットが双方にある。だから、これでいいんだよ。」とおっしゃっていた。
この言葉を聞き、私達に出来ることは少なかったけれど、活動を振り返ってみると、私達が元気をもらったように、被災地の方にも元気や、いつもとは違う空間を提供することが出来た気がした。なので、双方にとってメリットの方が多いのであれば、ボランティアに行き続けるべきだと思った。
被災地である石巻市北上町に実際に行ってみて、ボランティアをするために訪れたはずなのに多くのおもてなしや元気をもらってしまった。今回の活動が北上町の人にとって、どのような役に立っているのかまだまだ疑問は残るが、一度訪れただけでは解決しない問題だと思う。なので、FSは終わってしまったけれど、そこで得た新たな繋がりを元に、北上町をこれからも訪れたい。また、何度か訪れる中でボランティアに行く意義を自分の言葉で話せるようになりたい。