3.11以降ボランティア・NPOが注目されるようになりました。ボランティア募集という広告を見るようになったり、私の周りでもボランティアに参加したという声を聞くようになったりしました。その中で、私もボランティアに参加したいと思うようになりました。実際に現地へ足を運び、被災された方とふれあうなかで、NPOの果たしている役割は何か、ボランティアの果たしている役割は何かということについて考えたいと思うようになりまた。
私はNPOパルシックの2つの活動に大きく注目しました。1つめはNPO、ONEが運営しているコンビニのようなお店で、パルシックの畑で育てた野菜を販売していることです。野菜を販売するのは、「野菜を売る」という概念を提案するためのものです。北上町の人々は野菜は売るというよりも「あげるもの」という考え方をしています。集落の持続可能性を考えるにあたり、野菜をあげるだけでは収益を得ることができません。そこでNPOが野菜を販売することにより収益を得るということに対して興味を持ってもらう活動をしているのです。
2つめは、藍染体験を通じ、加工産業に対する興味につなげようとする活動です。北上町の人々は農業を主としており、加工産業についてはあまり知られていません。しかし、現状では塩害や放射能の被害により農業をおこなうことが難しくなっています。そこで藍染体験をもとに住民が自分の手で生産したものを加工して、付加価値をつけることに興味を持ってもらおうという活動です。
2つの活動がなぜ心に残ったのかというと、最近復興にはハード面の復興も重要だが、本当に重要なのはソフト面での復興であると考えられるからです。私は「復興のあるべき姿はこうだ」などの理想像を聞くだけで、実際にソフト面の復興のためにどのような活動をしているのかは知りませんでした。実際に現地で活動する中で、日々の生活やちょっとしたイベントの中に新しい復興のための種があると分かり、驚くとともに考えさせられました。新しい復興の形のための種は、NPOが直接的に住民に働きかけているのではなく、日々の生活のなかに間接的にちりばめられていたことが分かったからです。
東北ボランティアを通じて学んだことは大きく2つあります。1つめは、NPOが主体となって活動するのではなく、あくまでも脇役であるということです。NPOは種を提供するだけであること、その種をまいて育てるのは住民であるということ。現地で生活しているのは住民であり、住民が興味、愛着を持たないと意味がないからです。2つめは、NPOが介入することの役割は、外からの目線を提供することにあります。住民でないからこそ見える魅力、欠点が伝えられます。客観的な視点が新しい復興の形に重要な役割を果たし、NPOの果たしている役割の一つであると言えます。
一週間という短い期間の中でも、学ぶことがたくさんあり、とてもよい経験になるとともに、自分の未熟さ、知識不足を痛感しました。一緒にボランティアした仲間たち、スタッフの方々、機会をくださった先生方、本当にありがとうございました。この経験を今後の生活にいかしたいと思います。