人間環境学部について

コース制

人間環境学部について

自分で作る学習計画

自身の学習の「軸」を定めるガイドとなるのが「コース制」です。2年次に5つのコースからひとつを選択し、コース共通科目とコースコア科目を履修していきます。
学際的教養と高度な問題解決能力を養う広く深い学びの中で、「自分はこのコースにおいて、このようなテーマないし課題を探求して学生生活を送っていく」という方向性を明確にするための制度です。各コースとも定員はなく、登録にあたっての選抜試験も行ってい ません。各自の自由な意思に基づいていずれかのコースを選択し、学びの道筋を固めていきます。

コース制

コース制のねらいと意義

  人間環境学部は、「持続可能な社会の構築」をめざして、現代の文明を問い直し幅広い知識と知恵で未来を拓くことに貢献する人材を輩出することを目的としています。本学部での学びは、地域の諸課題からはじまって温暖化のような今世紀以降の環境・経済・社会などのさまざまな分野・レベルでの長期的課題への対応と実践へつながっています。「持続可能な社会」であるために必要な「ニューノーマル」(新常態)の切実な希求は、コロナ禍を契機に世界的な潮流となりましたが、その「持続可能な社会」の条件とは何なのか。どのようにすれば社会は持続可能となるのか。めざす社会に少しでも近づけるためには、どのような経路を辿るべきなのか。― これらの命題について、さまざまな場面で議論し明らかにするためには、「つながり」のある幅広い知識をもとに、それぞれの課題の現場をバランスよく「見渡す」ことができる俯瞰力が必要となります。

 そのため本学部のカリキュラムは、社会科学を基盤に、自然科学・人文科学を融合させた学際的な構成となっています。つまり、環境を手がかりとして人類の軌跡や現代社会の諸問題について幅広く思考をめぐらしながら文明を問い直し、未来を展望できる力と感性、および持続可能性にかかわる複雑な諸課題に対して様々な立場の社会人として適切な解決手段を構想し実行できる政策能力を育む教育プログラムの構想に沿って、履修科目を設定しています。

 しかしながら、多様な学問分野から幅広く学ぶことが、その芯となる考え無しになされるならば、時として「あれもこれも多くの学問分野を学んだが、本当に何を学んだのだろう」ということになりかねません。一体どこに重心がある学習であるのか、たとえば就職活動の際に自己の学びを的確に説明することが出来ないという事態にもなりかねません。

そこで、人間環境学部では学際的な履修を進めていく上での道しるべとなるよう「コース制」を設けています。学部生は、2年次から5つのコースのうち1つを選択し、コース共通科目(10 単位以上)とコースコア科目(20 単位以上)を履修することが求められます(注1)。なお、コース選択は、あくまでも皆さんの自発的な意思で希望のコースを選べるようになっており、各コースの定員は無く、登録にあたっての選抜試験なども行いません。

つまり、「自分はこのコースでこのようなテーマないし課題を探究して学生生活を送っていくのだ」という自覚を皆さんに持ってもらうための制度です。5つのコースを設けていますが、各コースそれぞれも幅広いテーマを含んでいます。そしてコース同士が五輪マークのように互いに連関し合っています。2年生から参加できる「研究会(ゼミ)」を軸として、より明確な学習の道筋を自覚することで、皆さんの履修が有意義で豊かなものとなると確信しています。

以下に各コースの概要を述べます。Ⅱ章と合わせて、コース選択の参考にしてください。もちろん、教員は皆さんのコース選択に関する相談に乗り、アドバイスをします。積極的に声をかけてください。

(注1)2016年度以降の入学者に適用されます。『履修の手引き』のコース関連科目表を見ながら、履修の決まりに従って選びます。2015 年度以前に入学した学生、およびRSP(社会人リフレッシュステージプログラム)学生は該当しませんが、コース共通科目とコースコア科目の配置をみて、自分自身の学習の方向性を明確にしてください。

コース概要

経済活動と環境保全が調和するグリーンエコノミーの担い手がもとめられる時代です。そこでこのコースでは、持続可能な市場経済に貢献する人材を育成します。経済理論、企業経営の理論と歴史、現代社会における企業の役割について基礎知識を身につけ、その上で、環境配慮型の市場経済と経済政策、先進的な企業の環境経営とCSR(企業の社会的責任)に関する動向に触れながら、企業やその他の事業主体が社会的責任を果たしていくためのマネジメントやビジネスモデル、さらにグリーンエコノミーを支える生活者の消費行動やライフスタイルなどについて探究します。

ローカルなフィールド体験をベースに、持続可能な地域社会に貢献する実践的な知と構想力を有する人材を育成するコースです。現代のローカル・サステイナビリティに関するテーマは、廃棄物や公害、自然保護などの環境問題だけではなく、エネルギー、交通、都市計画、農林水産業、福祉など、都市と農山村の地域づくり全般に及び、またローカルな問題とグローバルな問題の関わりも重要です。そこでこのコースでは、これらのテーマについて最新のケースとともに学際的に探究し、さらに市民・自治体・NPO・企業など多様な主体の役割と協働について学び、将来の「グローカル人材」としての自分を展望します。

幅広い教養と広い視野を備え、国境を越えた思考で地球規模の持続可能な発展に貢献する「グローバル人材」を育成するコースです。国際社会の動向について基本的な知識を身につけながら、学際的な学びとグローバル体験を通して、気候変動(地球温暖化)や生物多様性、平和、貧困と開発など、グローバル・サステイナビリティに関わる多様なテーマについて探究します。また、地球社会の行方を左右する新興国や途上国の発展と国際協力、先進国日本の役割、さらに政府・NGOなどの市民社会・企業のパートナーシップのありかたについて学び、将来、自らが「グローバル人材」として活躍する場について考えます。

人類が持続可能な社会に向かうためには、様々な針路と実践を模索し選択していかなければなりませんが、その根幹は、数字では表すことができない価値観、幸福感や死生観といった「人間の意思」です。そこでこのコースでは、「持続可能でグローカルな共創社会」に貢献する「市民」にふさわしい知性と感性を備えた人材を育成します。思想・哲学、歴史学、文学・芸術、民俗学、人類学など人文科学をベースにして人間の軌跡と生きる意味を見つめ直し、さらに学際的な学びを通して、将来の人間や文化(衣食住、技術、学問、芸術、道徳、宗教、政治などの生活形成の様式と内容の総体)の行方について探究します。

サイエンス・マインドを持って持続可能な社会に貢献できる文系の人材を育成するコースです。環境問題の解決のためには、自然環境、災害などの解明や人類に影響を与える科学技術を開発する役割を担う自然科学の専門家、さらに市民をはじめとする利害関係者と対話しながら、多様な利害を調整し、対策について総合的な判断やコンサルティングができる人材が必要です。そこでこのコースでは、社会科学や人文科学とともに、自然-人間―社会のつながりに関する生態学的な思考など、自然科学の基礎教養を通してサイエンス・マインドを身につけ、科学・科学技術と経済・社会・政策の関係性についても探究します。

コース制と履修モデル

コース制は学際的な学びのための「道しるべ」です。5つのコースごとに(あるいは幾つかのコースに関連して)、学部の各教員が、学習テーマの具体例を紹介しながら、主にその教員の担当科目を中心に、他にどのような科目も併せて履修していくと有効か、ガイドしたものが「履修モデル」です。

コース制は、食事に例えれば「定食」ではなく、「バイキング方式」ともいえる、皆さんの選択の自由度を尊重した、オーダーメードの余地が大きい履修のしくみです。言い換えると、学部の「展開科目」において、20世紀までの学問分野の分類に従って設けている6つの「科目群」のうち、1つの科目群のみを集中的に履修しても、コースの有効な学びにはなりません。(たとえば、2年生から「人間・文化コース」を選んだとします。このコースに関連する科目が、「人文科学関連科目群」に多いことは確かですが、専らこの科目群だけ履修しても、人間環境学部における学際的な学びにはなりません。「シラバスを見ると、自分の興味に合う授業は人文科学関連科目群に多いので、たくさん履修しよう」というプランは構わないのですが、他の科目群からも適度にバランスよく選ぶことが、文学部に入って「人文科学」学ぶのでは得られない、学際的な稔りになるのです。)

このように、科目群の枠を越えて履修していきながら、一見、つながりがないように見えることがらの間にも重要な関連があることを発見・認識し、自分のなかで「一つにつながった」という充実感を得られることが学際的な学びの醍醐味であり、本学部ならではの収穫になります。

では、どのように科目群を越えて選んでいったらよいのか ― 具体的なテーマごとに、栄養バランスのよいバイキング方式の料理メニュー(推奨科目)選択のガイドとして、別冊「履修モデル」を活用して、各自のオーダーメードで学習計画に役立ててください。