「持続可能な地域社会の創造」をテーマとして、創造的な課題解決を図るソーシャルイノベーションやソーシャルデザイン、さらに2015年、国連総会で合意され世界中で取り組みが進むSDGs(持続可能な発展のための目標)を手がかかりとして、環境・経済・社会の3つの領域にかかわる多様なテーマについて、地域と連携しながら、調査研究と実践活動を組み合わせるPBL(課題解決型学習)に取り組み、〈社会貢献するゼミ〉をめざしています。
1.コジLABOのミッション
基礎学習・プレゼンテーション・討論・ワークショップ・調査研究・地域実践活動などを通して、学生たちが総合的な能力を構築しながら、地域社会に貢献することが、私たちのゼミのミッションです。
教室での知的トレーニングやチームビルディングをベースとしてフィールドに向かい、さらに教室に戻って地域課題に取り組み、「お互いに成長していこう!」、それが、私たちの共通認識です。
ゼミでありながら、シンクタンクやチェンジメーカーの役割を果たすラボであることを自覚するために、2017年に〈Community Innovation. J Laboratory(通称:コジLABO)〉というセカンドネームも全員で考え、フィールドで会うみなさんには、コジLABOの名刺を渡しています(Jは、若さ、つなぐ、楽しさ、正義など、Jがつく英単語のうち地域実践から連想されるキーワードの集合を表現しています)。
2.SDGs✕ローカル・プロジェクト
「持続可能な地域社会の創造」というゼミのテーマであり活動理念を体現するために、これまでも、「書をもってまちに出よう」を合言葉に、様々な地域実践を行ってきました。多摩川の河川敷(川崎市登戸)に交流空間としての可能性を見いだし、2006年から2012年までの7年間、自治体・NPO・観光協会など地域のみなさんと連携して「多摩川夕涼みコンサート」を8月に開催し、毎回、数百名の市民のみなさんに音楽を届けながら、都市河川の地域環境としての大切さを、展示や子ども達への環境教育プログラムによって訴えました。
また、大学がない地域で人々が交流しながら学び、地域づくりにつなげていくための場として、2006年から長野県飯山市でゼミが始めたイベントである「いいやま学びの里サマーカレッジ」も、2020年で15年になりましたが、2016年からは、地域にできた「いいやま学びの里コミュニティ・カレッジ」による主催へとバトンタッチすることができたため、私たちは、主役から名脇役へと立場を変えて、引き続きサマーカレッジの企画運営に参加しています。
そして2020年からは、新たに、神奈川県横須賀市、千葉県香取市佐原地区、多摩川流域(山梨県小菅村・東京都奥多摩町・神奈川県川崎市)など、首都圏の各地域と連携した複数のプロジェクトを開始しました。どのプロジェクトにも共通するのは、SDGs✕ローカルという問題意識です。
私たちのゼミでは、1年間の活動を報告書にまとめ、地域社会に還元する取り組みを15年間続けてきましたので、これからも地域のみなさんと共に歩んでいきたいと思います。
3.ウイズコロナ・アフターコロナと私たち
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響でフィールドに出かけることができなくなりました。しかし、ゼミのセカンドネームがコジLABOである以上は、何かできることをやろうと考えました。そこで、授業を通して身につけたスキルを活かした〈オンライン関係人口〉に挑戦するため、遠隔会議システムによるサマーカレッジを開催し、また、これまで飯山で出会ったみなさんと対話しながら、これからの飯山をはじめ奥信濃における持続可能な地域づくりと担い手について考えるオンライン・フィールドスタディを実施しました。
さらに、アフターコロナの時代におけるオンライン・ツールも活用した地域貢献について調査研究するプロジェクト、若い世代の視点で東京一極集中の変革と新たな地域社会像について提言するプロジェクトにも取り組んでいます。また今後、人口減少社会を見据えた都市コミュニティの再生などのテーマにも取り組んでいく予定です。
私たちは、学生たちの多様性を尊重しながら、同時にONEチームとしても力を発揮するという、ゼミが始まった2001年から模索し受け継いできたスピリットをこれからも大切にしながら、常に時代の変化を見つめ、新たな課題に挑戦していきます。