2024年度実施フィールドスタディコース

地方の課題と地域資源を活用した持続可能性

2024年度実施フィールドスタディコース

【担当教員:杉野誠】

前年の経験をもとに、山形FSのプログラム内容に修正を加えた。具体的には、①移動時間を短縮しアクティビティを増やす、②全てのアクティビティを参加募集前に決定せず参加のニーズに合わせて柔軟に対応、および③プログラムの一部を参加者が提案(プレゼンテーション)し、投票でアクティビティを決定することにした。これらの修正により、参加者が主体性を持って参加できるプログラムを目指した。
2024年度は、募集人数10名に対して30名以上の応募があった。そのため、参加者を予定の6名超える16名を選抜した。16名を4グループに分け、事前学習を2日間に渡って実施した。事前学習では、山形の歴史や文化を中心に行い、山形県が抱える環境問題の理解を深めた。事前の最後には、各グループがアクティビティの提案を行い、投票を行った。天候不順に備え、室内および室外で実施できるアクティビティを準備した。
現地での学びは、8月7日から10日にかけて実施した。初日は、晴れていたが午後から雷雨の予報があり、山形市内の山形美術館、最上義光歴史館、山形県立博物館、山形県郷土館(文翔館)に予定を変更した。山形美術館では、山形県に所縁がある芸術家および川瀬巴水展を見学した。その後、山形花笠まつりを見学し、初日を終えた。
2日目は、山形県農業総合研究センター・園芸試験場にて、山形県の取り組みについて学んだ。特に、山形県の名産品である、さくらんぼに関する品種改良やブランディングについて学んだ。その後、蔵王温泉(山形市)に移動し、温泉をはじめとした地域観光資源について学んだ。
3日目は、蔵王の御釜を見学した。蔵王山では、アオモリトドマツの立ち枯れによって樹氷の消滅が危惧されていることを学んだ。立ち枯れしている原因が蛾の幼虫によるものであることから、地球温暖化による影響を肌で感じることができた。その後、3時間ほど山道を散策しながら、山形の高山植物、や環境保護の重要性について学んだ。
最終日は、飯豊町にて、山形県長井市の生ごみの循環・処理に関する「レインボープラン」を学んだ。その後、地域活性化と絡んだSDGsに関するゲームを全員で実施した。ゲームでは、異なる立場(ステークホルダー)として参加し、地域活性化の難しさについて学んだ。また、地域活性化および地域の持続可能性について活動している飯豊町および長井市の講師と意見交換をした。
本年度のFSでは、バスでの移動時間を減らしたことにより、参加者が空いた時間を活用しながら山形県について学び、地方の持続可能性について環境、農業、観光など広い視点から取り組むことができた。