2024年度FS「原子力発電と核燃サイクル」(2024年8月27日~29日)担当教員:藤倉 良・岡松 暁子
本FSでは東北地方を福島、宮城、青森と北上して、原子力発電に関する3施設を見学し、原子力の過去から未来へと学びました。
最初は過去です。福島県富岡町の東京電力廃炉資料館では、3・11東日本大震災による津波で全ての冷却装置が停止し、水素爆発を起こすまでの経緯と、なぜ、このような事故が起きたのか。そこから何を学ぶことができるかが、余すことなく紹介されていました。
次は現在です。宮城県女川町の東北電力女川原子力発電所は東日本大震災で稼働を停止していました。翌月に予定されていた再稼働の準備で極めて多忙な中、特別なご厚意で、私たちの見学を受け入れて頂きました。福島の経験を踏まえつつ、何重にも設定された安全施設を見学するこができました。再稼働は予定より遅れましたが、2号機は12月26日に13年ぶりの稼働を開始しました。
最後は未来です。青森県六ケ所村では、使用済み核燃料をプルサーマル炉でMOX燃料として利用するための再処理工場の現場を見学しました。これが稼働すれば、現在はフランスで行っている再処理を国内で行えるようになり、日本国内で核燃料サイクルが完成します。当初は再処理工場は8月にも竣工する予定でしたが、残念なことに私たちの訪問後、竣工は2026年に延期されることが決定されました。
六ケ所村ではあわせて国際熱核融合実験炉(ITER)の施設を見学しました。これは国際プロジェクトであり、ここでは、日本の技術者とともにヨーロッパの技術者も共同で装置の試験に取り組んでいました。核融合炉が完成すれば、エネルギー問題は全て解決するとも言われています。こちらも、残念ながら、稼働時期が従来計画の2025年から早くとも33年に先送りになりました。
本FSを通じて、原子力開発の一端を触れることができました。