2023年度実施フィールドスタディコース

習志野市大久保地域のアメニティマップ×空間の履歴×哲学ウォーク

2023年度実施フィールドスタディコース

実施時期:2024年2月22日、2月26日〜3月2日(Ⅱ期)
実施場所:千葉県習志野市、京成大久保駅から大久保商店街の周辺

学習目的:
・古くからの商店街を対象に、アメニティ評価と空間の履歴の調査を行う(吉永担当)。
・哲学ウォークの手法を使って、街をいつもとは違う観点から見つめると同時に、その省察について質問し合い、考察を深める(金光担当)。

参加者のレポートから(アメニティマップ・空間の履歴)

私は知らない街に長期間いたり通うことになった際に、時間があれば街に出て歩いてみたりするのが好きで、そんな街歩きをしながら単位が取れるということで志願したフィールドスタディだが、今回のアメニティマップと空間の履歴の調査で学んだことは二つある。
 一つ目はその場所の過去や履歴について知ることは、よりその場所やそこに住むに人びとの魅力に気づくことができるということである。アメニティマップの作成のために一人で歩いた一日目では、この街の今の状態しか認識せずに、「この道は車通りが多いのに歩道部分が狭くて危険だ」や「さびれてしまったお店がたくさんあるな」など、習志野という場所を見る視点が現在にしかなかった。しかしグループで空間の履歴について調査した二日目では、古地図を見ながら街を探索し、今も残るお店やそのあとが残っている場所を訪れたり、「車通りが多いこの道は、昔は砂利道で馬車や荷車が通っていた」、「街でお祝い事があるとこの酒屋さんからお酒をいただいていた」、「○○さんとこのお姉さんと私が同級生だった」といったことを聞けたりして、当時の情景やその時を生きていた人々の暮らしをまじまじと感じることができ、とても貴重な体験になった。祖母が『鶴瓶の家族に乾杯』をよく見ているのだが、質問に答えてくださった方々からはその番組と同じような人々の温かさを感じることができた。
 二つ目は、当たり前のことだがその場所の良し悪しはたったの数回街を歩いただけでは判断できないということだ。これは一つ目とも関連するが、避難場所の掲示がたくさんされている、足の不自由な人への配慮がなされているといったアメニティや、歩道が狭い、ごみが道路に出ているといったディスアメニティは、習志野市大久保の長い歴史の中では刹那的な物でしかなく、春になればこの通りは桜が咲いてきれいになる、この公園は夏場には日差しが強すぎて危険だといったような、長期間習志野を訪れていないとわからないこともある。また街の外見的なもの以外にも、街に住み人々の暖かな対応はアメニティであり、もし他人の迷惑を考えないような人がいればそれはディスアメニティになる。そういったものは長くいても築けないこともある。このことを今私が住んでいる街をアメニティや空間の履歴の視点から考えてみると、おおざっぱなアメニティとディスアメニティは思いつくが、ここは実はとても不便な場所だったということや、昔ここは○○があってこんな人たちが住んでいたということに新たに気づけるかもしれない。実際に家の近くの八幡神社を少し詳しく見てみようと訪れた際に、神社の社務所が立っている場所は昔小学校が立っていたということが分かった。十数年この町に住んでいたがそのことを知ったのは初めてであった。
新しく訪れた場所の魅力を感じること、今住んでいる場所をより詳しく知り好きになれること。この二つの視点で町を歩くことが、このアメニティマップと空間の履歴の調査によって得ることのできたスキルであると考える。
 

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参加者のレポートから(哲学ウォーク)

哲学ウォークで、『「大胆」とは勇気の一種であって、もっとも危険な事柄の実行へと精神を向かわせるものである』というデカルトの言葉を引き、哲学ウォーク後の対話での、「命に危険が及ぶような、リスクのあることにまで挑戦すべきか」という質問から、現時点で大胆な性格ではない自分が、「今後の人生を後悔なく大胆に生きるにはどうすべきか」を問いに挙げて考える。
私は、高校での短期語学留学の機会や、海外FSの機会を、自分の臆病さから逃し、大学生になった今でもとても後悔している。私は海外に行ったことがないので、行ってみたいという強い気持ちはあっても、実際に行って何か事故に巻き込まれたらどうしよう、命に危険が及んだらどうしようと考えてしまい、大胆に行動できずにいた。
「命に危険が及ぶような、リスクのあることにまで挑戦すべきか」という質問に対し、何でもかんでも挑戦して、本当に命を失ってしまった場合は、これから起こる機会に挑戦できなくなるから、すぐ大胆に挑戦すべきではない。大胆に挑戦する前に、挑戦したことによる自分への影響を考えたり、線引きをしたり、入念な準備をすべきだ、と回答した。
これらのことから、「今後の人生を後悔なく大胆に生きるにはどうすべきか」を考えると、私には、行ったことのない場所への恐怖が大胆な挑戦への妨げとなっていると感じるため、それを取り除くために、事前に観光の本を読んだり、ネットでその場所の情報収集をしたり、もし事故に巻き込まれてしまった場合の対処法も少しは用意しておくことが必要だと考える。また、事故に巻き込まれたらどうしようという懸念に関して、入念な準備をしておけば、それが起こる可能性は高くはない、もしくは少しでも被害は抑えられるというように、考えを変えてみるのも大胆な挑戦への一歩となると考える。
友人と、「卒業旅行でどこか海外に行きたいね」という話をしているので、哲学ウォークと、その後の対話を通して身に付けた新たな考え方や行動の仕方を用いて、大学生のうちに海外に行くという目標に挑戦したい。
 

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  • 哲学ウォーク集合写真