実施時期:2022年8月3日・5日・9月6日・8日
実施場所・行程:埼玉県秩父市・秩父郡横瀬町・秩父郡長瀞町
1 日目:西武秩父駅集合→ちちぶ銘仙館→昼食→秩父市役所→まち歩き→秩父神社→秩父まつり会館→まち歩き→西武秩父駅解散
2 日目:横瀬駅集合→寺坂棚田→横瀬町歴史民俗資料館→横瀬ふれあいプラザ・なぜラボ→昼食→武甲山資料館→今宮神社→橋立鍾乳洞
→西武秩父駅解散
3 日目:西武秩父駅集合→三峯神社(昼食含む)→西武秩父駅解散
4 日目:長瀞駅集合→宝登山神社→長瀞町郷土資料館・旧新井家住宅→昼食→宝登山神社奥宮→宝登山小動物公園→長瀞駅解散
協力機関等:山本正実氏(小鹿野町教育委員会)・横瀬町役場・横瀬町歴史民俗資料館・秩父市役所
学習目的:秩父の三大神社探訪・武甲山の景観観察などを通じて、秩父の土地に根ざした信仰の場に理解を深める一方で、秩父を支えてきた二大産業、
絹織物とセメント産業の歴史と現在について学ぶ。さらに関連文化施設での学習や町並み散策を行うことで、信仰と人々の暮らしの関わりを理解する。
参加学生のレポートから(抜粋)
秩父市役所から見る武甲山は迫力があり、武甲山資料館で石灰採掘以前の姿を見て、より一層その威風堂々たる姿が秩父地域の人々にとって圧倒的な信仰の対象だったことに納得した。横瀬町歴史民俗資料館では武甲山の名前の変遷をもとに展示を行っていることからも、武甲山は秩父地域の信仰・文化を考える上で中心的存在であったこと、近代以降は石灰採掘の場となり役割が変遷しても、地域の人々の暮らしに密接に関わりその発展を支えていることは変わらないのだと感銘を受けた。(3年男子)
山本先生(現地講師)の「名所はつくるもの。現在の盛況ぶりは努力の賜物」というコメントは、とても印象深く地域形成・地域経済の在り方について考えさせられた。新たにハコモノを造ったり外部資本を誘致したりするのではなく、地元の人々だけで、自分たちが今持っている資源と知恵(ローカル・ナレッジ)を活かし、ブリコラージュで観光資源を創出する動きは、現在の日本のまちづくりを考える上で重要な視点だ。そうした努力によって新たなつながりや結束が生まれた可能性は大いにあり、ソーシャル・キャピタル醸成やソーシャル・インクルージョンの観点からも大きな意義があると考える。(3年男子)
山と川に囲まれた秩父地域は、古くから、水や木材など豊富な天然資源を活用するとともに、稲作に向いていない地質を逆手に取り、養蚕に力を入れ絹織物の町として発展してきた。明治から昭和期にかけては、武甲山で採掘される石灰岩によりセメント産業の町としても成長してきた。銘仙館で試着した美しい絹織物と、武甲山の荒々しく削られた岩肌に、秩父地域の歴史の厚みを感じた。(2年男子)
横瀬町の寺坂棚田が印象に残った。効率の悪い稲作は過酷な労働だが、そこには日本の原風景があった。この棚田から見晴らす景観は圧巻で、古代から秩父の人々が信仰してきた武甲山、鎌倉時代まで遡る稲作文化、そして武甲山のふもとには近代化の象徴とも言える三菱セメント工場、と秩父の歴史を一望することができる意味深い場、観光資源である。一方、現在では秩父の新たな観光資源として、アニメの聖地巡礼が注目されている。観光文化の変遷・多様化も興味深い。(2年男子)