フィールドスタディ

2010年度実施 フィールドスタディコース

フィールドスタディ

五感で感じる学び

フィールドスタディ(現地学習)は、キャンパスを飛び出し、私たちがおかれている社会環境や自然環境を肌で感じ、さまざまな実体験を通して自らの問題意識を高めようという目的で設けられているプログラムです。フィールドスタディの舞台には、自然保護、まちづくり、農業、地域福祉、文化、国際協力、植林などの分野が用意されています。五感を駆使して学ぶさまざまな経験は、将来にわたり皆さんの大きな糧となるでしょう。

コースリスト(2010年度は以下のコースで行いました)

テーマ 実施場所 
  •  環境と文化の都市・飯田のまちづくり、地域の伝統芸能と社会
 長野県飯田市(中心市街地および郊外山間部)並びに妻籠ほか
  •  Eco-Carの走行性と静粛性
 東京都、神奈川県
  •  地域において障害者とともに過ごす-就労継続支援・生活介護活動への参加-
 埼玉県三郷市
  •  A:富士・伊豆の自然と陸水環境
     B:酸性河川の水質改善と浅間火山活動の歴史
 A.富士山周辺、伊豆半島
 B.草津温泉、嬬恋村キャベツ畑、浅間火山
  •  ブナの森から農業と農村を考える
 新潟県上越市吉川区 (旧 吉川町)
  •  自然エネルギー・自然保護と地域社会の再生
 青森県鰺ヶ沢町、五所川原市
  •  環境インフラ
 東京都(水道局,下水道局,環境局) 
  •  障害者福祉の体験
 群馬県碓氷郡 ゆきわりそうの山荘
  •  フィールドワーク事始―伊豆大島の自然・文化・観光をとおして
 伊豆大島  
  •  北東北の縄文遺跡と失われた中世港湾都市の学習
 青森市「三内丸山遺跡」及び五所川原市「十三湊(とさみなと)遺跡」
  •  温暖化対策と科学技術
 東京都および近県
  •  黄河流域での砂漠化防止事業を通し地球環境問題を現地で学ぶ
 中国 内蒙古自治区 クブチ沙漠、オルドス砂漠、フフホト市、および北京市 
  •  浅間火山の噴火災害の歴史 日本一規模のキャベツ畑見学
 浅間火山
  •  黄河流域での砂漠化防止事業を通し地球環境問題を現地で学ぶ
 中国 内蒙古自治区・オルドス砂漠ほか
  •  津軽鉄道が結ぶまちづくりと地域社会の再生
 青森県五所川原市ほか
  •  国際法を感じる研修旅行
 オランダ(アムステルダム、ハーグ)、ドイツ(ハンブルク、リューベック)

№1 環境と文化の都市・飯田のまちづくり、地域の伝統芸能と社会

旧城下町である飯田市は、人口約10万人の典型的な地方都市です。ここは人形劇とリンゴ並木を愛し、エコツーリズムを推進する南信州の環境文化都市としても有名です。このフィールドスタディでは、人形劇フェスティバルへの参加を通し、また、環境重視のまちづくりをめざす飯田市の活動を多方面から学習することにより、これからの地域のあり方を考えていきます。さらに、伝統的な食や工芸の体験をしたり、周辺の妻籠(つまご)地域など伝統的町並みの中に身を置いたりして、文化の伝承とまちおこしを、頭と身体の両方で学習していきます。

№2 Eco-Carの走行性と静粛性

このフィールドスタディは、ガソリンからの脱却や大気汚染の軽減などへ向けて普及してゆくであろう電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)を見て、知って、触ろうという内容です。
EVの技術で業界先端をゆく日産自動車(追浜工場)、FCVの国家プロジェクトである水素・燃料電池実証プロジェクト施設、そしてEV普及を推進している神奈川県庁をそれぞれ視察して、EVやFCVに関する技術や産業界の動き、交通政策などを学びました。また、EVやFCVに試乗し、乗り心地と加速の良さを実感しました。さらに、騒音計を使って走行中の車内の騒音レベルを計測し、その大量のデータから走行状況と車内の静かさとの相関を分析しました。

№3 ブナの森から農業と農村を考える

新潟県上越市吉川区で今日の日本の農業と農村の問題を考えます。尾神岳に広がるブナの森から流れ出た水を利用して米づくり(コシヒカリ)農業が続けられている吉川は、過疎化と高齢化が進行する農村地帯です。自然を利用して行われる農業、そこに作られる社会としての農村、このコースでは行政や農業団体、農家の方から直接に話を聞くことを通して、食糧自給率・環境保全型農業・大規模機械化農業・山間地の棚田での農業など、その実際を学びます。吉川の美しい自然にふれ、そこに生きる人々の生活の見聞を通してあなたの視野を広げてみましょう。手作りアイスを食べながら楽しく学びませんか。

№4 自然エネルギー・自然保護と地域社会の再生

青森県鰺ヶ沢町で、自然エネルギー・自然保護と地域社会の関係について考えます。自然エネルギーについては、市民の出資による風力発電所(市民風車)や、リンゴの剪定枝による木質バイオマスの現場を見学します。また、市民風車事業を手がけるNPO、出資をした市民、行政の三者によるまちづくり基金を用いた地域活動に参加し、自然エネルギーと地域社会の活動の関係について学びます。さらに、世界遺産として知られる白神山地を訪れ、人々の生業と白神山地との関係を学びます。そこには世界遺産としての白神山地とは違った側面の、本来の白神山地の姿と人々の生活が見えてくるはずです。

№5 フィールドワーク事始―伊豆大島の自然・文化・観光をとおして

このフィールドスタディでは、計画の段階から学生の自主性を重んじています。学生自身でテーマとフィールドを決定し、現地にいってフィールドで遭遇した具体的な出来事をもとに問題意識を醸成します。そして調査レポートの作成をとおして問題意識をねりあげていきます。2010年度には、伊豆大島にて地域の自然と文化に根ざした観光と産業の可能性について調査をおこないました。そのなかで椿油にとくに注目することになりました。もっともフィールドスタディは、はじまりにすぎません。ひきつづいて研究会(ゼミ)のなかで、問題意識をさらに深めていくことになります。

№6 温暖化対策と科学技術

「温暖化対策と科学技術」をテーマとしてCO2の排出抑制技術と森林整備による吸収力を調査するため現地視察を行っています。2010年度は、コンバインドサイクル方式による火力発電のしくみや歴史、効率改善状況などについて調べるため川崎火力発電所を訪問しました。また山梨県道志村を訪ねて、水源森林の観察、樹木間伐体験や、杉の体積測定などを行い炭素吸収量の算定を試みました。さらに現在そこで進められているCO2吸収認証制度についてヒアリングしその意義や効果などについて検討しました。古民家において囲炉裏を囲んでの団欒はとても楽しい夜となりました。温暖化対策における「自然力vs技術力」を比較考察することはとても興味深い検討テーマに発展しています。

№7 黄河流域での砂漠化防止事業を通し地球環境問題を現地で学ぶ

現在、世界各地で砂漠化が急速に進行しています。このコースでは、砂漠化が進む中国の黄河流域・黄土高原において緑化活動をしながら、砂漠化の問題や、水資源、将来の食糧問題など、幅広い地球環境問題を学びます。緑化は、地元の人々と交流しながらの作業で、地球のために共に汗を流すという感覚を味わいます。同時に、現地の専門家から地域の砂漠化問題や対策に関する講義を受け、いくつかの現場も見学します。さらに、北京など都市の歴史遺産や都市環境なども立体的に学習します。2010年度は、8月下旬に9日間の日程で実施しました。