フィールドスタディ(現地学習)は、キャンパスを飛び出し、私たちがおかれている社会環境や自然環境を肌で感じ、さまざまな実体験を通して自らの問題意識を高めようという目的で設けられているプログラムです。フィールドスタディの舞台には、自然保護、まちづくり、農業、地域福祉、文化、国際協力、植林などの分野が用意されています。五感を駆使して学ぶさまざまな経験は、将来にわたり皆さんの大きな糧となるでしょう。
テーマ | 実施場所 |
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三郷市半田および新和 |
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北部ベトナム(ハノイ周辺)及び中部ベトナム(フェ) |
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国立科学博物館(東京)ほか |
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青森県鰺ヶ沢町 |
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群馬県 |
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青森市及び五所川原市 |
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東京都、神奈川県、群馬県内の発電施設 |
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新潟県上越市吉川区 |
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秋田県北秋田市森吉 |
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富士周辺、伊豆半島 |
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高知県西部(四万十川流域) |
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草津温泉、嬬恋村キャベツ畑 |
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浅間火山 |
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中国 内蒙古自治区・オルドス砂漠ほか |
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阿寒湖温泉 |
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長野県飯田市(市街地および郊外山間部)・妻籠ほか |
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伊豆大島 |
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Switzerland/Austria |
青森県鰺ヶ沢町で、自然エネルギー・自然保護と地域社会の関係について考えます。自然エネルギーについては、市民の出資による風力発電所(市民風車)や、リンゴの剪定枝による木質バイオマスの現場を見学します。また、市民風車事業を手がけるNPO、出資をした市民、行政の三者によるまちづくり基金を用いた地域活動に参加し、自然エネルギーと地域社会の活動の関係について学びます。さらに、世界遺産として知られる白神山地を訪れ、人々の生業と白神山地との関係を学びます。そこには世界遺産としての白神山地とは違った側面の、本来の白神山地の姿と人々の生活が見えてくるはずです。
新潟県上越市吉川区で今日の日本の農業と農村の問題を考えます。尾神岳に広がるブナの森から流れ出た水を利用して米づくり(コシヒカリ)農業が続けられている吉川は、過疎化と高齢化が進行する農村地帯です。自然を利用して行われる農業、そこに作られる社会としての農村、このコースでは行政や農業団体、農家の方から直接に話を聞くことを通して、食糧自給率・環境保全型農業・大規模機械化農業・山間地の棚田での農業など、その実際を学びます。吉川の美しい自然にふれ、そこに生きる人々の生活の見聞を通してあなたの視野を広げてみましょう。手作りアイスを食べながら楽しく学びませんか。
森吉山(秋田県)、富士五湖(山梨県)、白糸の滝(静岡県)、草津温泉(群馬県)を中心に、自然環境の実態把握を行います。森吉山では、ブナ原生林での地下水の保水状態や、標高によって植生が変化する様子を現地で学習します。富士五湖では、湖の成因と水温・水質の変化を調べます。白糸の滝では、地下水の湧き出すしくみを学習します。また、草津温泉では、酸性河川の水質改善を学びます。これらの実習を通じて、自然環境保護のありかたを考えます。
「日本最後の清流」と呼ばれる高知県の四万十川流域。水質が良いだけならばここ以上の川も少なくないのに、なぜ四万十が「清流」の筆頭のように言われるのでしょうか。……それは川とつながって育まれた生活文化の豊かさが関わるのでは?という予想のもと、現地の人々とのふれあいを多く採り入れています。かつての小学校を利用したエコツーリズム施設に宿泊し、支流の元気な山村の活動、農家のグリーンツーリズムの取り組み、川漁などのヒアリングや、カヌー川下り(+沈下橋ダイブ)、地元食材を使った自炊コンテスト……等々、盛り沢山な4日間です。
現在、世界各地で砂漠化が急速に進行しています。このコースでは、砂漠化が進む中国の黄河流域・黄土高原において緑化活動をしながら、砂漠化の問題や、水資源、将来の食糧問題など、幅広い地球環境問題を学びます。緑化は、現地の大学生と交流しながらの共同作業で、共に地球のために汗を流します。同時に、中国の大学教授など専門家から地域の砂漠化問題や政策に関する講義を受け、現場も見学します。さらに、北京など大都市の歴史遺産や都市環境なども立体的に学習します。2008年度は、9月上旬に8泊9日の日程で実施しました。
旧城下町である飯田市は、人口約10万人の典型的な地方都市です。ここは人形劇とリンゴ並木を愛し、エコツーリズムを推進する南信州の環境文化都市としても有名です。このフィールドスタディでは、人形劇フェスティバルへの参加を通し、また、環境重視のまちづくりをめざす飯田市の活動を多方面から学習することにより、これからの地域のあり方を考えていきます。さらに、伝統的な食や工芸の体験をしたり、周辺の妻籠(つまご)地域など伝統的町並みの中に身を置いたりして、文化の伝承とまちおこしを、頭と身体の両方で学習していきます。
このフィールドスタディでは、計画の段階から学生の自主性を重んじています。学生自身でテーマとフィールドを決定し、現地にいってフィールドで遭遇した具体的な出来事をもとに問題意識を醸成します。そして調査レポートの作成をとおして問題意識をねりあげていきます。2008年度には、伊豆大島にて地域の自然と文化に根ざした観光と産業の可能性について調査をおこないました。そのなかで椿油にとくに注目することになりました。もっともフィールドスタディは、はじまりにすぎません。ひきつづいて研究会(ゼミ)のなかで、問題意識をさらに深めていくことになります。