お知らせ

人間環境学部のブックレット『13歳からの大学講義 Beyond SDGs!』が刊行されました

  • 2022年03月01日
お知らせ

人間環境学部のブックレット『13歳からの大学講義 Beyond SDGs!』が刊行されました。

誰もが生きていたいと思える社会に

 
 この本を手にとった皆さんは、SDGs(持続可能な開発目標)に関心を持っている、あるいは持続可能な社会に関心がある人でしょう。もしかしたら学校の先生に言われて手にした人もいるかもしれません。この本では、法政大学人間環境学部の教員たちが、自分の専門分野のレンズを通してSDGsや持続可能な社会について語っています。
 私たちは、この本を通じてSDGsを知ることや関心を深めること以上のことを伝えたいと思っています。それは、「みなさんが社会の一員である」ということは、「社会やその未来を作る一員でもある」ということです。
 たとえば、みなさんの1日を振り返ってみてください。みなさんの日常にはさまざまな形での<つながり> が見つけられるはずです。電車で通学する人は、電車を運行する人々や会社だけではなく、電力を供給している人たちがいることも思い出してみてください。みなさんが食べるものは、どこで誰が作ったものでしょう。たとえば牛肉を食べたら、その牛を育てるためにどこか遠い場所で飼料用に大量の水や土地が使われているかもしれません。環境にやさしい石鹸を使ったら、その石鹸のためにどこか遠い場所で森が切り開かれ、多くの人が農園で働いているかもしれません。
 現代社会に暮らす私たちの生活―もしくは生そのもの―は、多くの人々が関わり生産する財(モノ)やサービスで支えられています。また同時にそれら財やサービスを私たちが消費し対価を支払うことで、財やサービスを提供してくれる人々を支えています。そしてその<つながり> は国境を越えはるか遠い世界へと広がっています。
 財やサービスを介した<つながり> だけではなく、お互いの存在やアイデンティティーの尊重、宗教や文化のように見えにくい<つながり> もあります。私たちの生活は<つながり> によって成り立ち、<つながり> の網の目が社会を形作っています。
 しかし、私たちは今の社会が持続可能ではないかもしれないとの強い不安を抱いています。気候変動のような国際的な懸念から、感染症のため会いたい人に自由に会えない身近なことまで、何か今までどおりには行かないという思いを抱いています。SDGsとはそういう現代の人々の悩みや困りごとが束になっているものです。どこかにそれらの解決を求める人々が―あなた自身も含めて―いるのです。
 SDGsを通じて社会の課題を知り、考え、悩み、行動し、SDGsの実現を目指すことはとても大きな挑戦です。しかし、SDGsはあくまで例示に過ぎません。「持続可能な社会の実現」という時の社会は、まさにみなさん自身が誰かとつながりながら生きていく場所や<つながり> の総てです。本当に大事なのは、今の<つながり> を見つめ直し、自分たちが生きていたい、そして未来世代も含めた他の人にとっても同じように生きていたいと思える社会や未来を作ることへの挑戦です。そのことがみなさんに伝われば良いなと思っています。


人間環境学部 学部長
武貞 稔彦

法政大学人間環境学部・サステイナビリティ・ブックレット-2 『13歳からの大学講義 Beyond SDGs!』公人の友社、2022年 定価:本体700円+税

法政大学人間環境学部・サステイナビリティ・ブックレット-2 『13歳からの大学講義 Beyond SDGs!』公人の友社、2022年 定価:本体700円+税