「ガバナンス・コード」に関する本学の取り組み状況について

基本原則「2.公共性の確保」

「ガバナンス・コード」に関する本学の取り組み状況について

 

会員法人は、わが国の将来を担う多様な人材を育成するとともに、教育研究活動とそこから得られた成果を通じて社会や地域に貢献し、その要請に応える必要がある。

遵守原則2-1

会員法人は、建学の精神等に基づく多様な人材育成像を保持しつつ、時代や社会の変化を踏まえながら、教育研究活動を通じて、広く社会に、また地域にとって有為な人材を育成する。

【考え方】
わが国における高等教育機関として、私立大学が担ってきた役割は非常に大きい。時代や社会環境の変化によって、求められる人材像も変化しているが、私立大学は、多様な教育研究活動を通じた人材育成により、社会情勢の急速な変化に対応することを可能としてきた。

【遵守】

  • 本学では長らく「自由と進歩」を学風としてきたが、この原点に立脚し、流動化する時代のなかで、教育・研究活動を通じて社会的責任を果たしていくために、2016年に法政大学憲章を制定した。
  • 法政大学憲章では、地球社会の課題解決に貢献することを本学の使命と位置づけ、これを教育・研究活動のあらゆる指針に反映させることにより、時代や社会の変化に対応した人材の育成と研究の推進に努めている。
  • 大学憲章、理念・目的、ビジョン、長期ビジョン(HOSEI2030)、中期経営計画

重点事項2-1

会員法人は、それぞれの会員法人が目指す人材育成(大学教育)を行うために、教育の質の向上や学修成果の可視化等による教育の高度化に努め、不断の改善サイクルにより教育研究活動を向上させる。

【考え方】
時代や社会環境の変化に応じて求められる人材像が変化するように、会員法人が目指す人材育成(大学教育)の方法も、不変のものではない。常により高いレベルを目指す教育方法等の改善・向上は、会員法人のさらなる発展に欠かすことができない。教育研究の改善サイクルを確立し、有効に機能させることは、会員法人の自主性・自律性の確保に必要である。

【遵守】

  • 教育の質の保証及び向上に取り組むために、内部質保証の推進に責任を負う組織として全学質保証会議を設置し、大学全体で組織的に取り組む体制を構築している。また、学部・研究科・研究所等の教育研究組織が毎年自己点検・評価を実施しており、その結果を教育研究水準の向上に資するための改革・改善に結び付けている。
  • 大学全体及び学部・研究科・研究所等では、毎年度の自己点検・評価活動を通じて、中期目標・年度目標等を適切に設定するとともに、3つのポリシーやカリキュラム等の見直しも行い、時代や社会の変化に即した教育・研究活動を推進している。
  • 自己点検・評価

実施項目2-1

① 学校法人及び当該学校法人が設置する大学等のミッション、ビジョンを踏まえ、学校法人及び大学、学部・学科、研究科等の毎会計年度ごとの事業計画(以下「事業計画」という)、達成目標や具体的な行動指針を明確にする。

  • 長期ビジョン(HOSEI2030)の実現に向けた中期経営計画に基づき、毎年度事業計画を策定し、これに必要な予算編成を行っている。事業計画書と予算書及び事業報告書と決算書は大学ホームページにおいて公開している。
  • 予算・決算・事業報告
     
  • 学部・学科、研究科等の各教学組織の会計年度ごとの事業計画(年度目標、達成指標)は、自己点検活動の一環として教学組織ごとに作成されている。各教学組織の事業計画の元となる「教育目標」「ディプロマ・ポリシー」「カリキュラム・ポリシー」「アドミッション・ポリシー」「アセスメント・ポリシー」の内容については、大学のミッション・ビジョンである「法政大学の理念・目的および各種方針」を踏まえたものになっているか、各教学組織で年度ごとに検討・見直しがなされている。
  • 教育目標・各種方針等

② 達成目標、具体的な行動指針を教職員、学生及び社会に発信し、共有する。

③ 学校法人の中期計画等、学部・学科、研究科等の達成目標を実現するための経営資源(ヒト、モノ、カネ)が、効率的な配分となり、著しく非効率的なものとならないよう、経営資源の配分に係る基本方針を明確にする。

  • 中期経営計画については、教学事項と深く関わりがあることから、教学組織に対して、法人事項を含めて説明し、意見聴取を行い、熟議を重ねたうえで策定している。そのうえで、各教学組織(学部・学科、研究科等)では自己点検評価活動の一環として、大学の中期経営計画を参照しながら、中期目標、年度目標、達成指標を設定し、中期経営計画において、法人で重点的に取り組む施策を示し、それらに基づき、経営資源を配分している。

④ 「学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」とカリキュラムとの整合性のチェック等を通じて、それぞれの方針の実質化を図る。

  • 教育目標、3つのポリシー及びアセスメント・ポリシーとカリキュラムとの整合性のチェックは、各教学組織の教授会等で毎年度なされている。その結果は各教学組織の教授会と自己点検委員会等で例年4月~5月にかけて点検・確認され、そのうえで大学評価委員会による評価を受け、年度末までに、自己点検・評価報告書(教学部門)に取り纏められる。
  • シラバスの3つのポリシー等との整合性の確認は、毎年度、各教学組織において「シラバス第三者確認」の作業を通じてなされている。
  • 教育目標・各種方針等

⑤ 「入学者受入れ方針」と入学者選抜との整合性のチェック等を通じて、同方針の実質化を図る。

  • 「入学者受入れ方針」と入学者選抜との整合性のチェックについては、自己点検・評価活動の一環として、各学部教授会が例年4月~5月にかけて自己点検を行い、自己点検委員会、評価委員会、による点検・評価を受け、年度末までに、自己点検・評価報告書(教学部門)に取り纏められ、方針の実質化が図られている。
  • 大学の学生の受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)

⑥ 自己点検・評価結果、認証評価機関による評価結果やアンケート調査等を含むIR(インスティテューショナル・リサーチ)活動の成果を活用し、教育活動の改善を行う。

  • 毎年実施している教学部門の自己点検・評価は、大学基準協会の評価基準に準拠した評価項目について実施するほか、中期目標・年度目標の達成状況、認証評価指摘事項の改善状況まで確認している。学生アンケートの結果は学内の各会議体で報告し、各学部・研究科の執行部には学部・研究科別レポートを提供するほか、要望がある場合は個別説明会にも応じている。
  • これらの取り組みの成果は、各学部・研究科の教育活動に活用できるよう本学ウェブサイトにて公開しているほか、特色のある取り組みは自己点検懇談会で発表し情報を共有している。
  • IR(Institutional Research)

⑦ リカレント教育の諸施策について、その方針、計画を明確化する。

  • 本学では、大学院・専門職大学院・学部・通信教育部でリカレント教育を積極的に展開している。社会人が学びやすいように、夜間・土曜日を主体とした授業開設、社会人入試制度の導入、オンライン教育の活用、履修証明プログラムの実施等の施策を講じている。
  • リカレント教育オフィスを設け、本学が提供する多様なリカレント教育について情報発信をしている。また、同オフィスを運営するリカレント教育推進委員会において、リカレント教育にかかわるニーズ調査や公開講座の企画、新規プログラムの検討等を行っている。
  • リカレント教育・生涯学習

⑧ 留学生の受入並びに派遣に係る諸施策について、受入留学生の選抜方法、日本語教育プログラムの充実や日本人学生とともに学ぶ機会の創出、派遣留学生の教育課程編成・実施の方針、受入留学生の教育環境整備状況等の観点から、アカデミックな意義付けを明確にする。

  • 2014年度に大学のグローバル化のために法政大学グローバルポリシーを制定し、同ポリシーを実現するためにグローバル化戦略を定め、学内において共有している。留学生の受け入れ、派遣の方針、日本語教育のあり方等もこれに含まれる。点検と改善はグローバリティ・ダイバーシティ本部会議において協議のうえ全学でグローバル化に取り組んでいる。また、日本語教育センターでは日本語教育の充実を図るとともに、日本語と日本語以外を母語とする学生の共修授業の創出・運営を行っている。
  • 法政大学グローバルポリシー
  • 日本語教育センター

遵守原則2-2

会員法人は、社会の要請を踏まえつつ、特色ある教育研究活動から得られた成果を踏まえ、社会の要請の変化に対応して、現実の諸課題に対する解決方法を示し、社会に貢献する。

【考え方】
常に変化し続ける社会の多様な要請に応じるには、現在行っている教育研究活動をそのまま継続するだけでなく、社会課題への対応策を見出す中で、私立大学の教育研究活動を発展させ、社会に貢献する必要がある。

【遵守】

  • 「法政大学憲章」並びに大学の理念・目的、教育目標・各種方針、ミッション・ビジョン、長期ビジョン(HOSEI2030)において、大学の社会的役割、社会貢献の目標などについて明記している。
  • 研究活動を通した産学連携を促進し、社会への還元を図るための組織として「リエゾン・オフィス」を設置するとともに、2019年度からは「社会連携教育センター」を設置し、さらに、2023年度には「ソーシャルイノベーションセンター」を設置した。
  • 第二期中期経営計画では、SDGsの達成やカーボンニュートラル実現に向けた取組を重点的に取組む。
  • 研究及び社会貢献に関する方針

重点事項2-2

会員法人は、市民講座・ボランティア活動・地域課題解決等の地域連携プログラムを通じ、大学が社会・地域と連携し、その発展に貢献していく活動を積極的に行う環境を整える。

【考え方】
社会の要請に応えるため、大学と社会・地域を結ぶ形は様々である。これらの活動を支え、推進するためには、基礎となる組織を整え、環境を整備していくことが不可欠である。会員法人の特性を活かす、基礎となる組織があり、多様な手段を講じてこそ、私立大学としての公共性が確保できる。

【遵守】

  • 本学では、社会・地域の課題を解決するための人材の育成、研究の推進を図るため、社会・地域と連携するための窓口として、教育開発支援機構社会連携教育センター、ボランティアセンター、ソーシャルイノベーションセンター、リエゾンオフィス等の組織を設け、具体的な活動を推進している。

実施項目2-2

① 社会・地域貢献に係る学内方針を検討し、策定する。

  • 法政大学憲章において、社会・地域貢献に係る姿勢(社会との約束)を示し、それをより具体化するため、「理念・目的・各種方針」に「社会貢献に関する方針」を掲げており、大学HPにおいても公開している。
  • 2020年度に「社会連携教育センター」、2023年度には「ソーシャルイノベーションセンター」を設置し、社会・地域の発展に貢献する環境を整える。
  • 研究及び社会貢献に関する方針

② 社会・地域との連携を支援する体制または仕組みを整備する。

  • 教育開発支援機構の下に「社会連携教育センター」を設置し、自治体や企業と連携してSDGsや地域課題の解決をテーマとした科目やプログラムを正課・正課外で開講し、社会・地域で活躍できる人材の育成を図っている。
  • 社会連携教育センター
     
  • 法政大学SDGsパートナーズ(HSP)事業を実施し、SDGsをキーワードとした本学と産官学の多様なパートナーシップにより、「次世代のSDGs人材の育成」を目指すためのプラットフォームづくりを行っている。また、定期的に交流会や連携事業を行っている。
  • 法政大学SDGsパートナーズ
     
  • HOSEI2030特設部会「カーボンニュートラル推進特設部会」を設置し、その下に普及・連携戦略分科会を設け、カーボンニュートラルの知見を学生や社会に広めるため、企業・地方自治体・地域社会と連携した取り組みを進めている。
  • カーボンニュートラル推進への取り組み
     
  • 千代田区キャンパスコンソ(大妻女子大学・大妻女子大学短期大学部、共立女子大学・共立女子短期大学、東京家政学院大学、二松学舎大学、専修大学、法政大学)として地域連携活動を進めるほか、沖縄大学、名桜大学、北海学園大学、関西大学との間で国内留学制度を設け、各大学の地域連携プログラムを相互に活用する取り組みを進めている。
  • 千代田区キャンパスコンソ
  • 2024年度 国内大学への交流学生募集について(北海学園・関西・沖縄・名桜大学)
     
  • 共同研究等の産学連携活動を推進し、技術移転を実施する総合窓口として小金井キャンパスに「リエゾンオフィス」を設置し、産学連携と研究の社会への還元を行っている。
  • リエゾンオフィス

③ 組織的な各種ボランティア活動を展開するために必要となる社会連携・地域貢献等に関する諸規程を整備する。

  • ボランティアセンターを市ヶ谷・小金井キャンパスに設置し、学生の活動を通じた地域貢献、社会貢献を推進している。同センターでは「法政大学ボランティアセンター規程」に基づき、各キャンパスにボランティアセンター長を置き、各キャンパスのボランティア活動を統括するとともに、各キャンパス及び全学の運営委員会を設置し、活動の管理運営や調整を行うしくみとなっている。
  • ボランティアセンター
     
  • 2022年4月より「法政大学ソーシャル・イノベーションセンター」を設置し、関連規程及び体制を整備のうえ、ボランティア活動を含めた多摩地域社会との積極的な交流を強化、促進している。
  • 法政大学ソーシャルイノベーションセンター

④ 公開講座や地域の課題解決に向けた地域連携プログラム等を開設する。

⑤ 社会・地域貢献に係る学内の自主的な取り組みを把握し、全学的な取り組みとして展開する。

  • 大学全体としての社会連携活動の情報を総務部(庶務課)において毎年集約し、次の施策につなげるために学内で共有している。
  • 公開講座の実施状況
     
  • 社会連携教育センターが「社会連携フィールドワーク」、「社会連携PBL」、「社会連携講座」といった科目を全学共通プラットフォーム科目として開設し、全学部の学生が履修できるものとなっている。
     
  • 社会連携教育センターでは、本学で実施している社会連携教育活動の情報を集約し、同センターのホームページで公表している。
  • 社会連携教育センター

また、社会連携教育センターは社会連携事業に関する外部からの問合せ窓口としても位置付けられており、必要な情報を関係部局に展開することで、あらたなプログラム開発に結び付けるしくみを整えている。

⑥ 自治体等の行政機関や企業との対話、信頼関係の醸成に努める。

  • 学部・研究所・事務部局等の多様な主体が多くの自治体や企業と協定をはじめとした連携・協働関係を築いている。
  • 組織的な取り組み事例として社会連携教育センターの「地方共創プログラム」や総長室付教学企画室の「陸前高田市×法政大学  SDGsワークショップ」等を実施している。
  • 全学的な社会地域連携
     
  • 千代田区キャンパスコンソーシアムでは運営委員会に千代田区や商工連の職員がメンバーとして参加するほか、毎年、数回区長と学長等の懇談会を開催し、意見交換を行っている。
  • 千代田区キャンパスコンソ
     
  • 千代田区が毎年、区内の大学等を対象にして募集している「千代田学」(※)について、本学教員に周知し、2024度は1件(千代田区キャンパスコンソ共同提案事業)が採択された。
    ※「千代田学」とは、区の様々な事象を多様な切り口で調査・研究・発展させ、大学等が区及び地域と連携を図ることを目的としている千代田区の事業である。
     
  • 学務部学務課では、3つのポリシーの適切性を確保するために、定期的に自治体や企業などと意見交換会を実施している。2024年度はイオンフィナンシャルサービス株式会社の社員と意見交換会を実施した。
     
  • 本学におけるカーボンニュートラルの推進の取組として、北海道大学、関西大学、札幌市、下川町と官学連携事業として「カーボンニュートラル夏季短期学習プログラム」を実施し、那須塩原市や日産自動車株式会社、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社と連携した「カーボンニュートラルリーダー育成講座」を実施した。
  • カーボンニュートラル推進への取り組み
     
  • 法政大学理系コンソーシアムを設立し企業連携および自治体とも連携を深める体制を構築した。