学校法人法政大学における教育研究活動の基盤となる自律的かつ持続的な運営を図るための基本方針 (内部統制システム整備の方針・理事会運営の方針)

内部統制システム整備の方針

学校法人法政大学における教育研究活動の基盤となる自律的かつ持続的な運営を図るための基本方針 (内部統制システム整備の方針・理事会運営の方針)

Ⅰ 【総 則】

1 本法人において内部統制システムに関する基本的な考え方

本法人は、「法政大学全体が効果的に運営される仕組み(フレームワーク)」であること、理事は、教職員が安心して教育研究に従事できる、安心して働くことができるフレームワークを整備する責任があること、教職員は、これらの考え方を理解し、フレームワークが有効に機能するよう努めることを内部統制システムに関する基本的な考え方に位置付け、役員及び構成員が、ともに信頼し合い、真に風通しの良い環境において、教育研究・社会貢献に関わる業務を行っていくことを主眼とし、次の目的で内部統制システムを整備する。

(1)ガバナンス強化・リスク管理・コンプライアンスを推進することにより、本法人の運営の透明性を高め、社会の信頼を得ていく。
(2)職務権限や業務の方針等を具体的に整備し、構成員が職務を遂行するうえでの明確な判断基準のもと、業務改善・工夫や業務の効率化を図っていく。
(3)上記(1)及び(2)により、本法人の設置する学校の教育研究の持続的な展開と本法人の自律的かつ持続的な運営を図り、将来にわたって寄附行為第3条に掲げる目的(法政大学の目的)を実現しつづける。

2 内部統制システムの適切な運用

(1)法政大学総長(以下「総長」という。)は、本法人における内部統制システムを整備及び運用する責任者であり、構成員が主体となって組織目的の達成に向けた活動を継続的に発展し続けていく体制を整える責任を有する。
(2)代表業務執行理事及び業務執行理事は、総長を補佐し、所掌する各組織及び業務に関する内部統制システムを適切に運用するため、必要な指揮・命令、進捗確認、監督を行い、法令遵守対策を講じるとともに、それが有効に機能させる責任を有する。
(3)統括本部長、部長、次長、課長及び主任は、所掌する各組織及び業務において、内部統制システムを適切に運用する責任を有する。

Ⅱ 【安心して働くことができるようにする体制】

1 コンプライアンス総合窓口(外部)の設置

(1)これまでの受付窓口に加え、本法人の教職員及び本法人の各校地での勤務者、委託業者等を対象として、安心して教育研究に従事できる、安心して働くことができる環境のもと、目的達成のために活動できるようにするため、外部にコンプライアンスに関する総合窓口の開設し、①法令違反行為又は法令違反していると疑問を感じた行為、②寄附行為、学内諸規則の違反行為又は違反していると疑問を感じた行為、③ハラスメントをはじめとした人権相談、④本法人のレピュテーションを毀損または毀損するおそれのある行為についての受付・相談体制(リアルボイスへの対応)を設ける。

2 職場の健康度調査の実施

(1)外部の相談窓口において、リアルボイスを検知し、対応を進めていくことに加え、表面化されていない声(サイレントボイス)を検知する匿名性が担保されたアンケート調査である「職場の健康度調査」を実施し、「組織エンゲージメント(教職員の感情・心理状態 )」と「職場の不健全(問題発生リスク、職員の理解度)」を可視化する。
(2)上記(1)の調査により、職場の健康度と健康な職場づくりのための強化ポイントを可視化し、コンプライアンス・リスク管理委員会にて分析し、理事会において対策を講じる仕組みを構築する。

3 取引業者との関係

経営倫理綱領をはじめ工事、調達、業務委託等の各種規程を定め、取引業者との取引に際しては、社会通念上、適切な関係を保ち、公正かつ対等な立場に立ち、業務を遂行する。

Ⅲ 【経営の効率化に関する体制】

1 理事会運営の方針

(1)理事会は、理事、監事及び出席する関係者、構成員の人格や価値観を尊重し、教職員との丁寧なコミュニケーションのもと、教育研究の持続的な展開・発展を支える理事会の運営を中心としたガバナンスの充実を図るため、理事会運営の方針を決定する。
(2)理事会運営の方針と内部統制システム整備の方針(両方針の共通要素を含む)の双方の仕組みを展開していくことにより、将来にわたって選ばれる大学となり続けていくことを目指す。

2 決裁区分及び手続きの明確化

事務規程、事務分掌規程及び職務権限規程により、各職位の責務や役割、事務分掌や決裁権限を明確にし、理事、職員等の職務執行の適正性を確保するとともに、機動的な業務執行と有効性・効率性を高める。

3 各事務組織の相互協調並びに緊急時の協力及び連携

各部局は、相互に関連する業務や緊急の場合等においては、本法人全体の組織的観点から効率的に処理できるよう協調、連携及び協力する。

4 業務委託

(1)本法人は、自ら業務を実施するよりも、委託して実施することが効率的であると認められる業務については、「業務委託ガイドライン」に基づき、その業務を委託できる。
(2)「業務委託に係る業者選定等に関する規程」に基づき、業者選定等の手続きを定める。

5 子会社・関連会社の経営

(1)「関連会社経営戦略会議規程」に基づき、本法人の関連会社の経営戦略や各種方針を定める。
(2)本法人の100%出資子会社については、取締役会に総長室付関連会社統括事務室担当理事及び同管理職がオブザーバーとして出席し、本法人が重要事項の決定に関与し、本法人の方針に沿った運営を行うことができる体制を維持する。また、経営会議には、総長室付関連会社統括事務室担当理事及び同管理職が出席し、経営方針や事業方針について、検討段階から直接的に関与する。

6 業務の適切性を担保する仕組み

(1)業務執行機関からの独立性を有する内部監査部門として「監査室」を設置する。
(2)監査室は、本法人の将来を展望し、とりわけ職員組織の高度化に資するため、業務の適正及び効率性を確保し、「内部監査規程」に基づき業務を執行する各部局の職務執行状況等を定期的に監査する。

Ⅳ 【情報の保存・管理に関する体制】

1 重要会議の記録の作成と保存・管理

理事会、業務執行理事会、評議員会等の重要会議の議事録その他理事の職務執行に係る情報については、「寄附行為」、「文書保存規程」その他諸規程に基づき、適切に作成し、保存及び管理する。

2 決裁書類の記録

(1)業務の執行に係る決裁は、改竄することができない申請支援システムにおいて行う。
(2)申請支援システムにおいて決裁された内容については、「寄附行為」、「寄附行為施行細則」及び「文書保存規程」に基づき、適切に保存及び管理する。

3 情報の伝達

(1)理事会は、全ての役員及び教職員が主体となって組織目的の達成に向けた活動を行うために、必要な情報が適切に伝達される体制(各種会議体を通じての伝達、システム等を用いての伝達、説明の機会を設けての伝達)を整備する。
(2)総長及び担当理事は、理事会の意思決定の内容、理事会が決定した方針、総長が決定した方針や施策その他重要な情報は、適時かつ適切に構成員に伝達する。
(3)上記(2)の伝達を委ねられた者は、その内容が構成員に正しく理解され、情報を必要とする構成員に共有されるよう努める。

4 適切な情報開示と透明性の確保

「情報公開規程」に基づき、保有する情報(法人文書)を積極的に公開することによって、本法人の公共性や社会的責任を明確にするよう努める。

5 個人情報の保護

プライバシーポリシー及び個人情報保護に関する諸規程に基づき、個人情報の保護と適切な管理を行う。

6 情報セキュリティ

(1)「情報セキュリティポリシー」を制定し、本法人全体の情報セキュリティ意識の向上に努め、その根拠を明確にし、本法人の全構成員が情報セキュリティの重要性を認識し、情報資産の円滑な運用と保護に取り組む。
(2)HOSEI-CSIRTを置き、情報セキュリティインシデントの発生時に迅速かつ円滑な対応を図る。

Ⅴ 【コンプライアンス・リスク管理に関する体制】

1 コンプライアンス・リスク管理体制

(1)理事会直轄委員会として、「コンプライアンス・リスク管理委員会」を置き、本法人の内部統制システムの運用とコンプライアンス・リスク管理体制の統括機関として位置付ける。
(2)コンプライアンス・リスク管理委員会は、「コンプライアンス・リスク管理委員会規程」に基づき、総長、コンプライアンス・リスク管理担当理事、法人本部担当理事、総長室付関連会社統括事務室担当理事、学術支援本部担当理事、卒業生理事1名、総務部長、監査室長、外部の有識者・専門家で構成し、内部監査報告等を踏まえ、本法人の内部統制システムの運用状況とその有効性を検証、個々の制度の情報集約も含めて法人全体の包括的な対応、リスクマネジメントの運用・点検、コンプライアンス違反事案の調査を処理、その再発防止策を検討し、理事会に提言又は報告を行う。

2 総長及び理事の責務

(1)総長は、本法人における内部統制システムを整備及び運用する責任者として、コンプライアンス・リスク管理に関する必要事項を定め、本法人におけるリスクの顕在化の防止及び危機発生時における損害の最小化を図り、もって構成員が主体となって組織目的の達成に向けた活動を継続的に発展し続けていく体制を整える。
(2)理事は、総長を補佐し、その所掌する部局等又は分掌する業務において、コンプライアンス・リスク管理に関する業務の体制を整備するとともに、所属員に対して適切な指示、監督及び支援に努める。担当理事は、所掌する各組織及び業務に関する内部統制システムを適切に運用するため、必要な指揮・監督を行うとともに、それが有効に機能するよう点検しなければならない。

3 コンプライアンス・リスク管理担当理事の設置

(1)総長の命を受け、本法人における内部統制システムの整備と運用、コンプライアンス・リスク管理体制の統括管理責任者として、コンプライアンス・リスク管理担当理事を置く。なお、コンプライアンス・リスク管理担当理事は、事務組織等(監査室及びハラスメント相談室を除く)を所管しないものとする
(2)コンプライアンス・リスク管理担当理事は、①内部統制システムの運用状況の把握、②コンプライアンス推進施策の立案・実施とリスクマネジメントの運用、③コンプライアンス・リスク管理に係る制度間、各組織におけるコンプライアンスの状況に関する情報収集と把握、④コンプライアンス・リスク管理に係る制度間の調整と本法人全体の対応の統括の職務を行う。

4 コンプライアンス違反の疑いのある事案の報告

(1)担当理事、統括本部長、部長、次長、課長及び主任は、内部統制システム・コンプライアンスにおける問題が発生した場合又はその疑いがある場合、速やかに上位職位に報告する。また、担当理事及び統括本部長は、併せてコンプライアンス・リスク管理担当理事及び総務部長にも報告するものとする。
(2)教職員は、内部統制システムにおける問題事案が発生した場合、役職者の不正若しくは内部統制システム・コンプライアンス上の著しい不当事実を発見した場合、または通報があった場合には、課長、次長又は部長に報告する。ただし、必要に応じて、外部窓口、総務部総務課法務・コンプライアンス担当、担当理事又は監事に直接報告することもできる。

5 コンプライアンス違反の疑いのある事案が認められた場合の対応

(1)コンプライアンス違反の疑いのある事案が認められたときは、コンプライアンス・リスク管理委員会が、「コンプライアンス・リスク管理委員会規程」に基づき事実関係を確認し、それに対する対応策及び再発防止策を理事会に報告及び提案する。
(2)理事会は、コンプライアンス・リスク管理委員会の報告及び提案を受け、本法人の対応策及び再発防止策を決定する。

6 リスク管理分科会の設置

(1)コンプライアンス・リスク管理委員会に「リスク管理分科会」を置き、リスクの顕在化の防止、危機発生時における損害の最小化を図るなど、平常時から総合的かつ計画的なリスク管理を行う。
(2)本法人のリスクマネジメントは、「リスク管理分科会」において①全学リスクの特定、②リスクの相関分析・評価(重要リスク等の決定)、③取り組み内容、リスク管理方法等の決定を行い、各組織においては、①年間を通じた取り組みの実施、②取り組みの振り返り、新たなリスクの洗い出しを行い、決定する。

7 危機管理体制

総長は、全学的かつ緊急の対応を要する重大な危機が発生したと判断したとき、「危機管理規程」及び「海外危機管理規程」に基づき必要な措置を講じる。

8 研究不正の防止

研究活動について、内部牽制機能による研究費の適正経理、研究不正の防止及び知的財産の保護を確保するため、規程等を定めるとともに、必要な措置を講じる。

Ⅵ 【監事の監査業務の実効性を確保するための体制】

1 監事による監査

(1)監事は、「寄附行為」及び「監事監査規程」に基づき、監事監査を行う。
(2)監事は、理事会、評議員会等の重要会議への出席並びに重要書類の閲覧、聴取及び質問等を通して、理事等の職務執行についての適法性、妥当性に関する監査を行う。
(3)監事は、理事会が決定する内部統制システム整備の方針について、その決議及び決定内容の適正性について監査を行うとともに、その運用状況についても監査を行う。
(4)監事は、重要な書類及び情報について、その整備・保存・管理及び開示の状況など、情報保存管理体制及び情報開示体制の監査を行う。

2 監事の職務の補佐体制

(1)監事が必要であると求めた場合、監事の職務全般を補佐する「監事補佐」を配置する。
(2)監事補佐は、監事の意見を踏まえて理事会において選任する。
(3)監事補佐は、監事の職務全般を補佐するとともに、監事の求めに応じ、監事に同行して、理事会、業務執行理事会、評議員会等の重要な会議並びに総長及び理事との定期的な会合に陪席することができる。

3 違反行為等の監事への報告

(1)理事又は教職員は、本法人に著しい損害を与えるおそれのある事実又は法令、寄附行為その他の規程等に反する行為等を発見したときは、直ちに総長、担当理事並びに監事に報告する。
(2)本法人及び本法人の教職員は、上記(1)の報告を行った教職員等に対し、そのことを理由として、不利益な取扱いを行ってはならない。不当な取扱いを受けている旨の連絡があった場合には事実関係の調査を行う。

4 職務執行状況等の監事への報告

理事及び教職員等は、その職務執行状況等について、監事が報告を求めた場合には、速やかにこれに応じる。

5 理事と監事のコミュニケーション

総長、代表業務執行理事、業務執行理事及び非業務執行理事は、定期的に監事とコミュニケーションの機会を持つなどにより、事業の遂行と活動の健全な発展に向けて意見交換を図り、相互認識を深める。

6 監事が職務執行にあたって必要な費用

監事がその職務の執行について生ずる費用の前払い若しくは支出した費用の償還又は負担した債務の弁済を請求した場合には、速やかに相当額を支払う。