大学院特定課題研究所一覧

電磁波工学研究所

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2024年4月1日更新

研究代表者 理工学部教授 柴山 純
主たる研究分野 電磁波を用いた通信、計測、情報処理工学
研究概要

 研究代表者は2016~2024年の8年間にわたり電磁波工学研究所の研究員として、特にテラヘルツ波を活用した機能素子の開発と、それらの機能素子を効率よく設計できる数値解法の提案に関して活発な研究活動を行ってきた。過去5年間にわたり、2件の科学研究費の援助を受け、1件の受託研究を実施している。国内外での論文誌発表や、学会発表、招待講演などで研究成果を多数公表してきた。
 近年、電磁波の利用はますます多様化・拡大しており、さまざまな技術分野や産業界において今後も極めて重要な役割を果たしていくことは論を待たない。そこで、マイクロ波・ミリ波帯からテラヘルツ帯、光波帯にわたる広い電磁波領域に関する研究をさらに遂行するため、本特定課題研究所を設立する。2016年に創立された電磁波工学研究所から継続して取り組む研究内容も多いため、研究所名称の継続利用をお願いしたい。産業界との連携も視野に入れ、企業からも大学院特任研究員として参加してもらう。
 具体的には以下に述べる点の検討を重点的に行う。

・マイクロ波・ミリ波帯での研究では、①超自然系材料(メタマテリアル)をベースとしたメタ放射素子に注目し、円偏波、直線偏波アンテナを創造・解明する。②メタサーフェス板を開発し、放射ビームの広範囲走査を実現していく。③ メタ漏洩波の伝搬についての統一理論を構築する。

・テラヘルツ波での研究では、表面プラズモン共鳴(SPR)センサの開発を行う。SPRセンサには、Kretschmann構造とOtto構造があるが両者を詳細に比較検討し、温度センシング、水溶液濃度センシングのための最適な構造を見出す。また、センサやイメージングのテラヘルツ光源として多用される光伝導アンテナの解析技術を開発する。ドリフト拡散法とFDTD法を練成することで、基板内の電子の移動とそれに伴う電磁波放射のメカニズムを正確に取り込んだ、高精度な解析手法の確立に努力を払う。さらに、光波帯で検討されている1/2、1/4波長板をテラヘルツ帯に拡張し、その動作特性を明らかにする。

・光波帯での研究では、効率よい光リンクの検討を行う。プラズモニックグレーティングを用い、垂直励振にもかかわらず、伝送効率の高い構造の創出を行う。加えて、厚みのあるプラズモニックギャップ導波路の入力波の励振方法を見出す。誘電体導波路からの光パワーをいかに損なわず、ギャップ導波路に導き入れられるか、最適な導波構造の探索に注力する。

大学院
特任研究員

中野 久松 法政大学名誉教授
阿部 智希 パナソニックインダストリー株式会社 技術本部 プロセスデバイス革新センター

設置期間 2024年4月1日 ~2029年3月31日
設置場所 理工学部電気電子工学科 柴山研究室