湯澤教授が研究しているのは、地域と日常生活の経済史、産業活動と人々の暮らしの歴史など。中でも注目するテーマの一つに「食」があります。人間が生きる上で欠かせない「食」からは、ジェンダーや都市の問題、経済学、歴史学、文学など、あらゆる学問分野とのつながりが見えてきます。
「日米の『間食』を例に取り上げると、19~20世紀の女性解放運動において、国境を越えて女性たちが連帯してきた歴史が浮かび上がります。『食』を入り口として総合知を得られ、実践知につなげられることが、日常生活の研究の面白さなんです」
「『食』を研究すると、意外な事実や先人の創意工夫に気付くことがあります。そうした知見を人々に伝え、一人一人が自分の暮らす日々に興味を持てるようになれば、こんなにうれしいことはありません」と湯澤教授は語ります。
私たちの生活と切っても切れない関係にある「食」。誰もが暮らしやすい未来を描くために、「食」にまつわる研究の数々が多くのヒントを与えてくれることでしょう。
(掲載先:広報誌「HOSEI」2023年10・11月号)
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