2013年度

文系学生に対する生物を題材にした“テオリア”能力開発の試み

2013年度
申請教員 テーマ
文系学生に対する生物を題材にした“テオリア”能力開発の試み

1.目標

米国の金融規制改革法がゴリラ生息地を脅かす携帯電話向けの鉱物取引を規制するなど、今後の社会経済活動に自然資源や生物多様性の視点は欠かせない。現場(自然)を知るマネジメント力と、マネジメントを知る現場能力の両面がリーダーとして求められる資質である。そこでマネジメントの基礎教育を受けた文系学生に、生物を通して環境の状態や変化を読み取る能力(=テオリア:ギリシア語の観察・洞察の意味)の開発を試み、分野の常識を超えて発想し、現場の情報を的確に読み取り、対象の性質や背後関係を多元的に見極められる思考能力育成の可能性を探る。

2.内容・計画

生物を指標として自然を読み解き、人間活動との応答関係を推察する能力を養うには一定の時間を要すると考え、ゼミの2~3年生を主たる対象として2年間及び3年間のプログラムを実施するとともに、卒業研究またはゼミ個人研究に生かす。

2年プログラム:(1)生物の基礎知識と観察技術の取得、(2)評価解析の実践
3年プログラム:(1)及び(2)同上、(3)評価解析成果の検証とマネジメントへの応用研究

なお、指導教員は技術士(環境部門)、博物館学芸員、自然観察指導員等の資格と自然ガイド及び環境コンサルタント経験を持ち、受講学生に対してもこれらの資格取得等を促していきたい。
今年度は「生物の基礎知識と観察技術の取得」を下記計画により実施し、所要の経費を申請する。

1.野鳥及び植生の識別能力養成

  • 野外観察の実践(年8回程度の「現地学習」を実施)「識別ツール」の作成(既存図鑑と自らの観察経験に基づく)

 (現地学習候補地…東京港野鳥公園、横浜青葉区の里山、渡良瀬遊水池、目黒自然教育園ほか)
2.環境と人間活動の指標としての生物読解力養成…「評価軸」と「着眼点」の探索・まとめ
3.インタープリテーション技術の訓練

  • 模擬解説の実践(ラミネート解説板・トラベルイヤホン等の手法探索も)「生物と環境とを対応させた図鑑」の作成(既存にはない新たな試み)全員で収集した観察情報の「地図化」と予備的な評価分析

3.成果報告方法

(1)学内で開催される秋の「環境展」への出展
(2)次年度開催される学会でのポスター発表(生態学会・景観携帯学会等を予定)
(3)活動成果報告書の作成
(4)活動過程を記録したビジュアル資料(動画など)の作成…ネットからの発信を検討

4.達成指標

(1)計画1.に対して、「識別ツール」を作成する…今年度の目標:野鳥50種
(2)計画2.に対して、「評価軸」と「着眼点」をまとめる…今年度の目標:各10視点の提起
(3)計画3.に対して、「生物-環境対応図鑑」を作成する…今年度の目標:野鳥50種
(4)計画3.に対して、「観察情報地図」を作成する…今年度の目標:データ数300件