2020年度

2月

2020年度

2月28日(日)

江戸東京研究センター(EToS)の、歴史や文化を地図に落とし込む「アトラスプロジェクト」のワークショップが行われた。2019年の10月に第一回が開催され、半年後にまた行う予定だったが、大きな地図を間に挟んで討議するワークショップであったためコロナ禍で中止となった。しかしデザイン工学部の福井恒明教授と、文学部地理学科の米家志乃布教授の学部及び大学院のゼミで、その間にも着々と作業は進められ、今日開催することができた。とは言ってもまだ緊急事態宣言下である。オンラインでの開催となった。大きな地図を挟んで、というわけにはいかなかったが、デジタル上でなされた『名所江戸百景』の分析、『新撰東京名所図会』の分析を学生のチームが発表した。前回と同じように、参加者は大いに頭脳を刺激され、滝のように意見が出された。江戸から明治になる時期の東京についてであるから、私も3月20日におこなうシンポジウム「都市と大学」の講演「3人の若者、東京に法律学校をつくる」に対して大いに刺激を受け、学生が作った地図をお借りすることにした。このプロジェクトには大きな期待が持てる。

2月26日(金)

日本女子大学に「JWU女子高等教育センター」という組織がある。その主催で今年は「ニューノーマル時代の大学教育を考える」というテーマの学内教職員向けのセミナーを行っている。遠隔・対面それぞれの特長を活かした教育を展開していく必要があり、大学教育が大きな変革の時を迎えている。そこで、「今後の大学教育の在り方や大学が社会において果たすべき役割、大学に求められることなどについて、多面的かつ多様性に富んだ視点で考えたい」という趣旨で行われているという。本学を「常に先進的な取り組みをされている大学」と評価してくださって、講演者として呼ばれたのだ。「教えることから学ぶことへ」という題名で、インターネット、ITの時代であるからこそ、個々の能力や意欲に沿った学びの方法を開拓すべき、という趣旨で講演した。篠原聡子学長も参加して下さって、お話しすることができた。篠原学長は、朝日教育会議で鼎談をした隈研吾氏のお連れ合いである。朝日教育会議の日にそれを伺い、その直後の日本私立大学連盟の会議でご挨拶をした。日本女子大は本学のデザイン工学部との交流が深い。これからもますます交流を深めて欲しい。

朝日新聞に「人生の贈りもの」というコーナーがあり、その取材前の打ち合わせがあった。その後、大学基準協会の常務理事会、理事会が行われた。次の理事会は3月24日で、本学の学位授与式の日と重なり出席できない。そこでこの日、皆様に退任のご挨拶をした。

2月25日(木)

キャンパス再構築特設部会を開催した。その後、例年のように監事と意見交換を行った。お互い、率直に意見を言い合うことができ、大変楽しかった。さらにその後、HOSEI2030推進本部会議打ち合わせ会と、危機対策本部会議を開催した。

2月24日(水)

常務理事会、臨時理事会を開催した。評議員会を開催した。評議員の交代がある。二号(卒業生)三号(有識者・功労者)評議員の中で今年度限りの方々お一人ずつにお礼を申し上げ、会場に来ておられるかたとも、リモートで参加のかたとも、お一人ずつ記念写真を撮った。通常であれば、別途会食の機会を設けるのだが、今はそれができない。このような方法で語り合う時間もないまま、お別れするのは、本学に貢献して下さった方々に、本当に申し訳なく思う。この日は着物を着て、本学評議員の元国立市長、上原公子さんが組紐してくださった、素晴らしい帯締め作品を締めて、皆さんの記念写真に収まった。

2月22日(月)

東京都男女平等参画審議会の会長をお引き受けした。その進行についての打ち合わせを行った。

2月20日(土)

江戸東京研究センターのシンポジウム「漢陽と江戸東京 それぞれの暮らし」が開催された。朝鮮王朝時代、14世紀末に首府となった漢陽(ソウル)と江戸を比較することで、それぞれの都市の生活文化の特徴を検討するシンポジウムである。朝鮮後期の学者柳得恭(1749~1807)が著した歳時記『京都雜志』の「風俗」編をもとにまとめられた秦京煥『朝鮮の雑誌―18~19世紀ソウル両班の趣向』(素々の本 2018年)を使い、「18世紀江戸における舞台芸能の諸要素」「18-19世紀の漢城と江戸の市場、その中を覗いてみる」「園芸文化で比較する漢陽と江戸」「江戸、漢陽にみる花見と遊山」など豊富な発表を聞くことができた。司会は文学部の小林ふみ子教授。茨城キリスト教大学の染谷智幸先生と私が、最後のコメントをした。大変実り多いシンポジウムとなった。私にとっては何よりも、江戸時代の特質がより明確になり、さらにその仕組みや発想を言葉にしていきたいと思えるようになったことが大きな成果だった。発表者の皆さん、本当にありがとうございました。

その後、編集工学研究所、ISIS編集学校の催し物で挨拶をした。

2月19日(金)

学校長会議、常務理事会懇談会を開催した。

2月18日(木)

JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)ダイバーシティアドバイザリー委員会が開催された。その後、HOSEI2030運営会議、学部長会議を開催した。

2月17日(水)

常務理事会と、常務理事会懇談会を開催し、その後、危機対策本部会議を開催した。

2月16日(火)

日本私立大学連盟の常務理事会と理事会が開催された。

2月13日(土)

付属三校の生徒たちによる、「総長杯英語プレゼンテーション大会」がウェブ上で行われた。設定された全体テーマは『社会の様々な課題を「なんとか解決したい」とあれこれ考える―私にとっての実践知』。大学憲章と関連づけられている。このプレゼンテーション大会には、二つの大きな目的がある。ひとつは、英語力をつけることだ。しかし単なる英語の力ではなく、世界の人を理解しようとする気持ちをもち、実際に理解につとめ、その上でコミュニケーションができる、そういうコミュニケーションの力としての英語力をつけて欲しい。そのためにこの大会では、設定されたテーマとの関連性と構成、文法や発音、スライドのデザインや言葉、話し方や振る舞い、そしてネイティブ・スピーカーの先生方との対話ができるかどうか、という評価基準が設定され、それにしたがって教員や留学生の審査員が点数をつける。また、出場決定者は事前に2日間の「プレゼンテーション講座」を無料で受講できる。意欲のある生徒にはまたとない貴重な機会となっている。目的の二つ目は、考える力を鍛え、自分の意見を持ち、自分の言葉でその考えを表現し、他の人たちと対話ができるようになること、である。この大会では大学憲章をその「考える場」として使うことで、自分なりのテーマを社会の中から発見することになる。「自由を生き抜く実践知」はまさに、そのためにあるのだ。

出場者たちはコロナ禍における差別、移民問題、教育格差、日本文化への姿勢、プラスチック問題、フードロスなど、まさに今の問題を取り上げ、考え、まとめ、英語で表現した。考えるための良い場になっている。

2月10日(水)

常務理事会、理事会、理事会懇談会を開催し、その後、危機対策本部会議を開催した。

2月9日(火)

外部企業の会議に出席した。その後、千代田区の女性史に関するインタビューがあった。

2月7日(日)

白鴎大学のWEBフォーラム「きたやまおさむと語る 危機と日本人」の第3回「日本人の心と未来」に出演した。北山修さんは精神医学者で医師でもある。このフォーラムはコロナ禍における心の問題を扱ったシリーズで、今回は「旅」について語り合った。作詞家でもある北山さんは旅の歌もたくさん作っておられる。朝日新聞が行なった、印象に残る旅の歌の第6位には、北山さん作詞の『風』が入った。そこで、この日のフォーラムの最初に、まず『風』が流れた。今日のフォーラムは「深夜放送のようにやりたい」という。つまり、話があれば歌が流れ、レクチャーをしたらまた歌が流れ、対談をしてまた歌が流れる、という構成である。深夜放送を聴きながら受験勉強をした団塊の世代にとっては、懐かしい構成だ。北山さんがメンバーだったフォーク・クルセイダーズも、深夜放送で爆発的に売れたのである。

旅の話は、歌に現れた旅から、心の旅、そして松尾芭蕉の旅の捉え方に及んだ。心の旅について、北山さんが二十年ほど前に訳したアメリカ人カウンセラー、ヒュー・プレイサーの著書『ぼく自身のノオト』を例に挙げていた。この本は昨年に新装再刊され(創元社)、私も読んでいた。安泰ではない大変な人生を送った人なのだが、その日々の事実は一行も書かず、内面で起きていることだけを丁寧に言葉を選んで書き続けた日記である。人は何を書くべきか、考えさせられる本だ。

『奥の細道』もまた、実際の旅であると同時に内面の旅である。冒頭の「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」は、「時間」を主語にしている。時そのものが旅人なのだ。しかしこの一文を結ぶ「旅を栖(すみか)とす」は、「私」が主語になっている。不思議な文章である。時間は旅する、そして私はその時間の旅の中に暮らす、と言っているのだ。つまり人は実際に旅をしていなくとも、時間とともに生きている以上、毎日は変化の連続であり、旅を生きているのである。旅についての江戸時代の人々の思想は、より深める必要がある。ちなみに私は『のざらし紀行』の中の「死しもせぬ旅寝の果てよ秋の暮れ」という句が大好きだ。旅の途中で死んで野ざらしになる覚悟で出発したのだが、未だ死ぬこともできない、と言う。私は20年ほど前から、この句をたびたび口ずさんでいる。

北山修さんは、4月から白鴎大学の学長になる。
このフォーラムは2月10日~16日に再配信されます。アーカイブの視聴受付は、白鴎大学のHP上にあります。

2月4日(木)

3月1日から、HOSEIミュージアムでは、開設記念特別展示「都市と大学ー法政大学から東京を視る」を開催する。コロナ禍で展示が遅れたが、ようやく開催することができる。3月20日にはオンラインで、シンポジウム「都市と大学ー三大学の源流」を開催する。これは、明治大学、関西大学との三大学連携の企画である。講演者は関西大学の藪田貫(やぶた・ゆたか)名誉教授と私で、ディスカッションには鈴木智道社会学部准教授がコーディネイターになってくださり、古俣達郎専任所員が、ディスカッサントの役割を担ってくださる。そういうわけで、本シンポジウムに関して、関西大学とオンラインでつないで、打ち合わせと意見交換をおこなった。私の役目は、日本が江戸から東京に変化する中での、明治大学と法政大学の、交叉しながらの発展である。今のところ演題は「3人の若者 東京に法律学校をつくる」にしようかと思っている。藪田さんの、大阪と東京の違いの発見が面白く、打ち合わせそのものが、もうシンポジウムのようになってしまった。当日が楽しみだ。

2月3日(水)

常務理事会、常務理事会懇談会を2種開催し、危機対策本部会議を開催した。

2月2日(火)

日本私立大学連合の常務理事会が開催された。その後、『むろのつ』という雑誌のインタビューを受けた。兵庫県たつの市立室津海駅館を拠点した文化活動を行っている市民団体に「嶋屋友の会」という団体があり、その会報誌である。第26号「瀬戸内の港町」特集で陣内秀信名誉教授がインタビューを受け、その縁で第29号の「江戸文化」特集に登場してほしいということだ。インタビューのために江戸時代の瀬戸内をおさらいしたが、日本列島を廻る西廻り航路、東廻り航路、参勤交代、朝鮮通信使、琉球使節、オランダ東インド会社の江戸参府、金比羅詣りなど、江戸時代の流通と交通の激しさを物語る場所で大変興味深い。

2月1日(月)

日本の大学が幹事校となってカリキュラムの準備と教員を派遣し、国際レベルの教育を提供している日越大学(正式名称はベトナム国家大学ハノイ校日越大学)は、大学院修士課程を開学したあと、2020年からは学部を設立して「日本学プログラム」を開始した。法政大学もかつて職員を派遣し、現在は教員も協力している。その日越大学の古田学長とオンラインで今後について意見交換した。日越大学協力校コンソーシアムを構想中だということだ。日本の大学には、日越大学学生の3年次への編入や、交換留学、修士課程・博士課程への進学を安定的にできるようにしたい、ということだが、日本の大学にとっても優秀なベトナム人学生の入学はありがたいことである。