2016年度

5月

2016年度

5月29日(日)

サンデーモーニングに出演しました。オバマ大統領の広島訪問、日米地位協定、核武装、そしてヘイトスピーチ規制法についてなど、発言しました。

オバマ大統領は、戦争を繰り返してきた人類の歴史から始まって、モラルの革新がなされないまま科学技術の革新が起こることがいかに危険かを語りました。そして国家というものがもつ善悪の両面や、進歩した国どうしが陥る野蛮な征服欲や支配欲に言及しました。さらに、EUや国連の努力がありながら戦争や核がなくならないこと、それでも理想をもつことをあきらめてはならないことなどを語りました。非常に格調高い、ラディカル(根本的)なスピーチでした。

大統領の語った理想はアメリカの現実からかけ離れたものです。アメリカ人への配慮もしなければなりませんでした。それでも、理想を語り続けること、目標を言葉にすることが重要なのだ、という姿勢を見せてくれました。姿勢と言葉がリーダーにとっていかに大切なものか、改めて痛感しました。

政治的配慮でしかものを語れないリーダーにはなりたくないものだと、つくづく思った朝でした。

5月28日(土)

埼玉県にある私立・本庄東高校のPTAの方々の講演会で、お話ししてきました。今、大学で教育することが求められている「思考力・判断力・表現力・主体性」は、どのような方法で身につくのかを中心に、本学におけるグロ-バル化とそれらの能力との関係、「自由を生き抜く実践知」がもたらすもの、そして私自身の経験などの話でした。本学の卒業生3人が国語、英語、社会科の教師として赴任しており、とても楽しく、高校での時間を過ごしてきました。本庄東高校の皆様、ありがとうございました。生徒さんたちの法政大学入学をお待ちしています。

5月23日(月)

日本経済新聞が、NEW EDUCATION EXPO 2016(6月3日)の開催に合わせて、副実行委員長をなさっている株式会社内田洋行(以下、内田洋行)の大久保昇社長と、EXPOで講演をする私との対談を企画しました。今日はその対談の日で、新川にある内田洋行さんにお邪魔しました。内田洋行の主要な仕事のひとつは、教育現場でICTのデザインをすることなのです。

このところ、さまざまな側面で本格化する教育改革への本学の対応や、グローバル化、ICT教育への取り組みなどをお話ししました。本学の理工系学部情報教育システム(edu2011)は、希望する全学生に無償でノートパソコンを貸与する仕組みですが、内田洋行さんにお世話になっています。全学の授業支援システム、NHKのアーカイブを利用した社会学部の試み、JMOOC授業の実施、オンデマンド授業の活用に関する委員会があることなど、本学のICTについてだけでも、話が尽きませんでした。

対談の最後に、フューチャー・クラスルームを見せていただきました。テーブルや荷物置きスペースが一体化した可動の1人用の椅子がいくつも置いてある部屋では、壁3面がスクリーンになっており、白板と画像が一体化したスクリーンでは、書いた文字が即座にデータ化されます。学生がノートを読めないほど教室を暗くして多くの画像をスライドで見せながら授業をおこなってきた苦労を思い出すと、のどから手が出るほど欲しい機器でした……。

5月21日(土)

校友会は県ごとに組織化されていますが、いくつかの県が集まって「ブロック会議」をする場合があります。この日は中国四国ブロック会議があり、出かけてきました。愛媛県校友会が「女性部」を作ったのが、画期的です。この日は社会学部出身のかたと、通信教育部出身のかたが参加して下さいました。「いくつかの県で女性部ができたら、女性部大会しましょうね」と約束しました。校友の皆さん、女性部を作って下さい!

5月19日(木)

「ハルメク」という、ちょっと高齢者向きの雑誌の取材を受けました。テーマは社会人入学です。いま社会人は、カルチャーセンターより大学や大学院で学ぶ人が増えています。法政大学は、スクーリングのある通信教育部、社会人入試のある文学部日本文学科や人間環境学部やキャリアデザイン学部、各学部の科目等履修生、そして大学院はほとんどの専攻が社会人を歓迎しています。そのことを丁寧にお伝えしました。あまり知られていないようで、もっと機会あるごとに知らせねばならない、と思いました。社会人は仕事の世界を知っているからこそ、深い広い学びができます。日本は大学生の平均年齢が極めて低い国です。もっと多様な人々と学ぶ大学にしたいです。

5月17日(火)

スイスのザンクトガレン大学の、トーマス・ビーガー学長が訪問されました。法政大学は2008年からザンクトガレン大の学生を受け容れており、2011年から、本学の学生がSA(スタディ・アブロード)でお世話になっています。ザンクトガレン大は経営学ではヨーロッパのトップレベルの大学です。3分の1は留学生で、ドイツ語だけでなく英語でも授業をおこなっています。世界の質の高い大学と提携を結んでいますから、ぜひ留学体験をして下さい。

5月14日(土)

国際日本学インスティテュートの合同演習に、落語家の立川談慶さんがいらして下さいました。落語家として活躍しながらすでに3冊の本を執筆。4冊目が7月に出るそうです。まずは師匠である立川談志から教わった話が中心でしたが、修行中の大学院生たちには、たいへん重要な話でした。そのときは辛くとも、正面から受け止めることができれば後に活きることがどれほどたくさんあるか、痛感したと思います。その後、落語の「金明竹(きんめいちく)」を一席。

一席の後30分ほど対談をさせていただきました。「与太郎」「粗忽者」という、ダイバーシティにつながる話で盛り上がりました。つきあうのが大変な人や困った人も排除しない社会が、江戸にはあったのです。受け容れてともに生きることで、むしろ心も社会も広がっていくのです。私は、『江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか』という落語論を書いていますので、この話はとても楽しかったです。

次の演目は「人情八百屋」。親を失った子供たちはどうしたか。農村では「結(ゆい)」が組織され、寄付で養育費を集めましたが、江戸では誰かが引き取ったのです。格差社会のなかで人がどうふるまったか。文学部教授のスティーブン・G・ネルソン先生がハンカチを出して涙をふいていました。国や民族を超える咄です。

学生たちに多くのものを与えて下さった立川談慶さん、ありがとうございました。現代に「江戸の風」を吹かせよう、という言葉が心に深く残りました。

5月13日(金)

関東商工会議所女性連合会で講演しました。女性経営者の集まりです。この日は東京と山梨だけの会でしたが、それでも500人以上です。全国組織があり、1万名以上が所属しています。会場はぎっしり、すべて女性でした。ここに入会しておられない方もいらっしゃるので、多くの女性経営者が活躍していることがわかります。

江戸時代に、女性のイメージが大きく変わり、また、女性たちが歌舞伎などの文化創造の先頭に立ったことや、さまざまな職業にたずさわっていたことをお話しました。しかしながら、現代は江戸時代と比較にならないほど職業の幅が広がりました。その中でさらに視野を広げていこうという意気込みを、共有したと思います。

5月11日(水)

京都大学が品川から、東京駅前の新丸ビルに東京オフィスを移し、そのお披露目がありました。霊長類の研究者として世界的に知られている山極壽一総長とは、さまざまな会議でご一緒しています。お披露目のパーティに参加してきました。理事で副学長の稲葉カヨ教授ともご挨拶できました。外国人特派員協会の催し物で「日本における女性の活躍」を語り合ったことがあります。今後も親交を深め、対談など実施していきたいです。

5月6日(金)

HOSEI ONLINEで大場千景さんと対談しました。大場さんは社会学部出身。平野秀秋名誉教授のゼミにいて、この近代社会とは全く異なる社会を知りたくなり、アフリカをフィールドとする文化人類学者になるために、その分野の大学院に進みました。エチオピアでフィールドワークを続けておられます。『無文字社会における歴史の生成と記憶の技法――口頭年代史を継承するエチオピア南部ボラナ社会』(清水弘文堂書房)という著書は、本学多摩図書館にも入っています。最近、英訳も刊行されました。

私たちが「常識」と思っていることや「これが歴史」と思っていることは、単に私たちのこの狭い社会だけのことです。時間で言えば明治維新まで、空間で言えばそれこそ世界中に、全く異なる世界が存在するのです。大場さんはアフリカで、私は江戸時代に、それを発見したわけです。循環的歴史観、直接民主主義の自治社会など、共通の話題には事欠きませんでした。