| 氏名 | 研究科・学部 | 専攻・学科 | 学年 |
|---|---|---|---|
| 後藤 倫太郎 | デザイン工学部 | システムデザイン学科 | 3 |
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背に様々な水生生物を住まわせるヤドカリたちが、新たな住処を求めて大移動を始める。彼らの混沌とした旅程を、複雑で細かい描写が得意なピクセル表現を用いて色鮮やかに描いた。
本作で私が描いたのは、多様さや複雑さといった、私の思う混沌とした世界の面白さです。同じ海に住むのに様々に分化した海洋生物たちと、同じような目的の元建てられたのに多くの姿を持つ仏塔はそのほんの一部ですが、その面白さの一端を表現しています。タイトルにもある、彼らの新しい世界に向けた移動も、お祭り的な楽しさ、ひいては変化し続ける世界の魅力を描く要素の一つです。
これらを表現するために使ったのがピクセルです。私はピクセル表現の強みの一つは、複雑に配置された要素を一つの世界に落とし込める力にあると考えています。この作品ではその特性を活かして、海の生物たちが持つ多様さと、アジア建築の様々な様式を絡め、複雑だが文脈のある世界を描きました。さらに、遠近感や陰影、小物などの味付けで世界に説得力を持たせられているかと思います。私のあこがれる、ファンタジックでありつつ、統制されきっていない情報量がどこかリアルな、拡張現実のような世界観を目指しました。
本作はピクセルアートの練習もかねて作成した作品でもあるため、様々なピクセル的表現を使用しました。特に用いたのは独特のスクリーントーン的なグラデーション表現です。生物的な質感、煙や霞、影など、多くの箇所で活躍して、ピクセル特有の密度ある画作りにも貢献しています。
また、画にメリハリをつけるためにも、彩度や明度の色調補正を製作の過程で都度行いました。作品の空気感を作っている光や土煙は、レイヤーの透明度を調整するといったことも行っています。