| 氏名 | 研究科・学部 | 専攻・学科 | 学年 |
|---|---|---|---|
| 中越 瑞葉 | 国際文化学部 | 国際文化学科 | 3 |
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コンテンツ過多、大量消費の現代をイメージしたイラストです。90年代における大量消費社会へのアンチテーゼとして生まれたヴェイパーウェイブスタイルや、現在Z世代の間でブームとなっている平成レトロデザインなどから多大なインスピレーションを得ています。
コンテンツの大量消費の象徴として、ショッピングカートに人物や「いいね」を模したハート型の風船を詰め込んだ構図にしました。本来のヴェイパーウェイブスタイルは大量消費社会への批判的な意味合いが強いですが、私自身コンテンツ過多の世界の恩恵を受けているという負い目があるため、ポップな雰囲気を前面に押し出すことを意識しました。瞳の描きこみや金属・布・風船などの素材の質感にこだわって制作し、特に塗り込みに多くの時間を費やしました。全体的にピンクみがかった色でまとめるために影はすべて乗算レイヤーで塗り、肌などの明るい部分にはクリッピングでオーバーレイをかけました。最後にグラデーションマップをかけることによって派手な色同士がぶつかり合わないように調整しました。
下絵から塗り工程までclip studio paintを使用して制作し、色味の加工やトーンの追加にprocreateを使用しました。モニターによって表示される色味がかなり異なるため、スマートフォン(iPhone)で表示される色味を基準に制作しています。ウィンドゥはclip studioの配布素材を使用し、ギターとショッピングカートは有料の3D素材を読み込み、オートアクションでラスターレイヤーとして線画化しました。
情報過多、コンテンツ過多の状況に巻き込まれている人物のイメージを描いた作品で、作者が日々感じているであろう等身大のリアリティがうまく表現されている。ひっきりなしに情報やコンテンツが押し寄せる今日の状況を単純に否定するのではなく、その恩恵を受けながらも戸惑っている様子が人物の表情や全体の色彩によって伝わるのが面白い。このあたりの作者のバランス感がこの作品をかえって批評性の高いものにしている。