氏名 | 研究科・学部 | 専攻・学科 | 学年 |
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田沢 茉彩 | 国際文化学部 | 国際文化学科 | 3 |
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超高密度の無法地帯と化した犯罪の温床でありながら自治組織も存在しており、退廃的な美しさを有したスラム街、九龍城砦。こうした二律背反こそ九龍城砦が長きにわたり人々を惹きつける最たる魅力である。
香港に実在した九龍城砦を舞台に「二律背反」をテーマに描いている。汚水やゴミだらけで日光の届かない路地と突き抜けるような青空、コンクリートや配管の無彩色と植木やバルコニーの有彩色、人が住めるとは思えない環境と住人の気配など相反するものを取り入れた。当時の人々の生活は『九龍城探訪 : 魔窟で暮らす人々
グレッグ・ジラード, イアン・ランボット著 ; 尾原美保訳 (2004)』を参考に表現している。漫画のようにコマ割りすることで様々な角度から生活を切り取ったような構図に仕上げた。一コマ一コマを拡大して吸い込まれるようにどのコマも奥行きと緻密さを意識している。また、看板の漢字は幽霊文字と通称されるJIS基本漢字に含まれていながら典拠不明で使われることのない文字を織り交ぜている。読めそうで読めない、意味を成さない文字列にすることで異世界のような雰囲気を表した。
ibisPaintXを用いてラフから加工まで全ての工程を行った。ブラシはそれぞれ、線画にGペン、着彩にフェードブラシとエアブラシを使用した。