なぜ転職先として法政大学を選んだのか。既卒者採用で入職した職員が、前職との働き方の違いから、事務職の先入観を超える挑戦について語り合いました。

中村 前職の仕事内容も会社自体もとても好きだったので、本音で言うと辞めたくありませんでした。ただ、全国や海外に支店があり、転勤が多く発生するという点だけがネックでした。単身赴任で家族と離れて暮らす先輩も多くいました。そのため、子どもが生まれたタイミングで、やはり家族との時間を大切にしたいと感じ、東京で転居を伴わない働き方をしたいと思いました。たまたま前職の同僚が大学職員に転職していたため、話を聞いて面白そうだと思い、出身大学である法政大学に転職をしました。
山本 私は前職では3つの部署を経験し、その会社でのキャリアの全体像がある程度見えてきたタイミングで、新しいことに挑戦したいと考えるようになりました。前職で新入社員のフォローや新卒採用の面接を担当することがあり、若い人の支援をすることにやりがいを感じていたため、若者の成長を支援できる仕事に挑戦してみようと思いました。当初は人材系の会社等も検討しましたが、民間企業ではどうしても利益が優先されてしまうので、より純粋に「若者の支援」に向き合えるのは教育機関だと考え、大学職員への転職を決めました。また、中村さんと同じく全国転勤がある会社でしたし、時間外勤務が多かったのも1つの理由です。
中村 山本さんは私と同期入職ですが、「転職して本当によかった!」ってしみじみと言っていましたよね。
山本 そうでしたね(笑)転職して心と生活にゆとりができました。
小堀 前職では、数字のプレッシャーもすごかったですよね。目標やノルマを達成しなきゃという意識も常にあり、家族との時間があまり持てませんでした。私は、家族との時間が欲しかったのと、長く働ける環境を求めて大学職員への転職を決意しました。
持田 私は皆さんとは少し異なるパターンで、民間企業からではなく、他大学の職員から転職をしてきました。新卒のときから大学職員を目指して就職活動をしていて、当時は関西の大学にご縁をいただきました。働いていく中で東京で、キャリアを積みたいと思ったのが転職のきっかけです。大学は理念によって職員の姿勢が変わるので、新卒・中途のどちらも理念を重視して大学を検討しました。法政大学は、私が学生だった頃から、学生サポーターの支援等、職員が一貫して学生の主体性を伸ばすために働く姿勢があり、これは法政大学にしかない魅力だなと思いここに決めました。
小堀 現在、学生と一緒にDIYで施設の改修をしています。これは学生企画としてコロナ禍で閉鎖されたままになっている多摩キャンパス内の生協跡地を改修するというものです。通常、大学は長期修繕計画に基づいた年度予算で工事をしていますが、学生から「使いたい!やってみたい!」と声が上がり始まりました。せっかくなら学びの場として、工事自体を学生自身でやってみよう、ということで、学生が主体となり実際に壁を塗り直したりしています。まさに実践知ですね。
山本 実施するにあたり問題や工事中のトラブルとかはありませんでしたか?
小堀 施設の用途が生協から学生の活動場所に変わるので、用途変更に関しては他部署も含めて調整をしました。また、今回の件は理事会での承認のもとで進めているため、特段問題なく進められています。工事はまだ途中ですが、学生にはケガのリスクや危険がないところだけやってもらって、作業によっては業者にお願いするようにしています。
中村 小堀さんのエピソードでもわかるように、法政大学の良いところは現場の職員の主体性を大事にするところだと思います。私も積極的に自分のアイデアで挑戦していくことを心掛けています。初期配属の広報課のときは、広報課として共通の方針を作ることを上司に提案し、チームで何度も議論し、広報戦略を策定しました。それまではオールドメディアを重視する風潮があり、業務も縦割りで、効果が最大限発揮できていない状況だったのですが、Z世代向けの広報戦略を新たに策定し、六大学では初となるTikTokを始動する等SNS業務を最優先とする広報体制へ変革しました。広報誌HOSEIの大幅リニューアルや、テレビロケの受け入れ等も行い、積極的に新たなことへ挑戦していきました。チームとしても、方針ができたことで、迷いがなくなり、一丸となって前へ進むことができました。これを実施したのが入職3年目の頃だったので、まだ職員歴としては浅かったのですが、歴等関係なく、また臆することなく、自分らしく挑戦することができ、大学職員という職業の面白さを知ることができました。信念をもって、提案すれば、上司や同僚は後押ししてくれますし、やりたいと思う気持ちを尊重してくれるのが法政大学の魅力だなと思っています。自分次第でいくらでも面白くできるのが大学職員の仕事の魅力だと感じます。
持田 それは本当に思います。自分のやりたいと思ったことに蓋をせずに、積極的に提案することができ、風通しの良い環境ですよね。
山本 わかります。就活生からしたらあまり想像つかない部分かなと思いますが、すごくいいことですよね。大学職員って「事務でしょ?」と言われるけど、それは先入観だなと思います。
中村 前職では商品企画やマーケティングにも携わっていましたが、会社の都合等、しがらみも少なからずあり、自分が本当に思う、理想的な企画はあんまりできなかった気がします。今の方がよっぽどクリエイティブな仕事ができているなと感じます。楽しいですね。
山本 思った以上にクリエイティブですよね。私の初期配属のキャリアセンターは、当初受け身のスタンスで就職相談に来る学生だけが利用するイメージでした。キャリアセンターとしては、就職率100%を目指していますが、1学年約7,000人いると就活に出遅れる学生も一定数います。そういう学生はキャリアセンターを使わない人が多いんですよね。そこで、こちらから進路に悩んでいる全学生と関わりを持てるように進路が報告されていない4年生全員に電話をして、まだ進路先が決まってない学生1人につき1人の職員がつく個別サポートを始めました。当然相談だけでは解決できないこともあるので、企業の求人を開拓したり、学生と企業をつないだりもしました。こういう仕事は事務職のイメージを超えていると思います。
持田 色々なことに挑戦できると思っています。私は法政大学のグローバル教養学部(GIS)出身なので就活のときから語学を活かした仕事をしたいと思っていました。今の部署で語学を使うことはないのですが、学内で募集している進学アドバイザー(国際入試)にチャレンジしています。これは日本以外の教育制度で就学する受験生を対象に法政大学の魅力を伝える全学的な入試広報活動で、自分の語学力を活用できています。進学アドバイザー(国際入試)に挑戦しようか迷っているとき、入職直後の上司との面談で「ぜひ挑戦してみてください!」と背中を押してくれたんです。いい意味で法政は業務が縦割りになっておらず、興味のあることにチャレンジできる環境だなと思っています。
山本 私は程よいプレッシャーを感じながら働けています。前職では上司や職場の雰囲気から強いプレッシャーを感じていました。精神的に追われているとクリエイティブな発想ってなかなかできないですよね。転職してからは、心にゆとりを持ちながら業務ができているので、業務改善や新しい提案等、色々な発想を持って仕事に取り組めるところがいいな、と思っています。
中村 前職との違いでいうと、生身の人間を相手にする職種だなと感じます。前職では商品を企画して販売していたので、全国の多くの消費者に笑顔を届けていたと思いますが、その笑顔を直接的に感じることができませんでした。大学職員だと目の前の相手にサービスを届けられるので、学生にとって何が最善かをその場で考えながら対応できるのが大きな違いかなと思います。エンドユーザーの顔が見える仕事なので、人間としての心の部分が試される、尊い仕事だと思います。
小堀 私は前職と比べて長期的な視点で業務ができている、と思っています。前職は営利企業なので年度ごとの決算で目標値に対してどう動いているかというのをシビアに見ていましたが、大学は営利企業ではないので、お金はかかるけど長い目でみて学生のためになる施設を作ろうとか、そういう考えをもった働き方ができているなと思います。
山本 他に制度面でいうと、一斉休暇が多くあるのがありがたいです。夏季休暇、年末年始休暇等の休みが、有休のほかにあるのはとてもいいですよね。
中村 有休の消化率も高いですよね。休もう、という空気感が全体にありますし、むしろ上司からは「休みな!」といわれます(笑)ホワイトすぎますよね(笑)
持田 前職は夏休みが約2週間固定でありましたが、私自身が有休をあまり積極的に取得していませんでした。法政大学では、土日のお休みに有休をつなげて連休にしたりする人もいて、私自身もお休みを取りやすいな、と感じています。
中村 就活で企業を選ぶとき、多くの学生はその時点の自身の価値観の中で「いいな」と思う企業を選んでいると思いますが、年齢を重ねていくとその「いいな」が変わる可能性があります。私は家族ができたことをきっかけに自分自身の「いいな」が変わりました。就活中は、かっこいいキラキラした企業に目がいってしまいがちですが、10年後、20年後の自身の姿を想像し、人生をどう生きていきたいか、他に可能性はないのか等、少し立ち止まってみることをお勧めします。
小堀 本当にその通りだと思います。今の就活生は会社を選べる時代。私のときは選んでもらう時代でした。企業の条件もしっかりみて将来的にどうありたいかを検討して考えていけたらいいなと思います。
山本 仕事を選ぶ上で何を優先するのか、自分の希望をしっかり整理して、ブレない軸をもって就活をやっていただけたらと思います。新卒のときに大学職員を選ばなかったとしても、働いていく中で、自分の軸や気持ちが変わったときに第二のキャリアとして法政大学や大学職員を思い出してもらえると嬉しいですね。
持田 もし大学同士を比較検討している方がいれば、実際にその大学に足を運んで職員と話す機会を作ってほしいです。大学の理念によって大学や職員の雰囲気が全く違うので、ネームバリューではなくて「この大学の職員と働きたいかどうか」という気持ちでいると自分に合った場所を見つけられると思います。