気候学・生気象学を専門としている山口教授。都市の気温が郊外に比べて高くなる「ヒートアイランド現象」を主な研究対象としています。大学院時代に都市緑化について理解を深めて以来、「人間×緑×気候」を研究の柱とし、現在も屋上緑化や壁面緑化など都市緑化によるヒートアイランド対策に取り組んでいます。
東京都職員(造園職)として環境局の東京都環境科学研究所などで約20年間、ヒートアイランド対策について主に千代田区での調査・研究を続けてきた山口教授。同区に位置する法政大学でも調査に関わり続けてきました。「調査の結果、千代田区では2010年からの12年間で約14万平方メートルの緑地が新たに創出され、特に東京駅周辺エリアでは地表面温度が大きく低下している事実が判明しました。このような大規模かつ継続的に効果測定が行われたのは初めてのケースで、都市緑化の効果を実証することもできたため、大きなやりがいを感じました」と語ります。Column「屋上緑化の原点、さまざまな地域に見られる『芝棟』の魅力」では、国内外の「芝棟」の写真を掲載するとともに、山口教授が近年ライフワークとしている研究を深堀。文系・理系両方の学生が進学する文学部地理学科の魅力も掲載しています。
「子どもの頃から『温故知新』という言葉を大切にしてきました。研究においても最先端の技術を取り入れる一方で、先人の知恵に着目しています。そのため、近年は国内外で伝統的に行われてきた暑熱対策について調査しています。こうした取り組みを通して、誰もが健康で快適な暮らしを営み続けられる社会の実現に貢献していきたいです」と研究で実現したい未来を語ります。
気候変動がもたらす影響を解明し、ヒートアイランド現象の緩和を目指す山口教授のインタビュー、ぜひご覧ください。
(掲載先:広報誌「HOSEI」2025年4・5月号)
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