「箏(琴)、三味線、尺八という3種の和楽器を使った合奏形態が『三曲』です。三曲会での流派は、箏が生田流、尺八は都山流、扱っている三味線は地唄三味線です」と解説してくれたのは齋藤さん。「和楽器の合奏は、響きに迫力があって魅了されます。演奏しながら音色の重なりを感じると、ついついテンションが上がります」と笑顔を見せます。
三曲会では古典音楽から現代邦楽まで幅広く扱っており、演奏会などで練習の成果を披露しています。特に活動の節目となる「定期演奏会」は、学外のホールを借りて一般客を招くなど、力を注いでいます。2020年は感染症拡大防止のため中止となりましたが、2021年は規模を縮小して開催しました。「楽器があればどこでも演奏できるので、他大学の方と合同演奏する機会も多いです」と語るのは水越さん。関東学生三曲連盟に所属し、コロナ禍前は連盟主催の合同合宿や演奏会などにも参加していました。「和楽器サークルのコミュニティーは交流が盛んなので、いい刺激になります」と意欲を語ります。
部員たちの練習は熱心で、以前は6泊7日の強化合宿をしていたこともあるほど。尺八を担当する花立さんは「最初は肺活量が足りなくて、思うように吹けず、長い曲の演奏がつらくて心が折れそうになりました。しかしそんな練習のかいあって、演奏会で完奏できた時には感無量でした」と思い出を振り返ります。コロナ禍の影響で合奏練習ができなくなると、個人レッスンで講師の先生に月3回稽古を付けてもらいながら、個別練習に励みました。「尺八の先生はプロの演奏家の方で、箏と三味線の先生は三曲会を卒業された先輩です。先生方は、コロナ禍での練習の支えになってくださいました」と全員が感謝を語ります。
2年生の森さんは「コロナ禍で入部して丸1年は一人で練習することしかできませんでしたが、三曲会は和やかで面倒見のよい雰囲気があって不安はありませんでした。初心者の私に楽器を貸与してくれて、先輩方が吹き方を丁寧に教えてくれたことが印象深いです」と振り返ります。
「約60 年の歴史がある三曲会は、卒業生との関わりも深く、演奏会を楽しみに来てくださる方もいます。これからも伝統を大切に守りながら、活動を続けていきたいです」と語るのは代表の宮本さん。コロナ禍に負けることなく、大学祭などでは体験教室を開催。「和楽器演奏の楽しさを、もっと広く知ってもらいたい」と全員が声をそろえます。
(初出:広報誌『法政』2022年1・2月号)