1.研究の目的
日本では、各省庁を始め、民間の企業やシンクタンクでも、企業や地域に対してサステナビリティ経営を推進させる政策やガイドブックを数多く公表している。そのうち、中小企業の多くは、国や民間のこうした動きやその対応への必要性を理解しているが、大企業に比べて経営資源が豊かではないことから、日々の経済活動の中で、法規制に遵守すべき環境保全や社会課題への対策のみに取り組んでいるのが現状である。しかし、自社の業績や価値をより一層高めていくためには、現在のような法規制に遵守した「守り」の経営だけではなく、サステナビリティに専念している取引先の大企業や、サステナビリティの取り組みを融資条件としている金融機関への対応を始め、社内でサステナビリティを加味した新たな事業・技術の創出や商品・サービスの開発、職場環境の整備や人材の開発・育成、さらには、社外(地域)への社会的インパクトの向上を目指す、サステナビリティを戦略的に取り込む「攻め」の経営も必要とされる。
そこで、本研究所では、中小企業の現状や業種業態を考慮に入れた「攻め」のサステナビリティ経営の展開方法を理論的に検討しつつ、それをもとにした調査や社会実験を通じて実践導入可能な経営モデルやガイドについても提案する。また、こうした成果は、研究所主催のセミナー、エコプロのような省庁主催のイベント、学会活動を通じて社会にも広く公表する。
2.研究所の事業内容
本研究所では、「1.研究の目的」を達成するために、以下の取り組みを実施する。
(1)文献・現状調査
本研究に関連する著書、論文、報告書、ガイドを収集し、その内容を考察する。また、地域(エリア)や業種業態ごとに調査票調査やインタビュー調査を実施し、調査結果を分析する。以上の結果はエクセルで整理し、データベース化する。
(2)共同研究
(1)の成果を加味しながら、企業との共同研究(社会実験)を実施し、実践的に導入可能な「攻め」のサステナビリティ経営モデルを検討しつつ、実践導入ガイドの提案も行う。
(3)研究・調査の成果公表
(1)と(2)の研究・調査の成果は、研究所主催のセミナーや省庁主催のイベントへの参加、所属学部・大学院の紀要、所属学会での報告や論文を通じて公表する。
(1)と(2)の取り組みについては、企業人として参加する浅井氏、荒尾氏、大平氏、杉山氏、田所氏、盛澤氏、山田(貴)氏にも専門分野や実務経験をもとにご協力いただき、また(3)を通じてその成果を社会に広く発信する。
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