大学院特定課題研究所一覧

地域マネジメントシステム研究所

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2021年4月27日更新

研究代表者 人間環境学部 教授 金藤 正直
主たる研究分野 経営学、理工学
研究概要
  1. 研究目的
    本研究所は、主に経営学と理工学の視点から、地域の特性(風土)や既存資源を有効的かつ効率的に活用しながら、持続可能なサプライチェーンあるいは産業クラスターといった連携組織体の取組みを支援していくためのマネジメントシステムと、それを支援し、評価するための情報基盤を検討していくことを目的とする。
    2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」と企業などへのSDGs適用指針である「SDGコンパス(SDG Compass)」を始め、「Renewable Energy 100%(RE100)」や「科学的根拠に基づく目標(Science-based Targets:SBT)」の国際的なイニシアティブなどを受け、日本でも、関係省庁・自治体の政策・施策や企業の経営戦略に、こうした目標やその達成のための取組みを反映させ、経済性の追求に加え、環境・社会課題への解決が必要になってきている。上述の連携組織体で行われる事業のうち、現在、日本各地で実施されている「食農連携事業(食料産業クラスター)・農商工連携・6次産業化事業」、「バイオマス利活用事業」、「再生可能エネルギー事業」については、会計検査院が実施したこれまでの検査結果によると、当該地域に根ざした「事業(ビジネス)」の視点を考慮に入れて策定された実現可能な政策・施策または経営戦略や、その達成に沿ったマネジメントシステムが導入されていない、あるいは十分に機能していないために、経済性向上とともに環境・社会課題の解決にも繋がっていないことが指摘されている。したがって、今後SDGsなどを加味し、地域でこうした事業を持続的に展開していくためには、会計検査院の検査結果を踏まえた新たなマネジメントシステムの導入が必要である。
    そこで、本研究所では、上述の国際的な動向を考慮に入れた関係省庁・自治体の政策・施策や企業の経営戦略を実現させる「食農連携事業(食料産業クラスター)・農商工連携・6次産業化事業」、「バイオマス利活用事業」など、地域特性に応じた事業(地域ビジネス)展開のベースとなる持続可能なサプライチェーンあるいは産業クラスターのためのマネジメントシステムとそれを支援し、評価していく情報基盤を構築するとともに、これらの研究対象地域への実践適用可能性も検討する。
  2. 研究内容
    本研究では、「1.研究目的」に示した国内外の動向を加味しながら、各事業を最適化させるマネジメントシステムの構築やその実用化に向けて、(1)から(5)のワーキンググループ(WG)を編成し、実施する。(1)国際的な動向と日本の関係省庁・自治体および民間企業の現状分析:WG1
    (2)食農連携事業(食料産業クラスター)・農商工連携・6次産業化事業:WG2
    (3)廃棄物、バイオマス利活用事業:WG3
    (4)再生可能エネルギー事業:WG4
    (5)持続可能なサプライチェーンあるいは産業クラスターを対象としたマネジメントシステム:WG5
    各ワーキンググループでは、WG1でWG2~WG4の事業に関係する国際機関の取組みや国際的イニシアティブとともに、日本の関係省庁・自治体、民間企業などの取組みとその動きを調査する。この調査と並行して、WG2では、農業を基幹産業としている地域の農家、加工業者、販売業者などが、コーディネーターあるいはプランナーと一緒に連携事業を展開しつつ、付加価値の高い製品・商品の生産や販売、また、雇用創出や労働力不足の解消といった効果が得られる事業の可能性を検討する。WG3では、全国あるいはWG2で研究対象とした地域で発生する食品ロス(フードロス)あるいはバイオマスを利活用した事業の可能性、また、WG4では、当該地域の特性(風土)を考慮に入れた再生可能エネルギーを用いた事業の可能性、さらに、WG2とWG3、あるいはWG2とWG4、またはWG2とWG3と WG4の統合事業の可能性についても検討しつつ、WG2の事業での効果に加えて、二酸化炭素(CO2)や廃棄物の排出量削減の効果も明らかにする。以上の研究・調査の結果に基づいて、WG5では、サプライチェーンあるいは産業クラスターの形態で展開される各事業の最適化と、それによって当該地域で持続的成長が見込め、新たな地域産業の創出を実現させるためのマネジメントシステムとそれを支援し、評価していく情報基盤を構築し、また、これらを社会実装し、実用可能性も提示する。  
研究員 川久保 俊 デザイン工学部 教授
大学院
特任研究員

島田 宗勝 元弘前大学北日本新エネルギー研究所 教授
石井 政雄 株式会社開発計画研究所 代表取締役所長
水野 里香 横浜国立大学経済学部 非常勤講師
高橋 賢  横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 教授
岩田 一哲 三重大学人文学部 教授
岡本 大作 光茫合同会社 代表社員
山田 一人 株式会社スリーゼット経営企画部 部長
越智 裕士 株式会社森のエネルギー研究所  バイオマスエンジニア
金 官正  二松学舎大学 非常勤講師

設置期間 2018年5月1日~2023年3月31日
設置場所 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー23階 金藤研究室