設置終了した研究所

芸術表現国際交流研究所

設置終了した研究所

研究員等の職は、設立当時のもの

研究代表者 経済学部教授 財津 理
主たる研究分野 日本古典総合舞台芸術における言語伝達の国際交流
研究概要 能、文学など、日本の古典的総合舞台芸術の海外公演は、現在、頻繁に行われており、海外公演では、国内公演と同様にたいていの場合字幕が付けられているが、 字幕における外国語への翻訳は、公演の主体に任されている。しかし、翻訳された文章の妥当性は客観的には検証されていないと言ってよい。まず、字幕を読みながら舞台全体および舞台上の演技を鑑賞する場合、日本語の詞章をどの程度の量の外国語に翻訳するべきかという問題がある。舞台芸術の 鑑賞において、同一時間内での言語知覚は、聞き取りに比べて読み取りのほうが遅い。舞台上で発音される詞章を、発音時間内で知覚しうる量の文字に変換するためには、 実践的なデータを取る必要がある。
次に、古典的総合舞台芸術の詞章、とりわけ能の詞章は、万葉集以来の和歌の引用が多く、また古今集から発達した縁語、掛詞などのレトリックの多用が顕著であるが、 こうした日本語の古語に固有のレトリックをどのように外国語に転換しうるかという問題がある。たしかに、古典的レトリックの翻訳は、外国語への転換の場合だけでなく、 現代日本語への転換の場合にも困難であるが、しかし、現代日本語への転換と外国語への転換を関連させて、古典的レトリックの翻訳を試みなければ、その困難の質と その困難の克服可能性は明確に把握できないだろう。
本研究所では、実際の上演において、舞台上での芸術的側面、音楽的側面、演者の所作的側面の鑑賞の一定の時間内における字幕の読み取りと理解の速度のデータを 取ることを予定している。それと並行しながら、日本の古典的舞台芸術の詞章の現代日本語への転換と、英語およびフランス語への転換を関連させながら試行し、 その困難と可能性を明確にすることを予定している。
特任研究員 齋藤 範 法政大学兼任講師
岡本 広由 株式会社成美堂
平田 星司 学校法人東洋美術学校
設置期間 2010年10月18日~2013年3月31日
設置場所 経済学部 財津研究室