設置終了した研究所

エイジング総合研究所

設置終了した研究所

2018年9月13日更新

研究代表者 経済学部教授 河村 真
主たる
研究分野
医療・介護・年金・財政の世代間問題
研究概要 2011年度からの3年間で、エイジング総合研究所の研究成果は、「世代間の問題の経済分析」の中で特に「医療保険制度の世代間問題」を分担し、公的医療保険や介護保険のあり方に関する分析を行った。
これに加え、公的医療保険制度における薬価制度の問題、喫煙や運動習慣などの高齢者の分析、医療格差の分析を行った。これらの課題に関して、継続して研究を進める。
特に、喫煙や運動習慣などの生活習慣の分析は、子育て世代まで分析対象を拡張する。これまで蓄積してきた家族介護のアンケート調査個票を用いて、介護の負担感と介護保険給付の効果分析も行う。公的医療保険制度における薬価制度の問題の拡張としては、市場規模が大きく、今後の高齢化の進展とともにさらにその拡大が予想される主要な薬効群を分析対象に、個々の製品市場シェアの決定要因の検証を通じてわが国の医薬品市場の構造を解明することを目的とする。先発品と後発品との市場における相互関係、ジェネリック処方を促進する処方箋様式の変更といった規制変更が市場に与えたインパクト評価など、わが国の医薬品政策を考察するうえで基礎となる重要な知見を得ることを目指す。「市場」と「公的管理」が交錯する世界的にも特異な我が国の市場構造について経済学的視点から新たな知見を得たい。
他に、医療保険制度の効率化に関しても焦点を当て、「リスク構造調整」を公的医療保険(被用者保険中心)に導入した際の公費負担(国庫補助)と各保険者の保険料率への影響、および、現在海外で考案されている「リスク構造調整」手法(とくに疾患ベース手法)の精査・比較ならびにわが国のデータによる検証と適用可能性の検証の2点に絞り、分析を進めたい。
新たに研究員が加わったことによりに、高齢化が財政を通じてマクロ経済に与えるインパクトも新たに研究課題に加える。少子高齢化の進展とそれに伴う社会保障費の膨張、また恒常化する財政赤字によって、日本の公的債務残高(対GDP)は急増している。引き続き、公的債務(対GDP)の上昇は確実であり、現状のままでは、いつまでも国債の安定消化が図られるとは限らない。財政危機は急激な国債価格の下落を通じて金融セクターにも打撃を与える。そこで、本研究では、国債が消化できない閾値の存在可能性や、財政危機と金融危機の相互作用に関する分析を少子高齢化から生じる財政赤字へのリンクを意識して行う。他に年金にかかわる世代間問題なども課題として検討する。
研究員 菅原 琢磨 経済学部教授
小黒 一正 比較経済研究所教授
酒井 正 経済学部教授
濱秋 純哉 比較経済研究所准教授

大学院
特任研究員

小椋 正立 法政大学経済学部名誉教授
松岡 佑和 武蔵野大学経済学部講師
設置期間 2014年4月1日~2019年3月31日
設置場所 法政大学経済学部河村研究室(8号館406研究室)