お知らせ

2023年度(第7回)「自由を生き抜く実践知大賞」選定理由とエントリーした全実践事例への総長コメントを紹介します

  • 2023年12月22日
  • イベント・行事
お知らせ

12月16日(土)に、2023年度(第7回)「自由を生き抜く実践知大賞」表彰式を市ケ谷キャンパス 外濠校舎6 階 薩埵ホールにて開催しました。
詳細は、以下よりご覧ください。

廣瀬総長より、受賞された実践事例への選定理由コメントと、エントリーした全ての実践事例にコメントが寄せられましたので、下記の通り紹介します。受賞した実践事例以外にも、「実践知」を生み出している素晴らしい事例が数多く存在しています。ぜひご覧ください。

◆掲載内容
実践主体/実践事例名称
廣瀬総長からのコメント

総長からの選定理由コメント

大賞

法政大学 チーム・オレンジ/防災ゲーム『ツナグ』の取り組み

防災の取り組みは平常時から繰り返し定着させていくことが大事だが、繰り返されればされるほど、取り組むことを形の上で繰り返すだけという状況に陥りやすい。さらに、関心を示さない人に対して浸透させることが期待されるが、その実現は容易ではない。これらの課題に応えるために、誰もが楽しめるように設計された防災ゲーム『ツナグ』を制作し、それを活用した企画を実施することによって浸透を図った取り組みである。楽しみながら、結果的にみんなの大きな課題に対する認識を深め、災害に対応する準備の向上につなげている。ゲーム化するというアイディアと、それを活用した企画によってその実効性を高める実践性が、大賞に相応しいものと評価された。

卒業生からの継承賞

法政大学リカレント教育オフィス/法政士業の会による『相続問題の基礎知識』

卒業生の中の、各士業専門家の会である「法政士業の会」と連携し、公開講座「相続問題の基礎知識」を開設し、市民向けに提供した取り組みである。法政大学卒業生の中には、さまざまな国家資格(「〇〇士」)をもち、それぞれの分野で活躍されている方が多数おられるが、その方々の専門知識を市民に還元し、社会課題の実践的な解決に資する活動として具体化された。また、卒業生との連携によってこのような活動が展開されていることが現役学生に伝わることによって、諸々の士業が現役学生にとってのロールモデルともなる。社会貢献の継承にもつながっていく意義ある取り組みと評価された。

共感の襷賞

東京メトロ飯田橋駅ボランティア/コロナ禍を乗り越えた地域貢献ボランティア

東京メトロ飯田橋駅構内で続けられていた、見守り・案内活動のボランティアは、新型コロナウィルス感染症のパンデミックによって長期間にわたって現場における対面での活動の中断を余儀なくされた。これは、毎年卒業と新入を繰り返しながら4年でメンバーが入れ替わっていく学生団体の活動にとって、活動の質を確保しながら継承していくことに深刻な影響をもった。それに対して、メンバー同士の交流と勉強の場である準定例会の内容を刷新し、現場に立つメンバーのシフト制も導入して、ベテランメンバーから経験の浅いメンバーへのノウハウの継承を確保し、コロナ禍という困難を見事に乗り越え、襷をつなぐことに成功した。

持続可能なデザイン賞

デザイン工学部建築学科 小堀哲夫研究室/SIC多摩産材プロジェクト

2023年4月に多摩キャンパスに発足したソーシャル・イノベーションセンター(SIC)の内装・什器の設計から実施までを、多摩キャンパスの学生教職員と、小堀研究室の学生のコラボレーションで行った取り組み。地域の課題の解決に、現場で活動しながら取り組んで行くSICにふさわしく、地元多摩産の木材を活用したり、学内で廃棄されるドラム缶を再利用したりしながら、SIC利用者のニーズに合った、デザイン的にも実用的かつ魅力的な空間と什器が実現された。研究室の専門性を生かし、現場ユーザーとの協働によって、多摩キャンパスの顔に相応しい空間を、学生が主体的に構築した成果が高く評価された。

社会の課題解決賞

人間環境学部 金藤正直研究会アパレルチーム/残反プロジェクト

経済活動の過程で発生する廃棄物は、地球上の限られた資源を無駄にして、環境負荷を高めてしまう。しかし、その実態は認識しやすいものだけではなく、まだまだ社会に認知されていないものが残されている。衣類の生産過程の上流で生じる残反(ざんたん)という課題はそのひとつである。これは、今まであまり取り組まれてこなかったこの課題に正面から取り組んだ活動である。この課題に対する社会の認知度を高めるとともに、残反を新たな価値ある素材として活用することによって、実体的な解決を図ることにつなげている。残反を、無駄なく活用して魅力的な衣類へと仕上げていくアイディアと行動力が光る実践知だ。

進取の気象でチャレンジ賞

法政大学国際高等学校 エコアクションプロジェクト/含昆虫食品の開発・販売と考察

国際高の有志団体「エコアクションプロジェクト」が行う、昆虫食の開発を通して食料危機への対応を志す取り組み実践である。コオロギ粉を使用したクッキーを、メンバーが学習と試作を重ねながら完成させ、大学や企業などさまざまな団体と連携しながら成果をパッケージ商品化し、学園祭で用意した分量を完売するなどの成果を得た。また、昆虫食への心理的な抵抗感を持つ人も少なくないという現実にもしっかりと向き合い、それに対する対応を現実的に考えるなど、活動の深まりが素晴らしい。

よき師よき友が選ぶ実践知賞

多摩オープンキャンパスリーダーズ/「繋」~多摩のプロフェッショナル~

多摩キャンパスのプロフェッショナルであることを志し、キャンパスツアーなどを通して、多摩キャンパスの魅力を、高校生と保護者、現役学生の父母らに伝えている。今年度はさらに対象を広げ、新入職員、新任教員、学部長会議メンバーや理事会メンバーなどに対するキャンパスツアーも行ったが、それが活動のステップアップにつながった。多摩キャンパスの学部長や教員を含む案内対象者に、自分たちは何を伝えられるか、伝えるべきかを考え、ツアーにおいてそれを実践することで、現役学生ならではの視点から意義あるメッセージを発信出来ている点が高く評価された。

ノミネート実践事例への総長コメント

経営学部 長岡健研究室/カフェゼミ

創造的なコラボレーションのデザインというテーマを掲げ、定期的に街中のさまざまな場所で「オープンゼミ」を展開しながら、多様なゲストスピーカーを迎え、社会人と学生が組織の枠を飛び越えて対話を楽しみながら、「明るい未来」をどう実現していくかを考える場を創出している取り組みである。見知らぬ他者との出会いや交流を、ともに未来を構想することに発展させていこうとする活動は、現代社会が求めている実践知を体現するものと言える。

総合情報センター事務部/職員のテレワーク環境導入

コロナ禍の中でテレワークが広がったとき、法政大学ではすでに電子決裁は導入され、定着していたが、セキュリティの配慮のためオフィスに設置したパソコンでなければ電子決裁ができない仕様となっていた。ハンコのために出社ではなく、電子決裁のために出勤しなければならなかったのである。そこで、セキュリティ面の配慮を維持しながら、リモートから電子決裁が実行できるよう、急遽仕様を固め、短期間でテレワークができる環境を導入した。

卒業生・後援会連携室募金課/法政サポーター祭

法政大学のホームカミングデーにあたる諸行事は、コロナ禍によっていったん対面での開催ができなくなった。その時期に、オンラインでのイベント開催のノウハウを蓄積したことを生かし、卒業生、学生の父母など法政大学を応援してくださる方々の参加を得て「楽しく寄付」「楽しく社会貢献」をめざすオンラインイベント「法政サポーター祭」を2023年に初開催した。その結果、従来の行事よりも若い世代の方々の参加を得て、新しいスタイルのファンドレイジングイベントを誕生させることが出来た。

大学院法務研究科法務専攻(法科大学院)/法政出身弁護士による無料法律相談

本学のルーツである1880年に創設された東京法学社は、実務法曹が市民のための法曹教育の場としてスタートした。それを現代社会の文脈の中で再現しているのが、法科大学院における卒業生弁護士による無料法律相談である。相談者の了解のもとで法務研究科の院生も法律相談の場に立ち会わせていただき、市民の課題解決を支援しながら、次世代の法曹を育成することにもつなげている点が高く評価される。

目黒区商店街連合会/目黒区ミライ会議

コロナの影響が縮小した2023年、地域の中高生30人の参加を得て組織を一新し、地域行事の再開に向けて、新しい取り組みを行った。中高生、若者、地域の大人の連携のもと、商店街へのファミリー層、若者の来訪が少ないという状況を打開すべく、地域イベントのデジタル化、子供向け地域イベントなどを企画し、多くの来訪者を獲得した。この展開によって、大人の指示で若者が動くのではなく、大人の依頼に対して若者が企画で応えるという新たな関係性を構築できた。

エントリー実践事例への総長コメント

人間環境学部 松本ゼミ/市ヶ谷キャンパスにおける放射線量徹底調査

2015年度から現在まで継続して、市ヶ谷キャンパスの放射線量を、網の目状に測定し、その分布を明らかにしている。それによって①キャンパス全体にわたり放射線量が安全なレベルであることを確認するとともに、②局所的に線量が高い箇所を発見し、③その一部は固定化されていることなどを明らかにした貴重な貢献。その成果を大学としてどう活かしていくかを再確認したい。


法政大学大学院政策創造研究科 井上ゼミ/NPO法人グリーンアジア

日中青年環境創生フォーラムに参加し、優秀提案賞を受賞したことを契機としてネットワークを広げ、ゼミの仲間と協力してNPO法人グリーンアジアを創設した。さまざまなイベントを通して、環境問題に関する啓発にとどまらず、アジア地域の文化・社会・教育に関する知識を深めようとする取り組みは、重要な意義をもっている。

法政大学セパタクロークラブ/学校と世界を超えたセパタクロー活動

タイ発祥のスポーツ「セパタクロー」は、ボールひとつあれば老若男女輪になって一つになれるのが魅力だという。中学生からこの競技を始めてその魅力を確信したひとりの学生が、法政大学にセパタクロークラブを再建すべく、ネットワークを広げながら活動の輪を広げていく姿は、100年余り前の日本の近代スポーツの姿を彷彿とさせる。100年後が楽しみになった。

通信教育部 市ヶ谷グリット/「継続は力なり やり抜く力」

ともすれば「孤独な戦い」になりがちな通信学習において、学生間の横のつながりは重要だ。コロナ禍で普及したオンラインのツールを活用して学生同士の学び合いの仕組みつくりが行われ、成果をあげてきた。小グループ勉強会や、メンター&メンティーの取り組みを、明確に時間を区切りながら取り組むことが成果につながるというノウハウが、広がり、継承されていくことを期待したい。

小金井オープンキャンパススタッフ/小金井オープンキャンパスの企画運営

法政のオープンキャンパスの魅力のひとつは、現役の学生の活躍する姿が見えることだと言われる。理系キャンパスにおいて、その魅力を伝えるために、万全の準備を整えて活動し、上の学年から下の学年へとノウハウを継承していくシステムは、法政理系の存在感を力強く支えている。

理工学研究科電気電子工学専攻笠原研究室/こだわり抜いた先にある「光」

従来の延長線上にない、まったく新しい発光デバイスの研究によって、「世界でたった一つの発光デバイス」を作り上げ、論文の受賞に加えて、オープンキャンパスなどでも注目を集め、研究の面白さを目に見える形で実現した。研究による創造が実際に形となり、人の目に触れ、その価値が共有されていくことは無上の喜びだったことだろう。それを通して法政理系の魅力を体現する取り組みだ。

経営学部学術ゼミナール委員会/時間割お助け隊

学部新入生に対して、上級生たちが自分たちの経験をもとに、対面、オンラインで時間割作成をサポートした。学生の本音も交えたノウハウの継承は、学生が主体の活動ならでは。それを許容する先生方の度量もあわせて評価したい。また、サポート内容だけでなく混雑への有効な対処などは経営学の学びにも生きるに違いない。

法政高校音楽部/卒業生や他校生と切磋琢磨した音楽部

全バンドがオリジナル曲を作る合宿で切磋琢磨したり、外部のコンテストなどにも積極的に参加し、卒業生や交流した他校の関係者などからもさまざまな刺激を得ながら、多くの成果を挙げている。自主性を重んじる校風が、その音楽活動にしっかりと体現され、成果となっている。

ダイバーシティ推進委員会/DIVERSITY WEEKs 2022

学内のダイバーシティ意識の醸成を目的として、多数のプログラムを集中的に開催するDIVERSITY WEEKsをはじめて開催した。多くの教職員学生の協力を得て一連の企画を実施できたことにより、ダイバーシティ意識の醸成につなげる「連携は力」を実感させる取り組み。

IM総研特任研究員 兼 IM特任講師/大学院内で起業 〜同期の垣根を越えて〜

起業・ベンチャーは、大学院イノベーションマネジメント研究科が養成をめざす人材像のひとつ。そして、同じ関心をもつ仲間と出会えることは、大学、大学院で学ぶことの重要な要素だ。大学院で出会った仲間と起業を実践したことは、研究科の目的を体現する活動だ。成果に期待したい。

「先輩学生による相談窓口」学生スタッフ/大学生活全般に関する相談窓口の実践

現代社会のさまざまな側面について、多様な視点からアプローチできるのが社会学部の魅力だが、多彩なカリキュラムの中で時として迷子になってしまう学生も発生する。新入生に対して上級生が「道案内」をすることで、社会学部の特色を4年間フルに活かせる学びへとガイドする貴重な取り組みだ。

スポーツフェスティバル学生実行委員会/第40回スポーツフェスティバル

多摩キャンパスのスポーツフェスティバルは学生実行委員と教職員が協働してつくりあげている。コロナ禍以後はじめて本来の規模での開催となった2023年は、新たな取組で多数の参加を獲得した。今後の継承と発展に向けて、あらためてのスタートとなった。ポストコロナのキャンパス活性化のキックオフを生み出した。

文学部創立百周年記念事業実行委員/文学部創立百周年記念事業

文学部創立百周年記念イベントを中心として、動画の制作、記念誌の発刊など一連の企画が実施された。コロナ禍での記念事業ということで、何度も企画を見直しながら、最終的にすべての成果をデジタル化して公開し続けることができる形で完了し、デジタルアーカイブとして現在も公開されている。100年を振り返り、継承していくためのモデルケースとして位置づけられる。

弁論HLAB、留学、日中学生会議、訪中団/弁論部HLAB留学、日中学生会議、訪中団

法政大学弁論部、オープンキャンパスリーダーズ、SAなど法政大学内でのさまざまな経験を踏まえて、日中友好会館主催の訪中団や、日中学生会議などに積極的に参加している行動力が頼もしい。自ら積極的に行動すれば活躍の場が広がっていくということを体現しているが、法政大学内での諸活動がその基礎を育んだことが心強い。

3付属校(含2協定校)生と大学生/法政大学起業家教育ブートキャンプ

アントレプレナーシップ教育について学ぶ大学生が、付属校、連携校の高校生32人を対象に、本格的な起業家教育のプログラムを実施した。教えることこそ最高の学びの機会になる。高大連携による実践は、高校生の学びとなるだけでなく、大学生にとって最高の学びの機会にもなったはずだ。

経営学部吉田健二ゼミ/法大生の誇りを可視化して伝える

オープンキャンパスのツアーガイドとしての経験を、ゼミで参加した産学連携プロジェクトで得たスキルを活用してデータ化、可視化し、その題材を活用して高校における総合学習の時間の講師をつとめ、法大生の誇りを伝えた。こういう学生の活動と成長は、教職員にとっても法政大学の誇りだ。

経営学部/留学生と日本人を繋ぐ起業家教育プログラム

世界各国で開催されてきたビジネスプランコンテスト「Startup Weekend」を、日本語課程の学生と英語課程の学生の混成チームで参加できる態勢で実施し、日本人学生と留学生をつなぎ、相互の学びを達成した。目的を複合して、かけ算で成果をあげる取り組みだ。その価値は何倍にも増している。

公益財団法人 地域育成財団/若者と地方で生まれる「北海道」での挑戦。

将来地方創生にたずさわろうという若者の学びを支援することを目的として創設された財団の第一期奨学生が、北海道で「大学生が実施した地方創生活動」の講演会を実施した。高校時代の離島留学の経験や、大学入学後の北海道各地でのフィールドワークが活かされた、若者の力を体現する取り組みだ。