法政大学には、学会などで受賞し、表彰された教員の方々が数多く在籍しています。
ここでは、広報誌「法政」(10月号)に掲載された2021年度に受賞・表彰された方々の受賞内容を全5回にわたってご紹介します。
1872(明治5)年の浜田地震は、日本の測器を用いた地震観測開始前に発生したM7.1 の地震です。地元住民への聞き取り調査による地震や被害の報告には、震源断層や地殻変動に関して不明な点も残っていました。本論文では、生物遺骸群集の分布高度と年代測定結果を詳細にまとめ、高精度な地形データを加えて検討することで、浜田地震の地殻変動に関して統一的な解釈を新たに提案しています。地形・地質学的データの精度向上を図りながら、歴史学的見地との総合的な解釈を進めた点が研究分野の模範として評価されました。
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本論文では「貧困の罠(低所得層は教育水準も低く、所得を増やしづらいという悪循環)」の存在する経済で、生産的資産へのインデックス型保険がもたらす貧困と社会保障費用への効果を数値シミュレーションを用いて分析しています。インデックス型保険は便益をもたらしますが、ベーシス・リスクが存在するため、貧困の罠に陥る危険性のある一部の層からは避けられやすくなります。保険料への公的補助を行う政策は、家計の保険需要を喚起し、経済全体の貧困と社会保障費用を抑制できる、有力な財政政策であることが明らかになりました。
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ゼミでは「身体文化」や「非言語コミュニケーション」をテーマに研究を進めています。ゼミ生が中心になってワークショッププログラムを企画・実践することで、学生たちの能力と創造力、チームワークを育んできました。
このたび、長年にわたる町田市内の小学校の学習支援や学生との交流活動に対して町田市教育委員会から「2021 年度町田市学校支援ボランティア感謝状」をいただきました。
これからも、より充実した内容を提供し、より豊かな交流につながることができるよう努めてまいります。
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人間中心設計とは、システムの利用に焦点を当て、インタラクティブシステムをより使いやすくしてユーザに満足感を与えることを目的とする、システムの設計と開発へのアプローチです。
受賞対象となった著作『JIS Z 8530:2021』は国際標準規格であるISO 9241-210: 2019 を国内情勢に合わせる形で翻訳した日本の産業標準化の規格です。
国家文書のひとつであるJIS規格の特性を考慮して、なるべく平易な表現にするために高校生も含めて可読性を検討したことなどが評価されました。
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本作品は、太平洋戦争末期に一人娘を餓死で失った、ある民間邦人女性の半生の足どりを辿った40分の記録映画です。2学年4年間にわたるゼミの共同研究の中で制作しました。多摩キャンパスにある戦没学徒兵の石碑と、故・阿利莫二元総長の体験記『ルソン島—死の谷』がきっかけとなりました。
大量の文献調査を踏まえ、フィリピン・ルソン島北部山岳地帯、長崎県佐世保、大阪、宮崎などを歩き、戦争末期を知る人たちへの質的調査を続けました。「戦争は弱いものに犠牲を強いる」。この当事者の語りの意味を、重層的な社会調査の手法で描いた点に、望外の高評価をいただきました。
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日本とイギリスの企業間の比較研究は、これまでにも双方の人事管理や労使関係の個性をとらえ、先進諸国の人事管理・労使関係(雇用システム)が互いに似かよったものになるか(「収しゅう斂れん」)を考えるうえで重要な事実発見を提供してきました。こうした研究蓄積をふまえ、本書では日英の百貨店でのフィールドワークから、日英の人事管理の体系が互いの個性を保っていることを明らかにしています。その基盤となる、賃金と仕事の配分ルールは「賃金と仕事をどう配分すべきか」という労使の公正観に支えられており、その変化が雇用システムの「収斂」と「多様性」の行方を左右すると考えています。
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今回の受賞は日本男子サッカー(サッカー、フットサル、ビーチサッカー)のトップカテゴリーでワールドカップ初の決勝進出を果たし、銀メダルを獲得したビーチサッカー日本代表チームの実績が評価されたものです。
新チーム発足と同時にメンタルコーチに就任し、2021年8月の「FIFAビーチサッカーワールドカップロシア2021」が閉幕するまで、日本代表チームの心理サポートを行いました。監督からの要望に応えて選手の競技力向上やメンタルヘルスの改善に取り組み、結果を残せたことをうれしく思っています。
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「日本型開発協力」の中核は、ODA によるインフラ建設と民間部門の直接投資(特に途上国での工場建設)の組み合わせで輸出工業化を支援したことにあり、イニシアティブが受入国側にあったことも特徴的です。
アジアの多くの途上国が、このアプローチを活用して輸出工業化を推進し、経済の自立と援助依存からの「卒業」を実現しました。
日本の開発協力の軌跡を追うと、戦後日本と国際社会との関わりが鮮明に浮かび上がります。その意味で本書は、戦後日本の肖像画を描く一作業ともいえるでしょう。
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※掲載は設置学部・学科順です。