2011年度

学生による地域活性化運動と世界農業遺産

2011年度
申請教員 テーマ
学生による地域活性化活動と世界農業遺産

1.目標

ゼミ活動の一環として2003年度から毎夏期休暇中に行っている各地の農村での援農合宿などから、地方ではいずれも少子高齢化のため伝統的行事や日常生活に支障を来していることを思い知らされた。昨年度採択された本学の「地域リーダー育成」助成金で取り組んだ石川県羽咋市菅池地区も、2006年当時ほぼ「限界集落」に近い状況であった。羽咋市役所と連携しながら続けた活性化活動が功を奏し、この5年間で2組の30代の家族が移住、さらにこの4月には1組の30代家族も加わって、「限界集落」から脱しつつある。しかし、将来を見据えた場合、地域住民の協力なしでは、持続的な地域活性化は困難と思われる。引き続き羽咋市近隣および都会の若者たちを菅池地区に呼び入れて共同で活性化に繋がるイベントを催し、彼らに現地の良さをアピールしてもらい一人でも多くの農業従事者の増員を図りたい。 一方、石川県輪島市も少子高齢化が進み、近年伝統的祭りである「輪島大祭」のキリコ奉燈が担ぎ手不足で出せない状況にある。ゼミでは2007年にユネスコの海外学生交流プログラムに採択されベトナムの三大学の学生たちと能登半島の伝統的夏祭りを体験したことが縁となって、それ以来、輪島市の要請を受けキリコの組み立て作業、市内練り歩き、キリコの分解・収納まで3日間に亘って参加し、輪島市の活性化に取り組んでいる。今年は、ゼミ生以外にも約20名の学生を募集する他、外国人留学生(本学)にも参加を呼びかけ、日本の伝統的祭りを通しての異文化体験や地域活性化への協力を依頼する。
また、石川県は昨年12月に羽咋市を含む8市町村からなる「能登の里山里海」を、「世界農業遺産」(国連食糧農業機関(FAO)が認定)に登録申請した。申請には、羽咋市菅池地区の「巨大ひな壇」と輪島市の「輪島大祭」が含まれており、その一端を担うことになった。認可されれば、強力な地域活性化に繋がると思われる。以上の企画を通して、各学生が将来グローバルな視野に立った社会のリーダーとなるよう経験を積ませたい。

2.内容・計画

菅池地区の地域活性化活動

6月:昨年同様に羽咋市役所、菅池町会、羽咋工業高校に担当のゼミ生からコンタクトを取り、今夏の援農合宿の際に準限界集落・菅池の活性化のためのイベント打ち合わせの段取りをつける。また、羽咋高校や金沢大学などにも、声を掛けて活性化支援の輪を一層広げる。
9月:菅池での夏期援農合宿(今年は、イネの刈り入れ時期に合わせて初旬に援農活動を行う)地元の大学生などにも呼びかけ共同の援農作業を実現させる。また、約1週間の援農合宿中に翌年2月に行われる 「巨大ひな壇作り」の打ち合わせを各関係者と行う。
10月:国際文化学部学部で毎年行われる学会(研究発表会)に向けて、本年取り組んだ成果のまとめ作業を行う。
12月:国際文化学部・学会で成果の報告
2月:初旬に現地の下見。下旬に棚田を利用した「巨大ひな壇作り」合宿(約1週間)を行い、各関係者たちと共同で完成させる。事前にパンフレットを作成し、市役所や「道の駅」、カフェなどに置かせてもらうと同時に、マスコミや市役所のホーム・ページでも宣伝してくれるよう依頼する。
3月:「活動報告書」作りに取り組む。
 

輪島大祭の活性化活動

5月:本学の国際交流センターにゼミ長と出向き、輪島大祭の文化的意味と祭りへの外国人留学生の参加募集の打診を行い、了解・協力を得られた。一方、ゼミに旅行代理店(JTB)の担当者を招いて、輪島市役所からの交通費補助金によるチャーター・バスの手配、民宿の手配および参加者の旅行傷害保険などについて打ち合わせた。
6月:石川県観光マイスターの藤平朝雄氏による「輪島大祭の歴史と伝統について」の参加者向け講演会を、現地到着後行うための依頼・打ち合わせ。
7月:輪島大祭参加者全員との事前打ち合わせ会
8月:輪島大祭参加(8/22~8/23)
9月:「輪島大祭」報告書作成・製本
12月:国際文化学部・学会で成果の報告

3.成果報告方法

  1. 本助成金による「報告書」作成・製本
  2. 本年12月の「国際文化学部・学会」での成果発表
  3. 翌年度の「日本地域活性化学会」への投稿

4.達成指標

  • 地元の高校・大学生などの菅池夏期援農合宿への参加者数
  • 菅池活性化のメイン・イベント「冬期・巨大ひな壇」の観客数および「巨大ひな壇作り」への地元参加者数
  • 「輪島大祭」プロジェクトへの学生および地元住民の参加者数