2011年度

長野県飯田市の鳥獣被害対策

2011年度
申請教員 テーマ
長野県飯田市の鳥獣被害対策

1.目標

西澤栄一郎ゼミナールでは、環境・農業問題をテーマとしたフィールドワークを行い、実態調査や政策提言などを通しての地域貢献を目指している。今年度は昨年度に続き長野県飯田市における鳥獣による農林業被害を取り上げる。同市の農林業被害は年間1億5千万円を超える。昨年度の経験を踏まえ、具体的な対策として、集落一体での防除体制の構築、防護柵設置管理ボランティアの導入などを提言し、行政機関と地域の人々に対してヒアリングや意見交換を重ねる。この活動を通じて、地域の問題を発見し、その解決に率先して取り組もうとする人材の育成につなげていく。

2.内容・計画

当ゼミでは、2001年から毎年夏にフィールドワークを行っている。2008年以降は継続的に飯田市を訪れている。2008年と2009年は飯田市の先進的な取り組みであるワーキングホリデー(都市住民が農家に宿泊して農作業を手伝う援農制度)と環境モデル都市行動計画(温室効果ガスの大幅削減計画)を取り上げた。各年ともゼミ生による提言を行い、報告書をまとめ、現地で報告会を開催した。フィールドワークと報告会は地元紙で紹介された。こうした活動の結果、卒業生の一部は地方自治体(都庁・各県庁・市役所)に就職するなど、地域づくりに携わっている。
昨年はシカを中心とする鳥獣被害を取りあげた。8月に2つの集落で聞き取りを行い、被害状況を地図にまとめた。また集落の農家および市内の全農家組合に対してアンケート調査を行った。これらに関係機関への聞き取りを含めた調査結果を報告書にまとめ、2月に飯田市で報告会を行った。地元の猟友会の役員の方からは、調査結果を利用するとの評価をいただいた。
今年も引き続き飯田市の鳥獣被害に取り組む。昨年の活動を踏まえ、集落全体で被害防止に取り組むことが重要と考え、集落での鳥獣対策の学習会などに参加し、農家の方々と意見交換を行う。その際に事前に調査した各地の対策について情報を提供する。また、防護柵の設置にボランティアを活用することを提案し、具体的な仕組みを地域の人々と検討する。

3.成果報告方法

10月末には経済学部環境ゼミ合同発表会、12月には成城大学および東京農業大学との合同発表会で報告する。年内に報告書を完成させ、後期試験終了後に飯田市で報告会を開催する。

4.達成指標

学生が地域に貢献するという経験とノウハウを得ることが地域リーダーの育成に重要であり、地域にどれだけ貢献できたかということが問われると考えている。しかし、それを数値化して指標とすることは困難なので、まずは現地での報告会における地元の人々(自治体の職員が主となるが)の評価を指標とする。