2010年度

多摩地域における資源活用・保全のサポーターづくり ―情報発信ツールの活用による地域活性化の試み―

2010年度
申請教員 テーマ
多摩地域における資源活用・保全のサポーターづくり
―情報発信ツールの活用による地域活性化の試み―

1.目標

本申請は、現代福祉学部の図司ゼミと人間環境学部の西城戸ゼミの教員の専門分野である地域経済学と環境社会学を相互に連携させ、広義の「地域資源」の活用と保全の両面をサポートするために不可欠な、地域住民と学生との協働の学びの場を構築し、継続的な活動につながる基盤づくりを試みる。そのカギとなるのが情報発信ツールの活用である。学生が資源活用・保全の実践に関わりながら、地域の実践者を取材し、モノ(物質)、コト(社会関係・組織)、ココロ(価値観)の側面から、現場の「生の動き」を理解し、情報発信を行うことで、緊張感と責任感を伴いながら、地域貢献、社会貢献役割を担う経験を蓄積することが期待できる。

2.内容・計画

学生が地域資源の活用・保全のサポーターとして活動できる基盤づくりを目指す本活動は、東京・多摩地域を中心に2つのプロジェクトを展開し、両ゼミの学生が相互参加する。第1プロジェクトでは、地場産業の観点から八王子市を中心にものづくりの現場に関わる。具体的には、地域情報のポータルサイトである「まいぷれ八王子市」の中で扱う特集コンテンツ「よっ!仕事人」(地元ならではの伝統工芸や、老舗、有名店について技術・職人にスポットを当て、取材しレポートするコンテンツ)をゼミ学生が担当し、学生自身がインタビュー調査を行い記事原稿の作成まで行うものである。図司が主担当となり、多摩地域のものづくり企業を支援する社団法人首都圏産業活性化協会(TAMA協会)と「まいぷれ」を運営する株式会社システムインテグレートと共同で活動を進める体制で内諾を得ている。第2プロジェクトでは、地域資源管理の観点から日野市を中心に用水路保全と都市農業に関連した実践に関わる。具体的には、地域のシンボルである用水路の維持管理をこれまで担ってきた用水組合や農家に対して、また都市農業や用水路の衰退・縮小に歯止めをかけるべく動き出す地元住民、行政、学校関係者にインタビュー調査や関係資料の収集を行い、歴史的変遷と現状をたどる映像によるアーカイブ(テキスト、画像)の構築を行うものである。実施にあたっては、西城戸が主担当となり、日野調査については2年間の蓄積がある。両プロジェクトともに、地域に埋没しがちな記憶を可視化しそれを次世代につなげる試みであり、2つのゼミの交流にとどまらず、継続的な活動自体が当該地域の資源にもなり、調査研究による社会貢献、地域貢献という側面も兼ね備えている。

3.成果報告方法

報告書(各プロジェクトの情報収集のコンテンツ内容と活動経過をまとめたもの)年度末に作成し、実施協力先と学生が関わった取材先にお届けしたいと考えている。加えて、第1プロジェクトについては、TAMA協会において実施しているものづくり留学(八王子市内のものづくり企業での長期インターンシップ)と併せた報告会を、第2プロジェクトも日野市役所で報告会を実施する予定である。

4.達成指標

本活動の成果指標としては、第1プロジェクトでは、学生が作成した記事の「まいぷれ八王子市」への掲載頻度が、また第2プロジェクトについては、アーカイブスとしてのテキスト、映像コンテンツのストック量が相当する。ただし、初年度はどちらも試行錯誤しながら進行手順を模索することになり、またその内容も時間を要して洗練されるべきものから、あくまで3年程度の長期プロジェクトとして想定する。