2020年度

11月

2020年度

11月30日(月)

HOSEI ONLINEで実施される松岡正剛さんとの対談準備のため、埼玉県東所沢の角川武蔵野ミュージアムに出かけた。ここは朝日教育会議に出てくださった松岡正剛さんが館長で、隈研吾さんが設計なさったミュージアムである。
建物は写真で見るよりはるかに迫力があり「石のかたまり」に見える。その前に真新しい神社が建っている。これがあることで、ご神体としての巨石、巨岩、という意味が出現している。

中に入ると「本棚劇場」と呼ばれている「本の森」がある。ここを散策するにはいくらかの「慣れ」が必要だ。たとえば江戸時代の場所に行くと、「あれがないこれがない」と観察してしまう。これは、網羅的に分野で分類した図書館の発想である。発想を転換しなければならない。どうするか? それは「私なら」と考えることだ。私なら、ここにはこの本とこの本を置いて、こういう場所にする、と想像する。それは「参照」ではなく「連想、想像という遊び」である。本で遊ぶことを、本の森は求めている。そして社会規範のなかに自分を合わせていくのではなく、常に「自分なら」という発想になることを求めている。

武蔵野を研究対象とした武蔵野回廊も非常に面白い。ミュージアムのなかに地域博物館が作られているのだ。松岡正剛、隈研吾をはじめ、赤坂憲雄や荒俣宏など、「人」が見えることも、公の図書館や博物館との違いである。ふつうは設置者の名前を冠した施設やいわゆる文学館でない限り人の顔は見えず、「国」か「県」か「市」か「大学」か、という機関の顔になりがちだ。個人がかかわって創られたということで、ここでも「私なら」の発想が湧いてくる。知らなかった興味深い本もいろいろみつかる。検索とネットで本を買うことの多い私にとって、「偶然の出会い」は、まさに本の森がもたらす恵みだ。

11月28日(土)

以前、ほかの高校でもおこなったように、田園調布学園高校の生徒さんたちに大学とはどういうところか、についてオンライン上で講演し、その後、数人の生徒さんたちとの対話をおこなった。「どうすれば少しでも自信がもてるようになるか」「女性としてどう生きたらよいか」など、私自身も真剣に答えたくなる質問ばかりであった。今回もたいへん充実した講演と座談会だった。

11月27日(金)

HOSEIミュージアムの催し物その他についての打ち合わせをおこなった。その後、東京都の「女性活躍推進大賞審査会」開催のための事前審査について、東京都から説明があった。さらにその後、大学基準協会の広報委員会を、座長として開催した。

11月26日(木)

『大學新聞』の取材があった。『大學新聞』は11月28日にオンラインでおこなわれる田園調布学園高校への講演と座談会を企画してくださったメディアである。本日のインタビューとその講演、座談会を組み合わせて記事にしてくださる。高校の先生方が読者であるので、多くの高校に本学の取り組みを知っていただきたい。
その後、日本経済新聞と寄稿についての打ち合わせがあった。日経新聞は、頻繁に声をかけてくださる。以前は本学のブランディング・プロセスの寄稿を依頼してくださった。今回は、コロナ禍における大学と将来展望についての依頼である。
さらにその後、日経新聞の別の打ち合わせがあった。「あすへの話題」という半年にわたる週連載についての打ち合わせである。1月から6月まで毎週火曜の連載が決まった。これで週一回の連載が毎日新聞とともに2紙になる。計画的に執筆しなくてはならない。
内部監査室からの報告のあと、正月2~3日に行われる箱根駅伝応援の動画撮影があった。今年は沿道での応援ができない。そこで、「テレビの前で一緒に応援しましょう」という呼びかけをした。
さらに「HOSEI2030推進本部」の打ち合わせの後、「SGU中間評価」のための収録をおこなった。これも例年は、評価者に直接お話しするのだが、今年はオンラインになるため、パワーポイント画像に説明をつけて、聞いていただくのである。

11月25日(水)

常務理事会、臨時理事会、理事会懇談会、危機対策本部会議をおこなった。さらにその後、総長・学内理事・後援会役員懇談会を開催した。夏以来の後援会の催し物は中止になったが、支部長会議とこの懇談会は、感染防止に十分注意を払い、食事もしない方法で、対面でおこなわれた。やはり、保護者の方々に、大学がとってきた対策と今後の展望を対面でしっかりお話しすることは、たいへん重要なことであったと思う。

11月24日(火)

日本私立大学連盟の理事会と、秋季総会が開催された。例年は京都でおこなわれる総会も、東京会場およびオンライン併用となった。

11月22日(日)

例年の、朝日新聞社主催「朝日教育会議」が本学のスカイホールで開催され、リモートでリアルタイム配信された(後日アーカイブを公開予定)。今回は編集工学研究所所長の松岡正剛氏と、建築家の隈研吾氏に来ていただき、「これからの大学 for ダイバーシティ~多読・会読・連読の場~」という題名でそれぞれの講演および鼎談をおこなった。コロナ禍で、世界中の大学がそのあり方を大きく変えるなか、大学の伝統的な学びのスタイルである「読む」ことによって言葉を深化させることこそが、これからの大学に必要な新たな学びを生み出す可能性があることを伝えたかった。「コロナ禍で発見した5つのこと」という題名で、私が基調講演をおこなった。「今まで対面で何をしていたか」を振り返ると、非常に多様な情報をやりとりしていたことがわかる。「言葉で何をやりとりしていたか」を振り返ると、やはり言葉の意味だけではなく、様々なニュアンスを伝えていたことがわかる。「大学にとって教室とは何だったのか?」「大学にとって時間とは何だったのか?」をそれぞれ話し、最後に「何が大切か」を提案した。松岡正剛氏と隈研吾氏は、「読むとは何か」を、それぞれの体験と考えで話してくださった。大学教育のなかで「読むとは何か」を、もっと追及すべきであったのに、ここに至るまで真剣には考えてこなかったのかも知れない。学問の世界でも「人がものを読む」プロセスについて、研究が進んでいないこと、おこなうべきであることが確認できた。学ぶ時間、学びを実現する空間のあり方についても、語り合った。コロナ禍であったからこそ、何が重要か考えることができたのだと思う。
この機会を、新たな展開に役立てたい。

11月20日(金)

学校長会議と、HOSEI2030運営会議を開催した。

11月19日(木)

12月初旬公開予定のHOSEI ONLINE総長対談をおこなった。今回は本学国際文化学部教授で作家の島田雅彦先生である。島田先生の小説についての私の考えは「総長から皆さんへ」の第15信(7月28日)に書いたので繰り返さない。この日は現在「東京新聞」に連載中の『パンとサーカス』の話や、作品が韓国でテレビドラマ化されること、今年上演する予定だったオペラの話など、いろいろ伺ってたいへん楽しかった。島田さんは「自由を生き抜く実践知」そのもののような人で、日本と世界に仕掛けられた権力構図を調べ尽くし、それを出し抜くダークネット的な動きを想定して物語化するのである。すなわち「抵抗の物語」を作る物語作家だ。ちなみに、『スノードロップ』に書かれた「ダークネット」はフィクションだと思っていたら、「エドワード・スノーデンがもう作っています」という。興味津々だ。
さらにその後、大学・付属校協議会、学部長会議を開催した。

11月18日(水)

常務理事会、予算編成委員会、危機対策本部会議を開催した。

11月17日(火)

本学卒業生の新谷裕子(にいや・ひろこ)様からご寄付をいただき、来年度から家計急変型の「新谷皇(にいや・ただし)奨学金」の運用を開始することになった。そこで、新谷皇奨学金の創設式を開催した。新谷皇様はご家庭の事情で若いころからご両親を経済的に支え、ご兄弟を大学に進学させ、たいへんなご苦労があったという。ご結婚後、働きながらご夫妻で本学の通信教育部にお入りになり、スクーリングで学び続けていらした。しかし皇様は50代で癌を患い、他界された。本学が大好きだったという皇様の意思を尊重し、裕子様がご寄付をしてくださったのである。この日は感謝状を読み上げ、お渡しした。胸に迫るものがあった。

その後、本学の「課外教養プログラム」の学生企画「江戸の循環型社会」の講演をおこなった。いくらかの対面による参加者と、オンライン送信と両方で実施。私からまず江戸時代の江戸の概要と循環の実際を話した。学生たちはそれを受けて「職人かるた」のクイズをおこなった。リサイクル、リメイクをする江戸時代の職人に、どういう人たちがいたか、というクイズである。さらに現代のペットボトルのリサイクルとその問題点について学生たちが発表し、議論をした。そしてグループに分かれて「日常生活でごみを減らすにはどうしたらよいか」を提案。なかなか思いつかないアイデアがたくさん出てきて感心した。1年生も参加していた。このような企画に参加できることを、とても喜んでいた。授業ができない私にとっても、コロナ禍で学生がどういう思いをいだき、何を求めているかを知る、とても良い機会だった。

11月16日(月)

外部企業の経営会議に参加した後、NHKとラジオ番組の打ち合わせをおこない、さらにその後、「自由を生き抜く実践知大賞」の打ち合わせをおこなった。今年は42件もの応募があった。関心をもってくださってたいへん嬉しい。全応募のなかからまず絞り込む。その最終選考に残った実践のなかから、私が授賞候補5点とその理由を文書で作り、それをもとに議論して「大賞」とそのほかの4賞を決める、という方法である。職員たちとの激論がすこぶる面白かった。所属部署の状況も伝わってくる。とても良い機会である。結果は当日のお楽しみに。

11月14日(土)

法政大学後援会の支部長懇談会が市ケ谷キャンパスで開催され、ご挨拶申し上げた。その後、編集工学研究所で編集工学研究所主催の社会人向け講座Hyper-Editing Platform[AIDA]の第2回に参加した。この日は環境問題研究者で『感染症の世界史』の著者でもある石弘之氏の講演と対談があった。

11月13日(金)

日本私立大学連盟の企画会議と、大学基準協会の常務理事会が開催された。

11月12日(木)

大分県杵築市長が来訪された。その後、大学評価委員会経営部会のインタビューがあった。さらにその後、男女共同参画タスクフォース会議、危機対策本部会議、情報セキュリティ委員会を開催した。

11月11日(水)

常務理事会、理事会、理事会懇談会、予算編成委員会を開催した。

11月10日(火)

日本私立大学連盟の常務理事会が開催された。その後、朝日新聞社で、大佛次郎賞選考会が開催された。今年も評価が割れた。熱い議論の末、なんとか決まった。

11月07日(土)

東京国際フォーラムで開催された東京都人権啓発センター主催のシンポジウム「人権教育・人権啓発の現状と未来」において、「自由を生き抜くために若者が人権を学ぶということ」という講演をおこなった。本学の大学憲章、それに基づく総長メッセージ、ダイバーシティ宣言、SDGsステイトメント、どれをとっても人権に深くかかわる。社会学部でおこなった複数の教員参加型の講義「社会を変えるための実践論」と、それを書籍にした『そろそろ「社会運動」の話をしよう』(明石書店)も話題にした。さまざまなところで、この本のことを聞かれるので、ぜひここでも紹介したかった。人権を、差別されている遠い他人の問題と捉えず、自分が自由を生き抜くために知っておくべきこと、と考えてほしいというメッセージとともに、とくに大学憲章について丁寧に話した。

今日は市ケ谷・小金井キャンパスで大学祭が対面でおこなわれている。本当は見に行きたかったが、お騒がせしてはいけない。総長室の秘書が見に行ってくれてLINEで報告してくれた。各教室に定員を明示し、換気、ビニール間仕切りの使用など感染症対策をしっかりしていたようだ。課外活動の発表という本来のありかたを取り戻したのではないか、という報告はたいへん嬉しかった。学生が元気になってくれるのがなによりである。保護者からも感謝の声が複数あったようだ。

11月05日(木)

日本私立大学連盟会長と複数の常務理事で、財務省と面会し意見交換した。その後、総長室に戻ってSMBC会報誌の連載打ち合わせをおこなった。

11月04日(水)

常務理事会、常務理事会懇談会、危機対策本部会議、役員ミーテイングを開催した。

11月03日(火)

10月下旬に刊行された『苦海・浄土・日本――石牟礼道子 もだえ神の精神』(集英社)について、熊本日日新聞の取材を受けた。石牟礼道子は熊本県水俣市の人である。

11月02日(月)

入学センターの企画で、千葉県立長生高校の生徒の皆様に1時間の講演をおこない、その後30分予定の対話を、時間超過しておこなった。やはり生徒との対話はいつも素晴らしい結果になる。私自身が、大学のありかたを深く考えるようになるからだ。今回もとても深い質問を投げかけてくれた。本学入学センターにご苦労をおかけしているが、とても良い企画をしてくださっている。

ところで今回は、初めてMeetを使った。Meetは、パワーポイント画面を出すと話者の顔が見えなくなる。そこで入学センター職員がパワーポイント画面を共有し、私は話だけをする、という組み合わせで両方の画像を入れた。この試行錯誤もリモートの新しい使用実験のひとつだった。

11月01日(日)

11月7日の午後に開催される「グリーンインフラ・ジャパン・ネットワーク全国大会」のために「水の江戸」という10分の講演をリモートで収録した。今までプロンプターでおこなっていた動画収録だが、リモートで相手先とつなぎ、自分のパソコン画面にノートを記したパワーポイントや、図版がない場合はプロンプター用の原稿を出しておいて、それを参照しながら、できるだけカメラに向かって話す、ということをおこなった。ホストがいたほうが、画面の質や声の入り方のチェックができる。今回も声が途切れた個所を話し直すなどして終えた。質はプロ用のカメラとプロンプター機にはかなわないはずだが、急ぎの時は使える。この数か月のあいだに、リモートの様々な使用実験をおこなっている。