2020年度

8月

2020年度

8月31日(月)

文科省・中央教育審議会質保証システム部会によるヒアリングに出席し、日本私立大学連盟の考え方を述べた。
その後、大学通信発行の「卓越する大学」の取材を受けた。いずれもWEB上である。

8月28日(金)

来年の3月から4月に予定されている、HOSEIミュージアム開設記念特別展示および、三大学(法政、明治、関西)シンポジウムの打ち合わせをWEBでおこなった。テーマは以前から計画していた「都市と大学」にしたいと思っている。大学創設期に地方から次々と東京に入ってきた青年たちにとって東京とは何であったか。また、中央線、東横線などが郊外へ延びることによって大学はどういう変化を遂げたのか。大学令によってはじめて「大学」となった1920年代から30年代にかけて、法政大学の学生は「法政ボーイ」と呼ばれ、裕福でのびのびとした学生たちだったようだ。日本の変化とともに大学と学生、教員の変化を見ていくと、興味がつきない。シンポジウムが楽しみだ。

その後、丸善創業150周年記念連続講演会・松岡正剛ソロトーク「千夜千冊の秘密」に参加した。これは10名のみ距離をとっての会場参加で、あとは1000名ほどがネットで参加した催し物である。「千夜千冊」は2000年にネット上で始まり、2004年に千冊が達成された。しかしその後も更新され続け、この日は1750夜になっていた。1750夜の本は、法政大学元教授、益田勝実の選集、筑摩書房の『益田勝実の仕事』全5巻であった。益田勝実は私が高校時代から読んでいた古代文学者で、学部在学中にも大学院在学中にも教授として在籍しておられた。忘れられない思い出をいくつも持っている。その一つが、この人によって学部一年生の時に、石牟礼道子の世界に引き込まれたことだ。

「千夜千冊」に戻ると、2006年に全7巻の大型本の集大成が求龍堂から刊行され、2018年には角川ソフィア文庫「千夜千冊エディション」シリーズの刊行がスタートして継続中である。自らのネット上の原稿を書籍として再編集している。「千夜千冊」は本についてのエッセイだが、「書評」ではない。自らと本との対話であり、松岡正剛を通してテーマの異なる膨大な本がつながっていく世界である。その魅力は、それを読む人々もまた、自分と本との対話や連携が可能だ、と感じさせてくれることだ。

松岡さんは二度の癌を患っておられる。肺癌である。新型コロナに感染すれば重篤になる。この日も松岡氏以外の全員がマスクをし、とにかく移さないことを考えていた。

8月27日(木)

集英社で、秋に出版される石牟礼道子論『苦海・浄土・日本―石牟礼道子 もだえ神の精神』刊行に際して、集英社の広報誌『青春と読書』で広報するため、薬剤師で疫学者、津田塾大学教授の三砂ちづるさんと対談した。三砂さんは晩年の石牟礼さんや、以前、HOSEIオンラインで対談した渡辺京二さんと親しかった。実り多い素晴らしい対談になった。著書の刊行に合わせ雑誌とサイトに掲載される。

その後、大学基準協会『じゅあ JUAA』のための座談会を開催した。筑波大学・広島大学・桜美林大学名誉教授の山本眞一氏が司会して下さり、関西学院大学の村田治学長、金沢大学の山崎光悦学長、そして私が座談会のメンバーとなって、 「新型コロナウイルス感染症対応から見えてきたこれからの大学」を論じた。​​​​​​​

8月26日(水)

予算編成委員会、危機対策本部会議を開催した。

8月25日(火)

14時より芝の明照会館にて、「全日本仏教会」主催のシンポジウム「仏教とSDGs 現代社会における仏教の平等性とは~女性の視点から考える~」が無観客、ネット配信で開催された。パネリストは、私のほかに元厚生労働省事務次官で現在は津田塾大学客員教授でもある村木厚子氏、日蓮宗の僧侶(尼僧)で兵庫県立大学名誉教授の岡田真水氏、進行は戸松義晴理事長だった。

仏教は、古代から女性たちにとっての避難場所になっていたが、江戸時代の檀家制度のなかで家制度に組み込まれ、戸籍を管理し葬儀を取りしきる役目となり、明治に入ると廃仏毀釈で衰微させられた。仏教は「山川草木悉皆成仏(すべての生命に仏性があり成仏できる)」が基本で、差別など起こりようもない。しかしながら、修行のために山に入れない、寺を継ぐのは今でもほとんどが男性、という世界である。私は、明治以降、仏教を「生き方」としてとらえた平塚らいてうの例を挙げ、日本の女性解放運動は仏教が契機になっていたことを話した。それぞれの話が全く異なり、たいへん興味深かった。「全日本仏教会」では当日の記録を配信する準備をしている。関心をもってくださったかたは、アクセスしてください。寺がもっと地域や人々に開放的になれば、多くの人の心が救われるはずである。