2019年度

11月

2019年度

11月30日(土)

終日、日韓連帯文学フォーラムが開催されるが、私は午前中しかいることができない。そこで今朝の挨拶は、法政大学出版局が10年かけて2008年に完結した「韓国の学術と文化」シリーズ全30巻の案内をした。このシリーズは若手を含めた韓国の研究者たちの書籍を日本語に翻訳したシリーズである。日本の政治学が専門である立教大学の五十嵐暁郎教授と、やはり日本文化が専門の私が中心となり、韓国関係の研究者から意見を聞き、韓国で候補となった著者たちに会って決めていったシリーズである。
その後、いくつかの講演を伺ったが、国際日本学インスティテュートの私のゼミで博士号を取得した鄭敬珍(ジョン・キョンジン)さんの、「日韓を越えることー1764年作<蒹葭(けんか)画集図の例から>」を聞くことができず残念だった。鄭さんは韓国の大学の研究所に専任教員の職が決まり、もうあまり長く日本にはいられないのだ。

午後は、朝日新聞社主催、法政大学共催の「朝日教育会議」が開催された。昨年のテーマは「アバター for ダイバーシティ」だったが、今年のテーマは「グローバリゼーションfor ダイバーシティ」である。本学のグローバル化のめざすところは、「多様性を認め合い、共存する道を探り続けること」である。そこでこの日は、「多様性はいかにして可能か」という話題に絞った。基調講演の私の演題は「歴史から見る多様なグローバリゼーション」とした。ひとつの国のなかで共存しているはずが、いつの間にか差別構造ができる。流動化と交流というグローバリゼーションの長所が、いつの間にか巨大なグローバル企業に巻き込まれて短所になる。それをどう克服すればよいのか、という問題提起だ。第二部では、元陸上選手としてアスリートと社会をつないでいる本学卒業生の為末大氏が「自分を知る」という演題で、多様性を実現するために「自由を生き抜く実践知」がいかに重要かを、話して下さった。

この3月まで本学の現代福祉学部教授だった社会活動家の湯浅誠氏は「令和がインクルージョンの時代になるワケ」という演題で、ダイバーシティの考え方である「みんなちがってみんないい」という考え方が若者に浸透した結果、「敬遠」「遠慮」「攻撃」という行動が表れていることを指摘し、異質な人とじかに関わる場の必要性とともにこれからは「インクルージョン」こそ必要であることを話して下さった。「インクルージョン」の訳語として「配慮」という言葉を提示なさった。配慮のいくつかの事例は、対話を中心にするもので、たいへん心に響くものだった。
第三部では、朝日新聞社の一色清氏がコーディネーターをつとめ、私とお二方の3人でパネルディスカッションをおこなったが、これが新しい発見ばかりで、じつに面白かった。格差が固定化された多様性ではなく、流動性が人と社会を活気づけるような多様性に向かうには、複数の人々と対話を続けること、その場がいくつも作られていくことである、と納得した。実際はさらに多くの発想の転換がとびかった。12月下旬に朝日新聞紙面に採録としてまとめられるので、ぜひ読んでいただきたい。
その後、法政大学陸上競技部創部100周年記念式典にかけつけ、お祝いを申し上げた。為末さんも参加して下さった。

11月29日(金)

HOSEIミュージアム開設準備委員会を開催した。その後、第1回「法政大学SDGsサティフィケート授与式」があった。法政大学SDGsサティフィケートの取得条件を満たした学生へサティフィケート(修了証)を授与する催しである。ここからSDGsサティフィケートがもっと広がるだろう。
さらにその後、国際日本学研究所主催の「日韓連帯文学フォーラム」の前夜祭に参加した。これは、昨今の日韓関係を懸念した本学の教員たちが中心となり、文学研究や作家たちの交流を思い起こし、さらに深めることを目的に開催したものである。他大学からも韓国文学や東アジア文化の研究者たちが集まって下さった。まず参加者に私から挨拶をした。江戸時代の朝鮮通信使のこと、終戦記念日のメッセージで書いたこと、関東大震災の際の朝鮮人虐殺についての追悼文を寄せたこと、「文学」で講義していた在日文学のこと、その時に取り上げた作家たちのこと、「のりこえねっと」の共同代表であることなど、しばらく遠ざかっていたが、次々と思い出し、お話しした。
その後、本学教員で作家の中沢けい教授の講演に続いて、茨城キリスト教大学の染谷智幸教授、青山学院大学の韓京子准教授、都留文科大学の加藤敦子教授、そして本学の小林ふみ子教授によるシンポジウムとなった。この4人は全員、近世文学つまり江戸時代の文学や芸能の専門家である。同時に東アジア全体や、中国、韓国の歴史、文学に詳しく、韓国の近世研究者たちとの広いネットワークをもっている。政府同士の問題で観光客は減ったが、実は江戸文学者たちのアジアへの関心は、韓国映画やドラマを含めてますます深まっており、韓国の人々の日本文化への関心は高いままである。日本の高校生のK-POP人気も少しも減ってはいないという。この状況は、私がアジアを視野に入れて江戸文学論を書き始めた1980年代とは格段の違いがある。日韓交流はこの30 年で驚くほど活発になっているのだ。今の状況は一時的である。諦めずに朝鮮半島に関心を持ち続けることが、とても大切だ。

11月28日(木)

HOSEI2030推進本部会議の 打ち合わせ会を開催した。
江戸東京研究センターの初代センター長であった、デザイン工学部の陣内秀信名誉教授が南イタリアのアマルフィ市から「偉大なる文化人」に贈られる称号「マジステル」を授与された。イタリア文化会館の理事をなさっている卒業生の櫻井芙紗子さんから、正式なパーティもあるらしいが、その前に小さな集まりを、とのお誘いがあり、櫻井さんと親しい本学能楽研究所の山中玲子所長とともに出席した。アマルフィの大聖堂で、マントを着てマジステルの称号を受ける儀式を、動画で拝見しながらアマルフィのワインを飲む、という素晴らしい時間だった。陣内先生はイタリア語とラテン語でスピーチをされていた。すごい!

11月27日(水)

常務理事会、理事会、理事会懇談会、常務理事会懇談会が続き、さらにその後、学生の保護者の組織である後援会の役員と常務理事をはじめとする大学役員たちとの懇談会に出席した。就職状況の変化、大学生活と就職活動とのバランス、大学院とはどういうところかなど、様々な話題で会話がはずんだ。

11月26日(火)

「週刊東洋経済」がインタビューにいらした。
その後、朝日新聞社の大佛次郎賞の審査会が学外で開催され、審査員として参加した。

11月25日(月)

毎年、礒ステファニー侑子氏が担当しているESOP(交換留学生受入れプログラム)の授業にゲスト出演している。英語で講義と議論をする授業だ。礒ステファニー侑子は沖縄の専門家で、国際日本学インスティテュートの私のゼミで修士、博士の学位をとり、今は白鴎大学の専任講師である。バイリンガルで、沖縄のハワイ移民「オキナワン」を中心に研究をすすめている。ESOPでも沖縄について講義している。私は毎年、16-19世紀の日本と沖縄の関係の歴史を講じ、同時に米軍基地の集中についてどう思うか、議論をする。この日は香港にも話題を広げた。アメリカ人、中国人、台湾人、韓国人がいる。沖縄の米軍基地についてはどこか遠い問題のように語っていたが、香港については皆が熱く語り始めた。どちらも一国の中で他とは異なる課題を抱えている。そして、そこに生きる人々にとっては「独立」という言葉も視野に入り得る地域なのだ。香港について考えることで、沖縄の問題にも近づいたようだった。

11月22日(金)

関西大学の保護者組織である関西大学教育後援会と、本学の保護者組織である法政大学後援会は、毎年どちらかの校舎で交流会を開催している。今年は本学で開催する番で、後援会からの要請で「法政大学のブランディング・プロセス」についてお話しし、その後、活発な質疑応答があった。
その後、「鈴木勝喜奨学金(給付型)」を作ってくださっている鈴木勝喜氏が会長を務める「株式会社プロシップ」の50周年記念のお祝いにかけつける。10分ほど役員の皆様にご挨拶申し上げる時間しかなかったが、IT企業が求めるこれからの能力とはどういうものか、留学生の日本における就職はいかにすれば拡大できるかなど、大事な話をかわすことができた。産業界組織との話し合いも必要だが、個々の企業との対話はもっと必要である。
さらにその後、大学基準協会で広報委員会を開催した。常務理事となり、広報委員会の委員長となったためである。誰に向けて広報するかを考えることは、これからの大学基準をどうするか、を考えていくことである。この日もその議論をおこなった。

11月21日(木)

大学・付属校協議会、学部長会議を開催した。その後、経営学部60周年記念事業について打ち合わせ。

11月20日(水)

常務理事会、常務理事会懇談会、HOSEI2030運営会議を開催した。

11月19日(火)

日本私立大学連盟の理事会、総会が京都で開催された。せっかく京都に行っても、いつも駅に隣接するホテルで会議に参加して帰るだけである。紅葉の京都を想像しながら、いつかは外に出られる日が来るのだろうか、と思う。会議には文科省官僚のかたも説明に来て下さった。英語外部試験延期後の対応や、記述式試験の議論になった。

11月17日(日)

徳島に宿泊した翌日、羽田から日本学術会議のビルに向かった。日本学術会議と全国ダイバーシティネットワーク組織が主催する学術フォーラム「学術の未来とジェンダー平等 ~大学・学協会の男女共同参画推進を目指して~」に登壇するためである。私の出番は、日本学術会議副会長で奈良女子大学副学長の三成美保教授のコーディネートのもと、津田塾大学学長の高橋裕子教授、東京外国語大学学長の林佳世子教授とともに、「女性学長が語る大学の未来 ~男女共同参画の視点から~」というシンポジウムであった。本学のダイバーシティ宣言や研修のことを話したのだが、シンポジウムの前に聞いた多くの事例発表に圧倒されていた。教員募集の際に女性限定募集をおこなったり、大学院修士課程の女性を顕彰して博士課程進学を促したりと、積極的な取り組みがさまざまおこなわれている。まだまだ本学は足りない。見習わなくてはならない。ちなみに、本学も全国ダイバーシティネットワーク組織の会員であり、私自身は日本学術会議の外部評価委員である。この催しものは、学術会議が山極壽一会長のもとで力を入れている「社会との対話」の一環で、内容も充実しており、高く評価したい試みであった。

11月16日(土)

「第27回法政大学全国卒業生の集い徳島大会」の日であった。昼頃、空路で徳島に入る。第一部では「阿波文化と江戸文化」という演題で、江戸時代の阿波藩の文化を語った。その後、箱に入れて運ぶ人形(でこ)による、「阿波木偶(でこ)箱まわし保存会」の中内正子さん、南公代さんなどが、三番叟まわし、えびすまわしを公演。これは本来、劇場でおこなうものではなく、門付け(かどづけ)芸である。門付けとは、正月に一軒一軒の家を回ってその家の一年の安寧を祈願することだ。これを予祝(よしゅく)という。文楽は東京でも見られるが、門付けの箱まわしはもう徳島でしか見られない。その後、『傾城阿波の鳴門(けいせいあわのなると)』『絵本太功記(えほんたいこうき)』『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)』の浄瑠璃三作の見せ場をはしょりながら超スピードで見せて下さったのも面白かった。この速度は一人遣いでしかできない。公演ののち、保存会を率いる辻本一英さんと対談。司会は、本学自主マスコミ講座出身のNHK徳島放送局アナウンサー、佐々木智一さんだ。門付けの取材をなさったことがあるという。

「阿波木偶箱まわし保存会」は徳島県の指定無形民俗文化財であり、2017年には「サントリー地域文化賞」を受賞している。このとき審査員として、国府町芝原にある保存会を訪問したのが私だった。辻本一英さんにじっくりとお話を聞くことができ、中内さん、南さんとも、この時におめにかかっている。2017年5月29日の総長日誌のエッセーに、その時のことを詳しく書いた。「箱まわしとは箱をまわすのではなく、人形をまわす(舞わす)のである」という書き出しで、つい長い文章になった。それだけ興味深く、心をゆさぶられたのである。

その後、蜂須賀連の阿波踊りの渦に巻き込まれ、終日地域文化にひたる素晴らしい大会だった。阿波踊りの三味線の伴奏は、ときにゆっくりと抒情的に奏でられる。私のゼミ生のひとりは高校生のときに不登校になって一時期徳島に暮らし、山の方から聞こえてくるこの三味線の音に心打たれ、三味線の世界に入った。それからは再び勉強する意欲が沸いたのだという。江戸ゼミに入った理由を、そんなふうに語ってくれたことを思い出していた。地域に根付いた文化は人を癒し、強くするのかも知れない。

11月15日(金)

学校長会議を開催した。
午後は、世田谷にある恵泉女学院高等学校で、生徒と保護者に、大学で学ぶ意義やこれからの社会で必要な能力などについて講演をおこなった。質疑応答の時間をとれなかったのが残念だった。

夜は、帝国ホテルでおこなわれた集英社四賞の贈賞式に参加。私の役目は今年の「開高健ノンフィクション賞」を受賞した濱野ちひろさんの『聖なるズー』を、壇上で講評することである。すでに「イミダス」のサイトのために対談したことを、総長日誌の10月15日に書いた。その対談は以下に掲載されている。関心のあるかたはぜひお読みいただきたい。本の刊行は11月26日だ。

11月14日(木)

部課長会を開催した。全学事務組織の部長と課長がスカイホールに集まり、多摩キャンパス、小金井キャンパス、付属校ともインターネットでつないだ。今回のテーマは「民法改正」である。改正民法(債権法)が2020年4月から施行される。そこで、本学の大学院法務研究科教授で弁護士の高須順一さんに、改正について話していただいた。この改正は民法の現代化つまり社会・経済情勢の変化に対応することと、再法典化つまり分かりやすい民法にすることを目的としているという。具体的には、より契約重視の民法になる。その実例を様々話していただき、大学が公正な姿勢を貫くために、多くを学んだ。
その後、校友会、後援会、後援会クラブ、教職員で構成する「法政スポーツコミュニティー(HSC)」の箱根駅伝応援実行委員会の皆様に感謝のメッセージをビデオ撮影した。
さらに、学生たちによる英字新聞The Hosei Herald のインタビューを受けた。
その後、学外の学識経験者で構成される「大学評価委員会経営部会」による、役員へのインタビューがおこなわれた。

11月13日(水)

常務理事会、理事会、予算編成委員会を開催した。

11月11日(月)

松岡正剛さんの紹介により、鎌倉にある写真家・十文字美信(じゅうもんじ・びしん)さんのギャラリーで加納節雄(かのう・せつお)さんと出会った。300点あまりを所有する江戸美術のコレクターである。私と同い年の加納さんの精神は、江戸に暮らしていた。ご自宅は壁いっぱいに江戸の屏風や掛け軸がインスタレーションされ、一作品替えると全て入れ替えるという。写真家のギャラリーで会ったのは訳がある。江戸時代の絵師である曾我蕭白(そが・しょうはく)、河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい)、円山応挙(まるやま・おうきょ)の作品などそれぞれが、十文字美信の写真と組み合わされ、別の作品となっていたのだ。兎を狙って細い枝に降り立った蕭白の鷹は、後ろを振り向いて仁王の残闕を見ている。発掘されたローマ彫刻のような仁王は鎌倉時代のもので、首も手足もなく、それでも筋肉の盛り上がった身体が強烈なエネルギーを発している。これは、一流の仏像写真家である十文字さんの写真である。鷹は仁王にまっすぐ対峙したがために、そのエネルギーを真っ向から受け、それまでとは異なる格別な存在と化していた。

紹介しているときりがない。曾我蕭白の「一休」「養蚕図」、河鍋暁斎の「鴉」など、ことごとく、江戸絵画が現代の写真との「取り合わせ」によって現代アートに変身しているのだ。江戸美術は絵画も浮世絵も、内に空白をもち、外に空間がはみ出す。ぎっしりとは描かず内側に空白をつくり、しかもシーンを途中で切断するので、見る者の想像力は見えないものを脳裏で補う。内の空白には音や静寂やリズムを聞き、外にはみ出した空間に、人は自ら「何か」を見る。私も江戸絵画のその特徴にずっと注目していたが、今までは「説明」するしかなかった。しかし説明ではなく、多くの人がその「何か」を実感する方法が、ここにはあるのかも知れない。そうだとすると、江戸文化の新たな発見の時代が始まっている。

11月10日(日)

明治学院大学横浜キャンパスで、今年も「しあわせの経済・国際フォーラム」が開催され、私も二つの催し物に参加した。このフォーラムは毎年開催されており、ヨーロッパやアジアの国々から多くの参加者があり、いくつもの分科会が作られていて、会場は学生も含めぎっしりだ。世界にネットワークをもつ辻信一さんのお力である。今年は午前中の座談会「地域文化の再生:江戸時代と先住民文化から学ぶ」で、沖縄・西表島の織物作家である石垣昭子さん、先住民についてノンフィクション映画を撮っている亭田歩さんと語り合った。午後は辻信一さん、高橋源一郎さん、山崎亮さんと4人で、「ローカル×あいだ×しあわせ」の座談会をおこなった。昨年もこの4人での語りで「雑」というテーマで座談し、実に面白かった。今年は「あいだ」というテーマで自由闊達に語り合った。私は「わたしとわたしのあいだ」というテーマで、個のなかの多様性について話した。高橋さんが『論語』や日本国憲法について読み込んだ話もたいへん面白かった。「読むとは、その対象に隙間を見つけて、自分がそこに入り込むこと」というイメージに共感した。「読む」ことについて、連日考えることになった。読むこと、書くことは単にその動作を意味するのではなく、その方法について考え続けることでもある。学生にもその思考に参加してほしいが、いまの私には本学学生にそうしたことを直接伝える場があまりに少ない。

11月09日(土)

本学の保護者会組織である後援会の支部長懇談会が開催され、冒頭で挨拶をさせていただいた。明日は支部長会議がおこなわれる。この2日間、全国36支部から支部長、副支部長が集まって下さった。首都圏の学生が多くなった今日、「自由の広場」であるキャンパスに多様な学生が集って対話することの大切さを共有していただいた。各地域に、法政大学のありようを、伝えていただきたい。

その後、例年開催している卒業生教員懇談会がおこなわれた。今年のテーマはSDGsである。私は「法政大学憲章とSDGs」という、本学のSDGsへの取り組みについての講演をおこない、その後、デザイン工学部の川久保俊准教授に「SDGs時代における人材育成」という話をしていただいた。川久保准教授は地域行政とSDGsを結ぶ先端に立っておられるかただ。川久保准教授の話は、たいへん好評だった。SDGsを教育現場で使うことで、学生たちがそれぞれ17の目標から自分なりの選択と組み合わせをおこない、社会と自らの行動や学びとの関わりを考えるようになる、という。学生が自ら考える場を作る上で、大事な方法のひとつになるのではないだろうか。

さらにその後、入学センターの菊池部長から入試について話していただいた。文科省が大学入学共通テストの英語民間試験の導入を延期し、同テストの記述式問題についても異議が出るなか、本学は従来の方法を変えずに例年どおりの入試をおこなう。今後も地に足をつけて、本学独自の方法で公平な入試を実施するつもりだ。

さらにその後、編集工学研究所の「イシス編集学校卒業式」にかけつけた。イシス編集学校は現代における民間の「読書と執筆の私塾」である。言葉だけでなく、アートや音楽への感性も試され、磨かれる。私も自身で学ぶ側に立って試しながら関わっているが、学びの方法を獲得する上で、大事な方法をいくつももっている。考える場というだけでなく、膨大な書籍を提示されながらすすむ塾である。

11月07日(木)

多摩キャンパスで学部長会議を開催した。

11月06日(水)

常務理事会と予算編成委員会を開催した。

11月05日(火)

日本私立大学連盟の常務理事会と企画会議がおこなわれた。大学入学共通テストの英語民間試験の導入延期は私立大学連盟にとっても大きな出来事で、今後も注意深く経過を見ていかねばならない。それも含め、今後4、5年のあいだに起こる大学と経済界の大きな変化を、調査・研究・分析して加盟校に伝えることが重要だという認識を共有した。

11月1日(金)

京都大学の山極壽一総長と、HOSEI ONLINEのための対談をおこなった。約90分にわたってあまりにも多くの話をしたので、その全貌をここに紹介することは困難だ。私からは、山極総長が「大学はジャングルだ」とさまざまな場所で書き、発言しておられることについて、とりわけ伺いたかった。まさに多様な猛獣、すなわち一筋縄ではいかない個性的な研究者や学生が様々な場所で様々なことをおこなっている、その多様性を述べた言葉であるとわかった。もうひとつは、大学は外に開かれているという点だ。山極総長は学生たちにとりわけ、外に向かってどんどん対話をしろ、と呼びかけておられる。大学の研究と教育への思いと姿勢は、総長ご自身のサル研究、チンパンジー研究、そしてゴリラ研究の経験がもとになっている。さらに、それらを実践してきたフィールド、そのフィールドに導いてくれた現地の人々との深いかかわりこそが、総長が「対話」の重要性を私たちに伝えたい、と熱く思うもとになっている。12月2日のHP公開を楽しみにしていただきたい。また、山極総長は総長就任後も多くの本を書き、対談をしておられる。著書も実に面白い。ぜひ教職員にも学生にも、読んでほしい。

その余韻にひたっている間もなく。この日は都庁、文科省、朝日新聞文化財団の方々と、次々と打ち合わせをおこなった。