2017年度

11月

2017年度

11月30日(木)

本学も共催団体となり、本学を会場に開催された、東京新聞・琉球新報主催の「東京・結・琉球フォーラム「知らない、知りたい沖縄」」の終了後のご挨拶ということで、両新聞関係者の方々が来校。沖縄フォーラムの完遂を互いに喜んだ。法政大学はもっと、沖縄の真実を伝える役割ができないだろうか。少子化衰微していくと言われる日本で、人口が増え、経済が活性化している沖縄は希望なのである。
学部長会議。その後、HOSEI2030推進本部会議打ち合わせ会もおこなわれる。

11月29日(水)

常務理事会、臨時理事会、理事会懇談会、総長学内理事と後援会役員の懇談会、と続く。ここでよく使う「懇談会」とは、正式な協議事項ではないものの、資料をとりそろえた説明をもとに議論をおこなう会合のことだ。

11月28日(火)

IBMのかたと、来年の天城学長会議についての話し合い。国公私立の学長が集うまれな会議である。
日本ファッション協会が組織する、働く女性を応援する会「うらら会」で、「自由を生き抜くダイバーシティ」という講演をおこなった。ダイバーシティという状態と「自由を生き抜く」行動とは、地と図の関係であり、互いが互いを支える。もちろんダイバーシティはグローバル化にも必須で、表裏の関係でなくてはならない。ダイバーシティの重要性をさらに強く認識した。

11月27日(月)

文科省で大学設置構想審査がおこなわれた。
出席できないオリンピックパラリンピック東京2020有識者懇談会について、事務局から説明を受けた。

夜は、いよいよESOP(法政大学交換留学生受入れプログラム)での講義だ。このプログラムでは、1997年から交換留学生を受け入れ、英語で日本についての講義をおこなっている。大学院で指導し、博士号を取得して今年春に卒業した礒ステファニー侑子さんは、いまこのESOPと白鴎大学で兼任講師をしている。テーマは沖縄である。私はゲスト出演。

ただし、沖縄について英語で講演をしたことがないので、原稿の英訳を礒さんに手伝ってもらい、図版を新たに作ったり構成して英語タイトルをつけたりなど、準備をしてきた。講演や講義の準備、原稿執筆、自分自身の研究・勉強などは休日におこなう。今回のこの準備もずいぶんと勉強になった。ESOPの学生たちは質問が活発で好奇心が旺盛。私自身が、講義をずいぶんと楽しんだ。英語授業がいずれもこのような活気を帯びるのであれば、教育効果が全体へ波及するだろう。

11月24日(金)

「大学評価インタビュー」、今日も続く。
本日、「自由を生き抜く実践知大賞」の候補を眺め渡し、皆でその基準等について話し合った。やはり、法政大学はすでに多くの実践知を実現している。

夜は、私が指導する学生の博士論文面接がおこなわれた。総長になる前から指導してきた学生たちは、順調にひとりひとり博士号を取得して巣立っていく。今日は韓国からの留学生だ。結果と評価は、人文科学研究科教授会で正式に通ったのちに書きたい。残すはあとひとり、ロシアからの留学生である。

11月22日(水)

いつものとおりの常務理事会の曜日だが、今日はさらに外部識者による「大学評価インタビュー」がおこなわれた。大学は常に外部のまなざしと価値観にさらされ、評価や批判を受け、省みながら是正し育てていくものだ。しばしば、大学についても自分自身についても、『論語』の三省を思い出す。「曾子曰く。われ日にわが身を三省す。人の為にはかりて(世話をして)忠(真心を尽くつこと)ならざるか。朋友と交わりて信(偽りがないこと)ならざるか。習はざる(自分がまだ充分に身につけていないこと)を伝えしかと」
運営会議、中期経営計画特設部会も開催される。

11月21日(火)

京都で私立大学連盟の理事会と総会。1日がかりの出張だ。

本日、岩波書店から松岡正剛さんとの対談『日本問答』が刊行された。互いの隙間の時間を使いながらの対談とリライトだったので数年かかったが、議論もされず解かれてもいない問いが、日本文化には山のようにあることがわかった。その森の中に分け入って、松岡さんの「編集的歴史観」と対話したのである。編集的歴史観は、歴史に対する複数の観点の行き来を可能にする。これからの世界にとって大事な方法がそのなかにある。

11月20日(月)

日経トップメッセージフォーラムが開催された。大学の学長・副学長によるフォーラムで、今年は「世界基準」がテーマだった。グローバル大学である本学を卒業した学生たちが、世界でどんな活躍をしているかを8分で話した。キーワードは、ダイバーシティ&インクルージョン、排除されている人々をサポートする、日本人的コミュニケーション能力を活かす、分野を超える、カラを破る――決してエリート主義ではない。むしろ個性的で能動的で未来的だ。ただし、紹介した卒業生は全員女性だった。
夜は朝日新聞社・大佛次郎賞の選考会があった。結果はまだ公表できないが、次点を引き離してほぼ満票。 これも女性作家。

11月19日(日)

久々のサンデーモーニング(TBS系)に出演。火曜日にラジオで対談した青木理さんとご一緒。その火曜の夜、青木さんは常連のお店で私の大学時代の友人、つまり本学の卒業生に会ったということだ。編集者だったその友人は、大学教員になったばかりの私に雑誌のコラムの連載を依頼してくれた。週刊誌と月刊誌の連載をもっていて、それが筑摩書房の目にとまり、『江戸の想像力』の出版につながったのである。思えば大学や大学院時代の友人たちに、ずいぶん助けられていたのだ。そんなことを思い出していた。不思議な縁だ。

11月18日(土)

卒業生教員懇談会が開催され、挨拶を兼ねて講演した。この日はキャリアデザイン学部の筒井美紀先生が卒業生教員とともにワークショプをやって下さった。テーマは、教員志望の学生が、できるだけ早く教員という仕事のハードルの高さを知るには、どうしたらよいか、というものだった。やはり現場での体験ということだが、長めのインターンシップを教育課程と現場にどう組み入れていくか、なかなか難しい問題だ。実は企業にもお願いしたいことなのだが。

11月17日(金)

学生の保護者組織である関西大学後援会と法政大学後援会は昔から親しく、合同研修会をおこなっている。本日は関西大学のみなさんが来校して下さった。大学そのものが協定を結んだばかりなので、いっそう話が盛り上がる。私は昼食会のみに出席し、研修の講演は廣瀬副学長がやって下さった。

都庁で東京都女性活躍推進大賞の審査会をおこなったあと、集英社の四賞贈賞式に出席。舞台上で開高健ノンフィクション賞の講評をおこなうためだ。畠山理仁(みちよし)氏の『黙殺』は、選挙における泡沫候補と言われた人々の生き様を書いたたいへん面白い本だ。ノンフィクション賞の贈賞はテーマゆえに重い雰囲気になりがちなのだが、今回は違った。私の講評の時にはマック赤坂さんが客席から突然立ち上がって笑いが起こり、受賞者挨拶は素晴らしいスピーチで爆笑に包まれた。しかし選挙における、メディアによる黙殺という問題は、民主主義の実現過程がいかにあるべきか、を考えさせられるわりと重い問題なのである。

この日、一緒に贈賞式をおこなった「すばる文学賞」を、本学社会学部出身の山岡ミヤさんが『光点』という作品で受賞した。山岡さんは金原瑞人先生のゼミに所属しながら、経済学部の藤沢周先生の指導も受けていたということで、開高健賞の審査員として出席なさっていた藤沢先生もたいへん喜んでおられた。金原先生も贈賞式に出席。ところでこの賞は、2003年に金原ひとみさんが受賞した賞である。14年前贈賞式パーティで金原先生をおみかけし、「どうしてここにいるの?」「いや、娘がね」という会話をしたのを思い出していた。山岡さん、おめでとうございます!

11月16日(木)

今年も、法政大学の英字新聞“THE HOSEI HERALD”の取材があった。グローバル化その他、さまざまな質問が出る。どういう出来上がりになるか楽しみだ。
そのあとは、定例の学部長会議。学内ではちかごろ会議時間の短縮が目標のひとつになっているが、なかなか縮まらない。

11月15日(水)

常務理事会と役員ミーティングのあと、副学長で常務理事、地方行政の専門家である廣瀬克哉先生と全国都市会館に行った。全国の市長が集まる市長会で、「日本の都市社会 過去・現在・未来」という講演をするためである。私が江戸時代を話し、廣瀬先生が明治につなげて現在と未来を語った。私に講演依頼があったのだが、本当は廣瀬先生の方が適任であることは明白だった。そこで一緒に行くことで、市長たちに廣瀬先生をいっそう知っていただくことにした。廣瀬先生が話し終えたとき、多くの市長が名刺交換に駆けつけていた。廣瀬先生は本学の誇る地方行政の専門家であり、そのうえ話がめっぽううまい。総長代行順位第1位、つまり副総長の立場の方である。法政大学のことも、教育のことも、日本のこれからのことも、講演していただくのにふさわしいということを、多くの方に知っていただきたい。

11月14日(火)

今年も大学へのご支援(募金)お願いの動画を作った。寄付者のお名前を冠した冠奨学金が増えてきている。ありがたいことだ。寄付とは参加である。一緒に作り上げていくことだ。それを実感していただくには、ご寄付がどのように役立っているか、もっとお知らせしなければならない、と思う。

本学卒業生である鈴木直道夕張市長と、念願のHOSEI ONLINE対談をおこなった。とりわけ関心があったのは、今年の4月から、政策を大転換したことだった。そこで、その話から聞かせていただいた。詳しくはウェブ掲載時に読んでいただきたいが、ちょっとだけ紹介すると、財政政策(つまり債務返済)だけでは、地域が衰退する一方であった。そこで財政政策とともに地域再生とくに子供たちの教育に投資を始めたのである。ゆうばり小学校、夕張中学校、夕張高校の3校一貫教育で、グローバル人材を育てる教育である。北海道内で初めての試みだ。道立の夕張高校を魅力ある高校にすることで、子供たちや若者が夕張に誇りを持つことが目標だという。夕張高校では、夕張市の課題そのものに向き合い、ひとつひとつの課題に高校生自身が知恵を絞る教育を始めた。まさに「実践知教育」のモデルである。注目していきたい。

ラジオJ-WAVEの「JAM THE WORLD」に生出演した。サンデーモーニングでときどきご一緒する、ジャーナリスト青木理(おさむ)さんの番組ゲストである。大学についても話題にして下さったが、もうひとつのテーマは「夫婦別姓は日本の伝統」という、以前新聞に書いたコラムについてだった。夫婦別姓であった日本では、明治時代になると、ヨーロッパに倣って夫婦同姓を義務付けた。当時、「それは日本の伝統に反する」という反対があったそうだ。そして今度はやはり「日本の伝統に反する」という理由で、選択的夫婦別姓の法案が通らない。なぜ?という話題である。この問題、もっと議論できると面白い。青木さんと話をするのは楽しい。呼んで下さってありがとう。

11月12日(日)

明治学院大学でおこなわれた「しあわせの経済」世界フォーラムの一環である「雑×ローカル×しあわせ」の座談会に登壇した。辻信一さん、高橋源一郎さん、山崎亮さんと、実に面白い座談ができた。

このフォーラムは10日から12日まで開催された。日本各地からはもちろん、イギリス、インド、タイ、韓国、中国、ブータン、メキシコ、エクアドル、イラクから様々な方が、このフォーラムに集まった。主張を一言で言えば、ローカリゼーションによるニュー・エコノミーである。私の言葉で言えば「経世済民」つまり、「経済とは人々が救われるためのマネジメント」だ。すなわち「しあわせの経済」ということになる。11日は、私も自分の本で取り上げている英国在住のインド人サティシュ・クマールさんやヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんもスピーチしたが、あいにく校務のため聞くことができなかった。ヘレナさんと辻信一さんが日本大会実行委員会の代表である。

私はようやく3日目に座談会に参加できたわけだが、明治学院大学で辻さんと高橋さんがおこなっている「雑の研究」が面白い。これに刺激され、私は江戸時代の雑、つまり正統や秩序や規制からはずれて活き活きと新たな創造をしてしまうその様子をあれこれ、画像をお見せしながら話した。山崎さんは、地方の空き家活用を、地域の高齢者たちがデザイナーの思惑の埒外でどんどん進めてしまう様子を写真入りで話して下さって、これも面白かった。上から外から命じられておこなうことは能率も質も上がらない。組織や教育には何が必要なのか、改めて理解できたのである。

11月11日(土)

本学学生の保護者組織である後援会の支部長会議が開かれた後、後援会70周年記念式典がおこなわれ、挨拶した。空襲で破壊された戦後の大学を、さまざまな面で一緒に再建して下さった後援会が70周年を迎えるのは、感慨深い。皆さんが、プライベートでは懸命に働きながら、後援会にも真剣に携わって下さったその思いに、大学は応えていかねばならない。

11月10日(金)

筑波大学東京キャンパスで、「大学マネジメント改革総合大会」が開催された。私はHOSEI2030、グローバル化、ダイバーシティと、盛りだくさんのテーマで講演。午後、プレゼンテーションに出かけた職員によると、たいへん好評だったようで、ほっとする。大学に戻って、ベトナムにおける日本語スピーチコンテストへの挨拶DVDを収録。夜は、明治学院大学を会場にした「しあわせの経済」世界フォーラムのレセプションに出る。

11月9日(木)

HOSEI2030運営委員会、そして本日も予算編成委員会がおこなわれた。

11月8日(水)

常務理事会、理事会、予算編成委員会がおこなわれた。

11月7日(火)

スカイホールで、法政中高PTAキャンパスツアーの講演会があり、講演と対談をおこなった。付属校には大学のことを伝えなくてよい、ということにはならない。保護者に知っていただくことは、積極的な入学だけでなく、その後の生徒の学び方にも力になるからだ。午後は私大連の会議。

11月6日(月)

日帰りで松阪市へ出張。三重県高等学校国語教育研究会における講演と対談のためである。江戸時代はグローバリゼーションの波の中にありながら、あしもとをみつめて自ら産業を開発していったことと、現代はなぜ教育機関のグローバル化が必要なのかを結びつけてお話し、熱心に聞いて下さった。しかしやはり、地方の国立大学志向は強いようだ。

11月2日(木)

学外で社外取締役の役員会議に出た後、日経BPの座談会に出席した。テーマは「東京」である。久々に本学卒業生でもある為末大さんにおめにかかった。大学憲章「自由を生き抜く実践知」のDVD撮影にご協力下さった直後だった。「やりやすかったです」と。そのはず。為末さんは自由を生き抜く実践知の代表的モデルなのである。造園家の涌井史郎さんとも久しぶりだった。サンデーモーニングだけでなく様々なところでご一緒してきた。江戸東京についての観点がいつも面白い。初対面は、東京地下鉄代表の山村明義さんと、星野リゾート代表の星野佳路さん。星野さんの、「東京集中してもまったくかまわない」発言は衝撃だったが、確かに一度そう考えてみることも必要かも知れない。

夜になって文科省へ。台風で流れた会議の実施のためである。
明日からは、たまった原稿を書き、たまった講演準備をする週末になる。

11月1日(水)

常務理事会と予算編成委員会。予算編成の季節がやってききた。この時期は、予算編成書類の検討も必要で、いくら時間があっても足りない。