2015年度

5月

2015年度

5月31日(日)

4月から出演を再開したTBS「サンデーモーニング」出演日でした。HOSEI ONLINEに登場していただいた姜尚中さんと一緒になりました。初めておめにかかった鎌田實さんは医師として何度もイラクに入り、難民の医療にあたっています。
このようなニュース番組では、安保法制の国会審議の経過、原発、イスラム国の現状について、解説だけではなく多様な価値観から述べられるさまざまなコメントを聞くことができます。学生の皆さんが社会について自力で考えるために非常に役に立つはずです。コメントに同意しようと反対であろうと、どちらでもいいのです。自分がもしその場にいて何か話さねばならないとしたら、何を話すのか、そう考えながら見ることで、きっと考える力がつきますよ。

5月30日(土)

東京都校友会の集い(東京法政まつり)が品川で開催されました。この日、あることに気づきました。校友会は全国、全世界にありますが、その役割のひとつは、開催地の価値や面白さを校友や大学関係者に広く知らせることなのですね。交流の意味は、交流する人々の情報交換と友情を深めることだけでなく、交流する「場」を共有し、その場の価値を身にしみて帰路につくことだと思います。それぞれがその場所を記憶にとどめることで、集いに参加すればするほど、多くの地域を体感し、知ることになります。
東京都校友会は区、市におおまかに分かれています。この日は品川区が担当でした。品川区長の濱野健氏の素敵なご挨拶と、元品川歴史館副館長でいらした、品川区の統括学芸員、柘植信行氏による講演「鎌倉時代に品川宿があった!」によって、私は品川区にいっそう興味を持ちました。海に接した街道と宿場をもつ品川。そこを通るさまざまな「道」が歴史を語っていました。
ぜひ校友会の皆様は地域に誇りをもち、その開催場所の良さを、これからも皆さんに伝えて下さい。
法政大学マンドリンクラブの、心の琴線に触れる音も初めて聞くことができました。
池田隆後援会会長は、今日が最後の公の席でのご挨拶でした。長いあいだ、後援会をすべての場に結びつけて下さったご尽力に、感謝いたします。

5月29日(金)

乗代(のりしろ)雄介氏(ペン・ネーム)が『十七八より』という作品で『群像』(講談社)新人賞をとりました。本学社会学部メディア社会学科の出身です。大学にとっても大変嬉しい知らせです。
私は在学中の彼を知っていましたが、彼の文体はすでにそのころにはほぼ出来上がっていて、頭脳を含めた存在の芯のところに、しっかり位置を占めていました。幾人かの評者が「気取り」とか「ペダンティック」とか「凝った文章」と評しているのは、当たっていません。文体は心身の成長とともに作られてくるのであって、特にこれだけの文体は一時的、意図的に作ることはできないのです。たぶん彼は、言葉に対して自分を開き、和紙が水を吸い込むように豊穣な言葉と文章で自己形成をしたのだと思います。
彼が書いているものは語源どおりの意味の「小説」で、17,18歳ぐらいの少女の、とくだん事件が起こるわけでもない日常です。しかし文体というものがそれをつかまえるとどうなるか。ひとつの存在が「意味づけ」されないままリアルに立ち上がる。それを実現するのが「文体」というものだと、読んで下さればわかると思います。いわゆるストーリーや因果関係や解説とは異なる文章の価値は、長らく忘れられていたような気がします。

5月22日(金)

宮城県校友会の総会出席のため仙台にいました。16日の日誌でお伝えしたように、昨年の就任以来私は校友会の皆さんに「講演会やシンポジウムや地元メディアを通じて可能な限り法政大学のメッセージを地元の市民の皆さんに伝えたい」とお願いしてきましたが、宮城県校友会も尽力して下さいました。
しかも、私が会いたかったかたと対談でき、とても充実した一日でした。そのかたとは宮城学院女子大学の学長、平川新(ひらかわ・あらた)さんです。法政大学の文学部史学科の卒業生で、東北大学の教授でした。

5月21日(木)

筑波大学付属駒場中学校の生徒たちが、「江戸切子」について聞きに来られました。インタビューの申し込みからまとめ、発表まで、すべて自分たちでおこなっています。フィールドワークによる自主的な学びが実行されているのですね。 
HOSEI ONLINEは、国際的に活躍する女性との対談が続いています。今日はミサコ・ロックスこと高嶋美沙子さんとおめにかかりました。ニューヨーク在住ですが、私がTBSでラジオ収録しているときにマネージャーさんがスタジオを訪れ、来日することを教えて下さいました。
高校生のときから留学をめざし、派遣留学制度が充実している法政大学に入って留学。卒業後は単身ニューヨークで働きながら漫画家になったかたです。 今やその作品はニューヨーク公立図書館が選ぶベスト・ティーンズ・ブックリストの一冊です。全米各地の小中高校大学、美術館などで講演会やワークショップを開き、アメリカの子供たち若者たちに大きな影響を与えています。ダイアナ・コー先生(現在、グローバル教養学部長)のおかげで英語に自信をもつことができたと、とても感謝しておられました。

5月19日(火)

「NHKラジオ深夜便・落語100選」「名人芸を味わう」の収録がありました。今日は三代目・三遊亭金馬さんの「居酒屋」と「堪忍袋」を、四代目・三遊亭金馬さんと語り合いました。というより金馬さんの独演会!さすが、噺家さんは面白いです。5月28日の深夜午前1時(5月29日)と6月11日の深夜午前1時(6月12日)に放送されます。

5月16日(土)

前夜、法政大学財界人倶楽部での挨拶を終えて新幹線に飛び乗り、夜中の12時近くに岡山に着きました。校友会の中国四国ブロック総会です。午後から法政大学公開講座2015として、講演と「近未来の教育を展望する」と題するシンポジウムが開催されました。昨年来、校友会の皆さんには、講演会やシンポジウムや地元メディアを通じて、可能な限り法政大学のメッセージを地元の市民の皆さんに伝えたいとお願いしてきました。今年は早速、それを実現して下さったのです。
講演では、大学で今すすめているグローバル化や長期ビジョンに加えて、江戸時代のグローバリゼーションに日本人は、独自の技術育成で対応したことをお話ししました。
シンポジウムは、じつに興味深い充実した時間でした。教育県として知られた岡山県が、その内実を失ってきた厳しい現実を、まず明らかにすることから始まりました。「能力とは何か」「教えるとは、育てるとは、どういうことか」を、根本的に考えさせられる、素晴らしいシンポジウムになりました。
医学博士で岡山大学名誉教授、現くらしき作陽大学子ども教育学部長の高橋香代先生の、現実としっかり向き合う姿勢に感銘を受けました。両備ホールディング社長で岡山県経済同友会代表幹事の松田久さんからは、ときめくような教育がどういうものか、自由で革新的な展望を受け取りました。コーディネイターの西さんは、見事なコーディネイトでした。
岡山の文化レベルの高さを満喫しながら、多くのことを学ぶ一日でした。

5月15日(金)

HOSEI ONLINEの収録の日でした。今日のゲストは、経済学部出身の井原慶子さん。世界最速の女性ドライバーです。耐久レースの世界最高峰「WEC世界耐久選手権」に参戦した初めての日本人で初めての女性です。いや、それだけではとても伝えきれないので、HPでご覧下さい。お話があまりに面白いので、そのあと、会う人ごとに井原さんの話をしています。世界一のレーサーとは思えない柔らかい女性らしいかたで、ピンクのワンピースがとても似合っていました。学生時代はモデルをなさっていたそうです。

5月13日(水)

10年後の法政大学の姿を描いたスーパーグローバル大学創成支援の申請が終わった時から、「HOSEI 2030」という長期ビジョンを策定しています。この大きな変化の時代に大切なのは理想を失わず、目標をもって改革することだからです。
複数の委員会を立ち上げ、2030年の法政大学のビジョンを、いくつもの具体的な側面で描いています。今日は、その中間報告の日でした。
あらかじめ中間報告文書を配信し、18時から市ケ谷キャンパスのボアソナード・タワー26階スカイホールで開催しました。映像で同時に多摩キャンパス、小金井キャンパス、3付属校に配信し、各委員会の座長から丁寧な報告をしていただいた後に、それぞれの会場から質問を受け付けました。
一年近い委員会の活動は、膨大なデータ整理、各部署や卒業生へのヒアリング、アンケート、ワークショップの連続でした。そのようにして現状をしっかり把握することが出発点です。さらに、「大学憲章」「ミッション」「ビジョン」も提案しました。これから広くご意見をいただき、来年3月の最終報告書の完成をめざします。

5月1日(金)

HOSEI ONLINEの対談をおこないました。今日は、1999年から2期8年、国立市長を務められた上原公子(うえはら・ひろこ)さんでした。法政大学文学部史学科の学部と大学院で学ばれました。現在、大学の評議員も務めて下さっています。
私とほぼ同じ時期に大学にいましたので、1969年、70年の独特の空気をよくご存じで、話が盛り上がりました。学部生と言えども、ベトナム戦争や三里塚やその他様々な社会問題について何らかの意見を求められ、バリケードの外にいるか中に入るか決断を迫られる時代でした。
その経験は、上原さんが生活者ネットワークの代表になり、ついに東京都で初めての女性市長になるなど、リーダーシップをもったフロントランナーとして歩んできた歴史につながります。
一方で、私と同じように伝統工芸や文化をいとおしく思い、職人さんたちと親しくしながら、着物で登場することが多い方です。HP掲載をお楽しみに。『しなやかな闘い』(樹心社)というご著書でも、その姿を知ることができます。