本学は、法政大学憲章の精神を踏まえ、ミッションに掲げる研究推進の使命を達成するために、国内外の多様な主体との研究活動・研究交流を促進する。本学が学外機関等と研究活動・研究交流を進めるにあたっての本学の基本姿勢を明確にするため、以下の指針を制定する。
*1 ここでいう軍事研究とは、武器・防衛装備品の開発、またはそれへの転用を目的とした研究を指し、政治学、平和学等における戦争や軍事を対象にした研究までを含むものではない。
防衛省による競争的資金制度である「安全保障技術研究推進制度」への応募は、当分の間認めないこととする。なお、以下に該当する案件が発生した場合は、事前に研究開発センターにご相談願いたい。
本学教職員から上記に該当する申し出を受けた場合は、応募の可否等について常務理事会にて判断することとする。
本学は、個々人の学問の自由を守ることを重要視しており、これからもそれを徹底します。しかしながら、そこに所属する研究者の自由を、世界中に生きる市民の命や人権や環境に優先させる考えは持ち合わせておりません。
本学は大学憲章で、「自由を生き抜く実践知」の育成を約束しています。この「自由」とは、全世界の人々の自由を意味しています。一方が他方の自由を奪うことで自らの自由を保持しようとする態度に与さず、多くの人々がそれぞれの立場で自由を生き抜くことのできる世界の創造への貢献をめざしています。
憲章の精神にのっとって教育研究をおこなうのが本学教員の使命であることを、この指針の策定過程で確認し、合意に至りました。
本来、高等教育の質を高めるために必要な予算は公的に保障されるべきところ、大学に対する国の補助金は削減され、とりわけ私立大学あるいは理工系の研究環境は、到底十分とは言えません。研究当事者のみならず、研究開発を支える大学も、当然のことながら潤沢な研究費を渇望しています。
しかし本学の教育・研究の目的は何か。社会と世界に対してとるべき大学としての責任は何か。そこから考えたとき、人命の収奪と人権の抑圧をもたらす道具やその稼働システム、および、人命の収奪と人権抑圧の最たるかたちである戦争を目的とした武器等の研究・開発は、本学が使命とする持続可能な地球社会の構築の対極にあり、これに関与するのは、本学の存立基盤をゆるがすことになります。
本指針は、そのような考えによって、策定されたものです。私立大学それぞれの精神を大切にし、その多様性のなかで我が国の教育・研究がおこなわれますことを、願っております。