2011年度

Vol.34 ボアソナード・梅謙次郎没後100年記念展覧会 出展資料 ボアソナード教頭時代の卒業証と堀正寿の講義筆記ノート

2012年01月26日

2011年度

本学創立130周年を迎えた2010年は、ボアソナード、梅謙次郎の没後100年にあたります。この機会に本学では、記念式典やシンポジウムをはじめとする記念行事を催し、その一環として、ボアソナードと梅が初期の本学に果たした役割を振り返る記念展覧会を外濠校舎で開催しました。
6階展示スペースには、ボアソナード、梅それぞれに関係する重要資料がケースとパネルで展示され、7階には歴史的な校舎の写真とそれぞれの時代の本学キャンパスの様子を記録した写真のほか、学生の課外活動が盛んになる大正から昭和初期にかけてのスポーツや文化系の部活動風景をおさめた写真が展示されました。

梅謙次郎(中村勝治郎作:本学所蔵)(左)、ボアソナード(右)

梅謙次郎(中村勝治郎作:本学所蔵)(左)、ボアソナード(右)

展示内容をみると、ボアソナード関係では、彼が教頭を務めた東京法学校、和仏法律学校の卒業証(写真=ボアソナードの署名を見ることができる)、当時の学生によるボアソナードの講義筆記ノート、拷問の廃止に関する大木喬任司法卿宛書簡や『ボアソナード答問録』など本学所蔵の貴重資料のほか、学外の貴重な資料も展示されました。その一つが、明治政府が法律顧問として雇い入れたボアソナードと交わした「雇用契約書(1873年6月24日付:国立公文書館蔵)」(写し)です。ボアソナードの〝お雇い外国人〟の側面からの資料としてぜひ見ておきたいものです。

東京法学校(1887年)の卒業証

東京法学校(1887年)の卒業証

和仏法律学校(1892年)の卒業証。左は和仏法律学校卒業証のボアソナード署名部分の拡大

和仏法律学校(1892年)の卒業証。左は和仏法律学校卒業証のボアソナード署名部分の拡大

さらに、本展覧会の目玉ともいうべき学外資料が、和仏法律学校の学生で和歌山県出身の堀正寿が残したボアソナードの講義筆記ノート(写真)と日記です。これらは堀家から和歌山県立文書館に寄託された「堀家文書」に含まれ、一般に公開されるのは本展覧会が初となりました。新聞紙の表紙をつけた講義筆記ノートには、「民法原理」の講義内容が細かな筆文字でびっしりと記されています。また、日記には当時の授業時間割が見られるなど、法政大学史を研究する上でも価値の高い資料です。

梅謙次郎関係では、梅の仏・独留学中の筆記ノート、和仏法律学校総理時代の卒業証、清国留学生速成科卒業写真、『民法要義』などの著作、遺墨、葉書、書簡など多数の貴重資料が展示されました。これまで未調査だった梅関係の資料の中からは、「松方財政」で知られる松方正義からの書簡が見つかっており、こうした新発見の資料の展示も期待されます。

堀正寿のボアソナード「民法原理」講義筆記ノートの表紙。下は中ページ(和歌山県立文書館寄託史料「堀家文書」より)

堀正寿のボアソナード「民法原理」講義筆記ノートの表紙。下は中ページ(和歌山県立文書館寄託史料「堀家文書」より)

取材協力:人間環境学部 根崎光男教授 

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