2022年度第18回デジタルコンテンツ・コンテスト

インタラクティブ部門・準優秀賞 生命の儚さと力強さ

2022年度第18回デジタルコンテンツ・コンテスト
氏名  研究科・学部  専攻・学科  学年 
齋藤 未空  デザイン工学部  システムデザイン学科

3

  • 使用ソフト
    TouchDesigner
  • 開発・制作・動作環境等
    Windows10

作品要旨

この世に生まれてくる以前の生命は非常に不安定かつ神秘的で、手が届きそうで届かない不思議なものを感じる。そんな生命の魅惑的なイメージを具現化し、どこか危うげで壊れてしまいそうな脆さも同時に表現した。

作品解説

これは生命をイメージした模式図のようなもので、中央にある淡い青色の物体が生命の核であり、周囲に張り巡らされている網が保護膜のような存在を表している。
核の動きはドクドクと動く鼓動の動きをイメージし、それを守る保護膜はとても薄く簡単に壊れてしまいそうな雰囲気を醸し出している。周辺でランダムにギラめく青い稲妻は、生命を脅かす存在であり、この表現を通しても生命の不安定さや簡単に壊れてしまいそうな脆いイメージに繋げている。
今回含ませたインタラクティブな機能は、LEAPmotion上で手を握ることで、この核が膨張すると同時に保護膜が収縮して生命と膜が接し(同じ大きさになり)、その際に多数のパーティクルが弾け飛ぶというものだ。パーティクルは元々核に封じ込められていたが、手をつかむ動作で膨張し保護膜に押し込まれたことで内部から飛び出すというイメージである。まるで手で一つの命を掴んだような感覚を与え、掴まれてもなお依然として薄い膜が生命を守り続ける様とパーティクルの発散は、潜在的な生命力の強さを表す。前述した脆さとは一見相反するように感じるが、脆いようで力強い、そんな生命の根幹を付いた作品となっている。

デジタル技術の使用箇所・方法

形状は全てTouchDesignerのツールを用いて制作した。その他LeapMotionと連携させ、LeapMotion上で手をつまむ動作をすることで画面上の物体のスケールが変動するような加工を施している。(ソフト内のツール:leap motion chopを使用)なお、作品紹介動画はAdobe Premiere Proを用いた。

講評

微生物の様なイメージを表現したCG動画自体が既に魅力的な仕上がりとなっているが、LeapMotion を用いてインタラクティブな要素を与えた事によりさらに有機的で生物的な表現となっている。手を握ると、CG上の有機的な物体の外形は縮むが中央の核が肥大し、手を放すとパーティクルを煌めかせながら元のサイズに戻ろうとする、そのインタラクションのタイミングと効果の連動が生む快感まで、良く計画された作品である。